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「いい話があるんだけど出資してみない?」という言葉には必ず裏がある理由

2023.08.12

連載/FIREの向こう側

世はすっかり「FIREブーム」。資産運用でお金を殖やし、「経済的な自由を得よう!」とうたう記事やテレビ番組がずいぶんと増えた。が、それらに現実味を感じることができずうんざりしている人も多いだろう。

どうしてFIRE(Financial Independence,Retire Early)は遠いものに感じてしまうのか――『投資をしながら自由に生きる』の著者で、自身もFIREしたという投資家の遠藤洋さんに、本企画では素朴な疑問をぶつけてみることで「自由に生きる」ための方法を探っていきます。

Question「毎月配当がもらえる投資商品を紹介されました」「大学時代の恩師から『〇〇に投資したら、毎月△%の配当がもらえている。確実に儲かるから◇◇君も出資しないか』と誘われました。お世話になった担当教官で嘘をつくようには思えません。僕も出資しようと思うのですが、どう思いますか?」(34歳・会社員・男性)

Answer「甘い勧誘には裏がある。本当に儲かる話は自分のところまでこない」

前回、投資初心者は「知っている会社の株」を買おうとしてしまうという、「初心者がやりがちな投資」についてお話をしました。一般的に有名な会社と、投資家にとっていい会社というのは違うということを理解していただけたと思います。前回に続き、今回も「投資初心者がやってはいけない投資」について解説します。

①甘い儲け話には絶対に乗るな!

まず絶対にやってはいけないのは、「第三者にお金を預ける」ということです。証券会社や銀行等の金融機関以外の第三者にお金を預けることは厳禁です。「毎月投資額の5%の配当を出します」といった儲け話みたいな甘い誘いには絶対に乗ってはいけません。

私は仕事柄そういう話をよく聞くのですが、この手の儲け話で本物だったものは一つもなく、すべて詐欺だったりお金を持ったまま飛んだりしています。ですから、「金融機関以外の第三者にお金を預ける」ということをしなければ、いきなり全財産をすっ飛ばすというようなことは基本的にはかなり避けることができると思います。

お世話になった人や信頼できる人からこういった誘いを受けることがあります。その知人は実際に自分のお金を入れてすでに数ヶ月の配当をもらっていたりして、本当にいい投資だと純粋に信じて勧めてきてたりするんですね。

それで自分も投資してみたら本当に数ヶ月配当がもらえる。そうなると、「1,000万円入れたら毎月50万円がもらえてFIREできる!」と舞い上がってしまい、リスクが見えなくなってしまうんですよね。

ところが、思い切って全財産入れたら急に配当がもらえなくなったりして、この時に初めて「騙された」と気づくわけです。

こういった儲け話に引っかからないようにするには、「相手の立場に立って考える」ことです。

「配当として5%出す」というのは、投資される側(儲け話をしている側)は「5%払うからお金を貸して」といって資金調達しているわけです。今であれば消費者金融でも月利1%台で借りることができます。ところが、5%の配当を出さないとお金を集められない。それくらい高い資金調達コストなわけです。つまり、低コストでお金を調達できない人が、そういうお金の集め方をしているのです。

そもそも本当に儲かる話なら、親しい友人・知人の間だけで完結するはずですよね。わざわざコストをかけて知らない人を勧誘する必要なんて、まったくないはずです。

②人から教えられたり聞いた銘柄をそのまま買う

有名投資家がツイッターなどでつぶやいた銘柄や、誰かから教えてもらった銘柄を買うのもやってはいけない投資ですね。

いろいろなパターンを見てきましたが、人から勧められた銘柄は目をつぶって買うより、目つぶって売ったほうが儲かるかもしれません(笑)。

たいてい「●●会社が今後こんなニュースを発表します」といったインサイダーのような話が聞くことが多いのですが、その情報が自分のところに回ってくるころにはもう遅く、株価はすでに上がっていることが多いんですね。

仮にその情報が本当だったとしても、その話が出回っているということはその情報を聞いて買っている人たちはたくさんいて、好材料が発表されたところで買う人がいない状況ですよね。結果、材料出尽くしで売られてしまうこともよくあります。

