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お金のプロが解説!「事実婚」が金銭的に不利になる理由

2023.08.06

最近増えている事実婚だが、事実上夫婦関係にあっても法律婚とは異なる取扱いになってしまうことがある。一方で、事実婚でも法律婚と同じ扱いになるようになる制度が増えてきている。

事実婚のメリット

事実婚とは、法律上の婚姻はしていないが、一定期間同居し、お互いに事実上の婚姻の意思があることをいう。法律上の婚姻をしていないことから決まった定義はないが、事実婚かどうか判断を問われるときは、客観的な情報をもとに総合的に判断される。どの情報が必要かはその手続き方法により異なるが、例えば、同居している場合同じ住所で、続柄欄に『夫(未届)』『妻(未届)』と記載されている住民票の提出を求められることがある。

事実婚という形式をとる夫婦が日本にどのぐらいいるのか法律上の形式に則っていないことから実際の数を把握するのは難しいが、内閣府の2021年度実施の各種意識調査結果によれば事実婚選択者は成人人口の2~3%を占めていると推察されている。

令和3年の内閣府委託調査によれば、結婚をしたくない理由として特に女性に多いのが、名字を変えなければならないこととなっている。未だにジェンダー・家制度の考え方は残っており、女性が名字を変えることが圧倒的に多い。名字を変更することで、変更したことによる手続き、仕事への影響、相手の親や自分の親の事情を考慮しなければならなくなり、さらに法律婚をしたことにより家事・育児・相手家族の介護を背負わなければならないという風に考えられてしまう。一方、男性においても、男性が家族を養う必要があるため仕事の責任を背負わなければならない考え方を押し付けられ、結婚という形式にこだわる必要がないのではないか、結婚に縛られたくないと考える人もいる。また、同性の場合では日本で同性婚が認められていないことから法律婚を選択できない。

上記のような、背景から事実婚を選ぶ人は、事実婚に以下のようなメリットを考えている。

・夫婦別姓が許されていない日本で、夫婦別姓でいられる。
・別れても離婚とならないため、法律婚ほど縛られない。
・相手の戸籍に入らないため、「相手家族の介護をする」「相手家族の家を継ぐ」というような古来の『家制度』に従う必要がない。
・夫婦が対等な関係でいられる可能性がある。
・相手の家に入ることなく自分の家を継ぐことができる。

実際には、「一緒にいたい」と考えるだけなのに、法律婚を選んでしまうと様々な問題が生じてしまう。夫婦それぞれの家族の事情や仕事など背景にある事情により法律婚を選択できずにいるということもある。

事実婚のデメリット

法律婚は法律上夫婦となることで、家族と同様となり、様々な特権が与えられるが、事実婚では法律婚と異なる取扱いがなされ、以下のようなデメリットが生じることがある。

① 保険金の受取人の指定ができないことが多い

保険金の受取人は、被保険者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹を指定することができる。配偶者で、『内縁関係にある者を除く』とする文言がある保険では、事実婚にある配偶者を保険金の受取人として指定することができない。

② 相続権がない

配偶者が死亡した時、法律婚では他方の配偶者は必ず相続人となると民法で規定されているが、その『配偶者』、事実婚にある配偶者は該当しないこととなっている。そのため、配偶者が死亡した時に、家やその財産を自動的に相続することができない。また、遺留分もない。

③ 税金の控除が受けられない

法律婚にある『配偶者』は税制上以下のような税軽減を受けることができるが、事実婚の配偶者は受けることができない。

・所得税の配偶者控除または配偶者特別控除

合計所得金額1,000万円以下の人の配偶者の合計所得金額が一定以下の場合、所得税、住民税の計算上所得から一定金額を控除できる。

・相続税の配偶者の税額軽減

遺産の1億6千万円または配偶者の法定相続分相当額まで相続税がかからない。

・相続税の死亡保険金の非課税

死亡保険金は、500万円×法定相続人の数分が相続税で非課税になる。その法定相続人の人数には事実婚の配偶者を含めることができない。

④ 共同親権となれない

法律婚で子が生まれると自動でその子は父母の共同親権となるが、事実婚の場合原則母親の単独親権となる。そのため、親権者が死亡した場合には、親権者がいなくなるため未成年後見制度が開始される。他方の親が親権者となりたいときは、親権者を変更する審判を申立て審判により親権者となることができる。事実婚を解消した時は、親権を持つ親が親権者となる。話し合いで変更も可能だが、応じない場合には調停の申し立てが必要だ。

親権者は原則母親であるゆえ、子どもの名字は母親の名字、未成年の法律行為の同意(銀行口座作成、携帯電話の契約など)も母親となる。

⑤ 特別養子縁組

法律上の配偶者がいる夫婦でなければならないため、特別養子縁組はできない。普通養子縁組は可能。普通養子縁組は実親と親子関係を残したまま法律上の親子となるもので、特別養子縁組は実親と養子の親子関係を終了させて養親と養子の親子関係を結ぶ。

対策をすれば法律婚と同じ扱いにできることも

前述のように、事実婚だと法律婚とは異なる取扱いとなってしまうことがあるが、上記のように社会保険等は法律婚と同様の取扱いがされることがある。

このように、事実婚でも法律婚と同様の取扱いを行う例が民間レベルで増えてきている。

一方、事実婚では法律婚と同様の取扱いがされないものでも、契約書や遺言等予め準備しておくことで、法律婚と同等の権利を受けることができることもある。

事実婚の場合、もしどちらか一方に万が一が起きたときに残された家族を守るためには、あらかじめ法律の専門家に相談する等して準備をしておく必要があるだろう。

今後、事実婚の共同親権、パートナーシップ制度の導入など、あらゆる事情で法律婚を選べなかった夫婦にも法律婚と同様の取扱いができるようになっていくかもしれない。また、結婚をしない理由として多く挙げられた夫婦別姓についても国会提出まで至らなかったが平成8年、22年に改正法案の準備がなされ、現在再び検討が進められている。

(参考)
コラム3 事実婚の実態について | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)
令和3年度 内閣府委託調査「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査 報告書のポイント」
00.pdf (gender.go.jp)
 
令和3年12月14日内閣府男女共同参画局総務課調査室 「いわゆる事実婚に関する制度や運用等における取扱い」
6.pdf (gender.go.jp)
法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について (moj.go.jp)

文/大堀貴子

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