最近ではあまり使われなくなってきている、FAX。かつては、多くの人にとって身近な存在であったものの、正式な名称を知らない人は少なくないだろう。そこで本記事では、「FAX」の正式な名称、語源、FAXの送り方を簡単に解説する。インターネットが普及し、ペーパーレス化が進む状況下でFAXがなかなか廃止されない理由と、FAXを送る際のマナーもこの機会にチェックしてほしい。
FAXとは
まずは、FAXの正しい名称と語源を解説する。FAXの送り方も併せてチェックしておこう。
「facsimile(ファクシミリ)」の略
「FAX」は英語表記「facsimile(ファクシミリ)」の略で、読み方は「ファックス」。FAXとは、通信回線を使って文字や写真などの静止画像を画素レベルに分解することで電気信号に変換して送り、受信側の機器で紙面上に画像を印刷することで、送付した内容を再現する仕組みのことを指す。また、FAX電話とは、電話回線などの通信回線を利用して文字や画像を送る機械のことだ。
FAXの語源
FAXの語源は、複写することを意味するラテン語の「fac simile」。また、FAXとfacsimileの違いは、FAXが略語表記で一般的に使う表現である一方、facsimileは裁判所や法律事務所などが関与する場面など、限定的なシーンで使われることが多い点にある。
FAXの送り方
FAXを送る時に利用されることが多い固定電話や電話機、コピー機でのFAXの送り方は以下の通り。
1.電話機の上部またはコピー機の自動送り装置(原稿台ガラス)に送る原稿を置く。
2.FAXを送る相手の電話番号を入力する。
3.電話機のFAXボタンまたはコピー機のスタートボタンを押す。
4.原稿の読み込みと通信が開始され、全ての原稿の読み込みが終わったら送信完了。
FAXがなくならない理由
インターネットが普及しているなか、紙媒体でのやりとりであるFAXがなぜ残り続けるのか疑問に思う人もいるのではないだろうか。ここではFAXがなくならない理由を紹介する。この機会にFAXの必要性やメリットを理解しておこう。
世界中で利用されているから
FAXは日本だけではなく、世界中で利用されているため廃止するのが難しい。2022年2月にCIJA画像情報ファクシミリ委員会が実施したアンケート調査では、「勤務先で日常的に使用している」「たまに使用している」と回答した人の割合が45.9%にも昇り、日本ではFAXの利用率が高いことが分かる。
一方、IDCが2017年にグローバル企業200社に実施した調査では、FAXの利用率が前年度より増加した割合が43%、横ばいだった割合が39%で、世界的にもFAXが使われていることが明らかになっている。
安全性が高いから
FAXはインターネット環境なしで送受信できるため、安全性が高い状況でのやりとりが可能だ。情報漏洩を防ぐため、医療や警察、裁判所などの公的機関では、業務用PCをインターネット回線に繋いでいないことがある。FAXであれば、このような場合でも情報のやりとりができるため、完全に廃止することは難しいと考えられる。
物理的に情報が届いたのを確認できるから
FAXは受信すると紙媒体で物理的に情報が届くため、すぐに受信が確認できるのがメリット。インターネット回線を利用したメールでのやりとりの場合、仕事の状況によってはメールの確認ができずに、受信したことにすぐに気付けない場合がある。このような場合、受信したことが目に見えて分かるFAXは利便性が高いと言える。
ITの知識なしで操作できるから
FAXはITの知識がなくても、ボタン操作だけで情報の送受信が可能だ。一方、メールの場合はPCやスマートフォンのアプリを起動する知識や操作方法の知識がなければ、情報のやりとりをするのが難しい。送る紙を差し込み、電話番号を押すだけで情報を送れるため、老若男女使いやすい。
FAXを送る際のマナー
最後に、FAXを送る際のマナーを確認していこう。
FAX番号を確認する
誤送信や情報漏洩を防ぐため、送信前にFAX番号の確認が必須だ。番号確認を自分で数回行ったり、他の人とダブルチェックを行ったりと、あらかじめ正しい番号を確認し、相手にきちんと送信できるようにしておこう。いつも利用している登録番号を使用し、相手に情報を送るのもおすすめだ。
送付状を添える
送信する原稿の前に付ける送付状を添えると、相手方にビジネスシーンで丁寧な印象を与えることができる。送付状には以下の項目を含めておこう。
1.日付(いつ送ったのか記録するため)
2.宛先の会社名・部署名・個人名、電話番号、FAX番号
3.送信元の会社名・部署名・個人名、電話番号、FAX番号
4.挨拶文(ビジネス上の定型文)
5.FAXの送信枚数
6.FAXの要件・概要
ページ番号を付ける
FAXを送信する場合、送る書類にページ番号を付けることで、相手方が書類の順番を間違えるリスクを減らすことができる。ページ番号が付番されていないと、書類の順番が分からなくなり、送った情報が正しく伝わらない可能性もあるからだ。送る書類の下部には「2/3」「1/5」など、何ページあるうちの何ページ目なのかが分かるようにしておこう。
送信前後に相手方に電話連絡する
相手方にFAXがきちんと届くよう、念のために送信前後に相手方に電話連絡するのがビジネス的には丁寧とされている。特に急ぎの案件の場合、事前に連絡することで相手方に迅速な対応を期待できる。事後に連絡することで、受信や印刷ミスの確認ができるため電話連絡はマナーの一つだといえるだろう。
文/編集部