EDRとファイアウォールにSOCサービスを組み合わせる理由
SOCサービスを利用するのであれば、EDRとファイアウォールで運用するのがおすすめです。
EDR (Endpoint Detection and Response) は、エンドポイント(デバイスやサーバーなどの最終的な利用者のアクセスポイント)におけるアクティビティを監視し、異常な挙動や不正アクセスを検出するセキュリティテクノロジーです。
一方でファイアウォールは、ネットワークと外部の間の立ち入りを制限し、悪意あるトラフィックからシステムを保護する役割を果たします。ファイアウォールは不正なアクセスを遮断することで、セキュリティ脅威からネットワークを守ります。
では、それぞれSOCサービスと組み合わせることでどのようなメリットを得られるのでしょうか。
1. 複雑な脅威の変化への対応
セキュリティ脅威は日々進化し、攻撃者はより巧妙な手法を用いてデータへの侵入を試みます。EDRはエンドポイントでの脅威検出と対応をサポートしますが、ファイアウォールはネットワーク全体のセキュリティを担当します。こうした複雑な脅威に対応するため、SOC監視はEDRとファイアウォールのデータを総合的に分析し、異常なアクティビティを検出する役割を果たすのです。
2. リアルタイムでの早期検出と対応
EDRとファイアウォールの組み合わせによるSOC監視は、リアルタイムでの脅威検出と対応能力を高めます。エンドポイントで異常なアクティビティが検出されると、それをファイアウォールに伝え、ネットワーク全体に広がる前に攻撃を遮断できます。これにより、セキュリティインシデントの被害拡大を防ぎ、迅速な対応を実現可能です。
3. トラフィックの可視性とアクティビティ解析
ファイアウォールはネットワークトラフィックを監視する一方、EDRはエンドポイント上のアクティビティを記録します。これらの情報を統合的に解析することで、攻撃のパターンや挙動を把握しやすくなります。SOC監視によって、ネットワーク全体でのトラフィックとエンドポイント上のアクティビティを連携させ、異常な挙動や攻撃の兆候を見逃すことなく検出可能です。
4. 効果的なインシデント対応と調査
セキュリティインシデントが発生した場合、EDRとファイアウォールのデータは攻撃の特性や影響範囲を理解するための貴重な情報源となります。SOC監視を通じてこれらのデータを統合的に分析することで、迅速なインシデント対応が可能です。また、攻撃の手法や目的を理解することで、将来の攻撃に対する対策を立案する際にも有用な情報が得られます。
5. セキュリティ運用の最適化
EDRとファイアウォールのデータを統合的に管理することで、セキュリティ運用が効率化されます。SOCチームは異常なアクティビティや攻撃の傾向を把握し、適切な対策を講じる際に高い専門知識を活用できます。また、継続的な監視と分析によってセキュリティの脆弱性や改善点を特定し、セキュリティ戦略の進化を促進できるでしょう。
SOCサービスを利用する際の注意点
SOCサービスは、ただ単に導入すれば良いわけではありません。利用者自身が内容を把握し、そのうえで活用するのが理想的です。ここでは、SOCサービスの利用にあたり、注意すべき点を解説します。
1. インシデントへの対応プロセスの理解
SOCサービスを導入する際には、インシデントが発生した場合の対応プロセスを把握しておくことが重要です。どのような手順で通知が行われ、どのように対応が行われるのかを理解することで、効果的な対応を行う準備ができます。
2. セキュリティ運用の監視と管理
SOCサービスを利用している場合でも、セキュリティ運用の監視と管理は企業側が責任を持つべきです。セキュリティインシデントの状況を定期的に確認し、必要に応じて対策を検討しましょう。
3. 適切な情報共有とコミュニケーション
SOCサービスの提供者との適切な情報共有とコミュニケーションが重要です。サービス提供者と連携して、セキュリティの状況や課題、対策に関する情報を共有し、効果的なセキュリティ戦略を確立します。
4. インシデント対応計画の作成
インシデントが発生した際の対応計画を事前に策定しておくことが重要です。どのようなステップで対応を進めるのか、誰が関与するのかを明確にしておき、スムーズに対応できる体制にしておく必要があります。
まとめ
SOCサービスはセキュリティ対策の一環で重要ですが、運用を任せるだけでは不十分です。インシデント対応プロセスやセキュリティポリシーの理解、運用監視、情報共有、対応計画策定など、企業は積極的な関与が求められます。今回紹介したSOCサービスも活用し、自社でやるべきこと、外注することを明確にしてみましょう。
文/長谷川貴之