駄菓子屋や縁日などで目にする機会のある「ビー玉」。一般的に子どもが遊ぶ玩具として広く知られているが、近年ではインテリア雑貨や大人も楽しめるハンドメイドの材料として用いられるなど、さまざまな場面で使われている。
夏の風物詩として人気のビー玉だが、商品が生産されるようになった背景や名称の由来について知らない人も少なくないだろう。そこで本記事では、ビー玉の略称や語源を詳しく解説する。英語表現も併せてチェックしてほしい。
ビー玉とは?
はじめに「ビー玉」の読み方と意味、語源を紹介する。豆知識としてぜひ覚えておこう。
読み方と意味
「ビー玉」の読み方は「ビーだま」。ガラス玉に模様などを描いて着色した玩具の一種で、明治中期頃から炭酸飲料のラムネを販売する瓶の中蓋として用いられた。ラムネが誕生した当初は蓋にコルク栓を採用していたが、内容物に含まれる炭酸ガスの圧力により完全に密封することが困難であったことから、次第にガラス玉が使用されるようになった。
ビー玉の呼び方は地域によって異なり、一部の近畿地方では「ビーダン」、山陽地方や瀬戸内海近辺では「マーブル」と呼ぶ場合もある。
語源はいくつか存在する?
ビー玉の語源に関しては諸説あるが、ポルトガル語で「ガラス玉」を意味する「ビードロ」が転じて「ビー玉」となったとする説が有力だ。
他にも、一部の製造現場で炭酸飲料のラムネに使用できる正規品を「A玉」、傷や破損が見られる規格外品を「B玉」としたという経緯も語源の一つとして挙げられる。しかし、当時のビー玉は子どもの玩具として扱われる機会が多く、製造現場で用いられた用語が広く普及していった可能性は低そうだ。
ビー玉の種類と歴史
次に、ビー玉の種類と江戸時代から受け継がれてきたその歴史を紹介する。
炭酸飲料に使用する「A玉」
「A玉」はラムネ瓶の中蓋として使用されるほか、おもちゃや観賞用として扱われる機会の多いガラス玉だ。原料は無鉛のソーダガラスが含まれ、直径16.85mmを基準として、誤差はプラスマイナス0.15mm以内の円球が採用されていた。
生産したガラス玉の一部に傷や歪みが生じた場合は、内容物がこぼれたり炭酸が抜けたりする恐れがあるため、一定の条件を満たした精度の高い商品がA玉となる。
規格外品として取り扱われた「B玉」
「B玉」はA玉とは反対に、ラムネ瓶の中蓋として採用できない規格外品のガラス玉を指す。大量に検品されたB玉は、主に子どもの玩具として駄菓子屋などに並んだ。時代の流れとともに色とりどりの模様が描かれるようになり、清涼感のある見た目から、大人からも愛される商品として定着した。
ビー玉を使った遊戯「穴一」
明治時代には、「穴一(あないち)」と呼ばれる遊びにビー玉が使われるようになる。なんと、穴一の原点は平安時代までさかのぼる。博打遊戯として大人に親しまれていた「銭打ち」が変化した子ども遊びの一種で、遊び方は以下の通り。
1.地面に直径10cmほどの穴を掘って受け皿を作る
2.穴から約1m離れた場所に1本の横線を引いて立つ
3.穴に向かって木の実や小石などを投げ入れて勝敗を競う
当初は貨幣の銭を使用していたが、徐々に数珠などに用いる「ムクロジの実」を代用するようになった。明治時代に入ると、ガラス製のビー玉を用いるようになり、現在もその遊び方が受け継がれている。
ビー玉の英語表現
最後に、ビー玉と似た意味を持つ英語表現を紹介する。
marble
“marble”はビー玉のほかに、「大理石」や「大理石のような模様や彫刻」を指す名詞。形容詞として使用する場合は意味が多少異なり、人の心に対して「冷酷」と表すこともできる。ただし、ややネガティブなニュアンスを含むため使い方には注意が必要だ。
【例文】
“I found some marbles on the side of the road and felt a little nostalgic.”
(道端でビー玉を見つけて、少し懐かしい気持ちになった)
“Children playing with marbles purchased at a Mom and pop candy store.”
(子どもたちが駄菓子屋で購入したビー玉を使って遊んでいる)
glass bead
“glass bead”は透明、または着色された「ガラス玉」を指す名詞。“bead”には小さな円球という意味があり、ビー玉を英語で表現したい場合はぴったりの表現だ。
【例文】
“She enjoys making handmade pieces with glass beads.”
(彼女の趣味は、ビー玉を使ったハンドメイド作品を作ることだ)
“The colorful glass balls are cool and a true summer tradition.”
(色とりどりのビー玉は涼しげで、まさに夏の風物詩だといえる)
文/編集部