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「SOS」って何の略?他にもたくさんある救難信号の豆知識

2023.09.15

周りに助けを求める際に使われる「SOS」は、どういった由来を持つ言葉か知っているでしょうか?多くの人が一度は目にする言葉ですが、由来を知らない人は多いでしょう。そこで、SOSの言葉が生まれた背景とともに、類似語や他の救難信号について紹介します。

SOS」は何の略?

SOS」は、他者に助けを求める場合のサインとして広く知られている言葉です。しかし、意味は理解していても、その背景を知っている人は多くありません。そもそもSOSとは、何の略なのでしょうか?

実は略語ではない

多くの人は、SOSを英単語の頭文字をつなげた何かの略語だと思っているかもしれません。実際、船での遭難時に助けを求める「Save Our Ship」や「Save Our Souls」といった言葉の略語だとする説もあります。

しかし、SOSは海上で助けを求める際に使われたサインではありますが、略語であるという説は間違いなので、誤って覚えないようにしましょう。

SOSが遭難信号として有名なワケ

SOSは本来、モールス符号(モールス信号)による遭難信号で、1906年に世界共通のサインとして採択されたものです。モールス符号とは、短い音を表「ドット(・)」と長い音を表す「ダッシュ()」を用いて、特定の文字や言葉を表現する暗号方式です。1830年代に開発されて以来、主に海事通信で広く利用されるようになりました。

モールス符号において「・・・−−−・・・」で表される遭難信号には、もともと通称はありませんでしたが、1900年代初頭より「・・・」と「−−−」の部分を分割し、それぞれが意味する文字を用いて「SOS」と呼ばれるようになったのです。

これが長い歴史のなかで、多くのメディアに取り上げられたことにより、世界中で有名になった背景があります。近年は遭難信号としてだけではなく、一般的な言葉としてもSOSが使われるようになりました。

SOSに類似した言葉とは?

トランシーバー

(出典) pixta.jp

遭難信号を表す代表格はSOSですが、それ以外にも事故や災害、緊急事態などを示す言葉があります。SOSの類似語として2つの言葉を紹介します。

無線電話による遭難信号「メーデー」

無線電話による遭難信号に、「メーデー」と呼ばれるものがあります。フランス語の「m’aidez(助けて)」が語源とされる言葉で、国際的に認知されやすいように「Mayday」のつづりで広がりました。

無線通信における符号であるSOSとは違い、メーデーは救助を求める合言葉の意味合いが強く、電話通信で使われます。「メーデー、メーデー、メーデー」と3回繰り返して遭難を伝えるのがルールです。

なお、51日の労働者の日も「メーデー」と呼ばれていますが、1880年代のアメリカにおける労働者のストライキに由来する記念日であり、遭難信号としてのメーデーとは異なります。

緊急事態を示す「エマージェンシー」

「エマージェンシー(emergency)」とは緊急事態を指す言葉であり、周囲に予期せぬ事態や危険な状況を伝える場合に用いられます。事故現場や自然災害、紛争やテロ攻撃など、周囲に迅速な対応や行動が求められる場面において、条件を問わず使われるのが特徴です。

緊急事態を伝える電話は「エマージェンシーコール」であり、周囲に助けを求めたり、危険を知らせたりするために出す信号は「エマージェンシーサイン」と呼ばれています。単に緊急事態を示すだけでなく、緊急を伴う行動を形容する言葉としても広く使われています。

他にもたくさんある「救難信号」

ホイッスル

(出典) pixta.jp

SOSやメーデー以外にも、以下のように光や音を使った救難信号もあります。実際に使えるようにしておけば、いざという場面で役立つかもしれません。

光を用いたシグナル

遭難時、鏡を用いて飛行しているヘリコプターなどに、救助を求めるシグナルを送る方法があります。

まずは片手で鏡を持ち、もう一方の手でピースサインを作って、その腕を伸ばして目標となる飛行物を2本の指の間に入れるようにしましょう。その状態で、太陽光を鏡に反射させ、ピースサインに光を当てるようにすれば、飛行物に存在を知らせることができます。

また、自動車やバイクの光を利用して、モールス符号の「・・・−−−・・・」を表現すれば、周囲に助けを求めることができます。短い信号の「・」は光を瞬間的に点滅させ、さらに「−」の部分は、1秒以上光を点灯させて消すのを繰り返せばOKです。

相手がモールス符号の意味を理解していなければいけませんが、光を何度か点滅・点灯させることで、何らかの異常事態だと判断してもらえる可能性は十分あります。

音を使ったシグナル

山岳地帯で助けを求める場合、ホイッスル(笛)を使ってシグナルを送る方法が有名です。101区切りでホイッスルを1分間鳴らし(合計6回)、その後に1分間の休憩を入れて、再び同じように鳴らします。これを繰り返すことで、SOSの合図として認識してもらえます。

これも光のサインと同様、シグナルの意味を知っている人が近くにいるとは限りませんが、ホイッスルを鳴らし続ければ存在を知らせることができるので、ぜひ覚えておきましょう。

新しい救難信号「GMDSS

近年は、SOSモールス信号を主体とした従来の海上遭難通信システムに代わる「GMDSS」も注目されています。GMDSSは国際海上通信安全システムを指し、主に船舶が安全に航行し、緊急事態に素早く対応できるようにするもので、国際海事機関(IMO)によって採択されました。

SOS1999年の時点で国際的な救難信号としては廃止されており、現在はGMDSSに基づいて船や航空機に搭載された発信器から、遭難信号を発信する仕組みが確立されています。とはいえ、民間レベルではSOSのサインは広く認知されているため、いざという場面での救難サインとして役立つ点に変わりはありません。

構成/編集部

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