有名投資家がツイッターなどでつぶやいた銘柄に便乗して買うことを「イナゴ投資」と言いますが、これも同じで自分で分析せずに買うのはやってはいけません。

③分散投資

こんなふうに言うと、「え、分散投資ってやってはいけないんですか?」という声が聞こえてきそうですね(笑)。もちろん、分散投資によってリスクが分散化されるのはその通りです。しかし、私は「分散投資をしていい人」と「分散投資をしてはいけない人」がいると思っています。

たとえば個人投資家で運用金額がまだ数十万円とか100万円くらいの少額の人が分散投資をしたところで、お金は増えないし、あまりに多くの銘柄に分散するとインデックス投資と同じになってしまうので学びにもならないし、厳しい言い方をすると何も意味がないと個人的には思ってます。

投資で何を目指すのかにもよりますが、私は常々、分散投資ではなく集中投資をしたほうがいいという話をしてきました。運用資金が少ない個人投資家が自分の資産を1桁2桁増やそうと思ったら分散投資ではなく、徹底的に分析をした銘柄に集中投資をすることが必要だと考えています。

一方で分散投資をする意味があるのは、投資資金でいうと最低でも1億円以上を運用してる人で、こういった人はリスクを取りすぎないように、ある程度分散する必要があります。

分散投資は「守りの投資」で、集中投資が「攻めの投資」です。資金が少ないうちは「守りの姿勢」では資産を増やすことは難しいでしょう。

④理解できないものには投資しない

投資の神様といわれる米国のウォーレン・バフェット氏も「自分が理解できないものには投資しない」ことを貫いています。

何をやっているかよくわからない会社、自分で理解できず他人に説明できない会社は買ってはいけません。仮に株価が上がっていたとしても、なぜ上がっているのかわからない会社は一時的な人気や、「将来性」といったあいまいな理由で上がっていたりします。そういったよくわからない銘柄を買ってしまうと、近い将来株価下落に見舞われるでしょう。

どんなことをやっているか会社か、何で利益を上げている会社か、上がる根拠のある会社以外に投資するのは厳禁です。

⑤下がり続けている銘柄をそのまま持ち続けること

実際に投資を始めたら一番やってはいけないのが、この「下がり続ける株をそのまま持ち続ける」ことです。いわゆる「塩漬け」ですね。

人は損失を回避するバイアスがかかってしまうので「下がったらまた戻るんじゃないか」と考えてしまい、損失を確定することができません。しかし、下がった株は下がり続けやすいので、「下がった株を売って、上がっている株を持ち続ける」ほうが圧倒的にパフォーマンスは良くなると思います。

最新刊『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社刊)では、ドリル形式で「儲かる株の見つけ方」が身につく本になっています。ぜひお手に取って、基礎から応用まで、株の儲ける力を身につけてください。

遠藤洋著
『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』
ダイヤモンド社刊
https://www.amazon.co.jp/dp/4478117926

今回のまとめ「投資初心者が陥りがちな『やってはいけない投資』を知り、最低限のリスクを回避しよう」

さて、最近は2024年から制度が改正される「新NISA」についての問い合わせを多くいただきます。次回は、新NISAとはどういう思惑によってつくられた制度なのか、そして私たちはどのように新NISAと付き合っていけばいいのかについて解説します。

文/遠藤 洋(えんどう・ひろし)
投資コミュティixi主宰、投資家・自由人。1987年埼玉県生まれ。大学在学中にアルバイトで貯めたお金を元手に知識ゼロの状態から投資を始める。大学卒業後、ベンチャー企業に入社。26歳のときに投資で得た資金を元手に独立。本質的な価値を見極め「1年以内に株価3倍以上になる小型株」へ集中投資するスタイルで、最大18倍、1銘柄だけで億超えのリターンを達成。その投資経験をベースに、経営者、上場企業役員、医師、弁護士、ビジネスパーソンなど、これまで1600人以上の個人投資家を指導し「勝てる投資家」を数多く輩出。現在は投資をしながら1年のうち半分は国内外を旅して自由を謳歌しつつ、次世代を担う投資家や事業の育成に力を入れている。
最新刊『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社)では、儲かる株の見つけ方がドリル形式で身につく全68問が掲載されている。

構成/向井翔太

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