帰省や冠婚葬祭、客先への挨拶訪問など、相手に感謝の気持ちなどを伝えるために手土産を渡す機会は少なくない。しかし、さまざまなシーンに応じた正しい手土産の渡し方は意外と知らないものだ。
そこで本記事では、「手土産」の意味と正しい渡し方を詳しく解説する。渡す相手に好印象を与えるマナーと避けた方が良い品物も、この機会にチェックしておこう。
そもそも手土産にはどんな意味がある?
はじめに「手土産」のそもそもの意味を理解しておこう。
訪問することに対する感謝の気持ちを込めた贈り物
「手土産」は、相手先の会社や自宅に訪問する際に、相手への感謝の気持ちを込めて選んだ贈り物を指した言葉。旧来より日本とって馴染み深い文化の一つだ。時間を作って対話する機会を与えてくれた相手に対して、「より良好な関係を築きたい」という厚意を伝えることができる。
シーン別の手土産の渡し方と例文
次に、シーン別の手土産の渡し方を見ていこう。併せて紹介する、渡す際に添えたい言葉の例文もチェックしてほしい。
上司
上司に手土産を渡す場合、相手が忙しくないタイミングを見計らうようにしよう。菓子類などを包む場合、他の社員に配ることを考慮して人数分より少し多めに用意するのも良い。また、上司が不在の場合はデスクに書置きを残して、誰からの手土産なのかがひと目で分かるようにしておく配慮があると好印象に繋がる。
【例文】
「先日はお忙しい中、丁寧にご指導いただきありがとうございました。甘いものが好きだと伺ったので、ぜひ召し上がっていただければ幸いです」
取引先
取引先に訪問する際は、主に以下の3つのタイミングで手土産を渡すのが良いだろう。
1.挨拶や名刺交換を済ませてから渡す
2.会話の途中でタイミングを見計らって渡す
3.商談の後に言葉を交わしながら渡す
渡す相手は先方のもっとも地位が高い人。上司が同行している場合は、目上の立場である上司から渡すようにしてもらうのが良いとされる。謝罪やお詫びのために訪問する場合は、話を終えた後に手土産を渡すと誠意が伝わりやすい。
【例文】
「平素は格別のお引き立てを賜り、厚くお礼申し上げます。心ばかりの品物ではございますが、どうぞお納めください」
友人
プライベートで付き合いのある友人・知人に手土産を渡す際は、玄関先ではなく部屋に通してもらったタイミングで渡すようにしよう。ただし、例外として、長期保存できない氷菓や生鮮食品物を持参した場合は冷蔵・冷凍が必要になるため、その旨を伝えて、玄関先で渡す方が望ましい場合もある。相手との関係性や状況により異なるが、堅苦しくなくソフトな言葉を添えるようにしよう。
【例文】
「本日はお招きいただき誠にありがとうございます。お口に合うと嬉しいのですが、皆様でお召し上がりください」
手土産を渡す際のマナーと避けた方が良い品物
最後に、手土産を渡す際の正しいマナーと避けた方が良い品物、「のし」の必要性について紹介する。
紙袋に入れたまま渡すのはタブー
一般的に手土産を持参する時には、必ず紙袋や風呂敷から取り出して両手で渡すのがマナーだ。梱包された品物を傷やほこりから守る役割があり、移動中に汚れてしまう可能性のある紙袋に入れたまま差し出すのはタブーとされる。
ただし、手土産が相手のかばんなどに入らない場合は、持ち帰りやすいように「紙袋のまま失礼いたします」と一言添えて渡すと良い。他にも、品物を渡す際は相手側から見て品物が正面を向くように渡す配慮も必要だ。手土産の正しい渡し方の手順は以下の通り。
1.自分の方へ品物を向け、傷や汚れがないか確認する
2.時計回りに90度ずつ回しながら渡す
渡す際に避けた方が良い品物
基本的に、遠方から訪れる人の荷物になってしまうような大きな品物、重さのあるものは避けた方が良い。また、切り分けが必要な食品や皿などの割れ物は「別れる」を連想させることもあり、縁起の悪い品物とされる。手土産を選ぶ際は、相手にポジティブな気持ちで受け取ってもらえるように意識したい。
手土産に「のし」は必要?
取引先への訪問や御礼として手土産を渡す場合は、必ずしも「のし」をつける必要はない。
のしは漢字で「熨斗」と表し、進物を贈る際などに縁起物として傍らに添えられた「熨斗鮑(のしあわび)」が由来になったとされる。日本では旧来より干したあわびを添える風習があり、長さと薄さを重視した繊細な切り方をした。弔事の場合は相手側の宗教に合わせて選ぶ必要があり、仏式での葬儀の際は「御香典」や「御香料」、四十九日以降は「御仏前」と書く。
※データは2023年2月上旬時点のもの。
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文/編集部