一般社団法人中央酪農会議は、日本国内の牛乳の購入者1,030人を対象に「日本の酪農の実態認知に関する調査」を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
牛乳購入者の約7割が酪農家の経営危機を認知している
まず、日本の酪農家の経営が危機的状況にあることを知っているかと聞くと、20.9%が「よく知っている」、47.3%が「まあ知っている」と答え、全体の68.2%が日本の酪農家の経営が危機的状況にあることを認知していた[図1]。
知っていると答えた702人に、日本の酪農家の危機的状況を知ってどう感じたかと聞くと、「牛乳・乳製品の価格が上がらないか心配」(59.2%)、「日本の酪農の衰退が心配」(56.7%)、「酪農家の生活が心配」(51.7%)といった声が挙がった[図2]。
生活に直結する牛乳・乳製品の値上げだけでなく、日本の酪農の存続を心配する声が多い。
値上げの理由は「飼料値上がり」「エネルギー値上がり」「酪農経営難」と理解
次に、この夏に予定されている牛乳の値上げについて聞くと、34.7%が「値上げすることを知っている」と答えた[図3]。
乳価の値上げを知っていると答えた357人に値上げの理由となると思うことを聞くと、「飼料価格の値上がり」(84.4%)が最も多く、次いで「エネルギー価格の上昇」(64.6%)、「酪農家の経営難」(42.8%)の順となった[図4]。
値上げを受け入れる人の半数以上は「酪農家の支援」が理由
乳価の値上げを知っていると答えた357人に今回の値上げを受け入れられるかと聞くと、28.3%が「受け入れられる」、48.0%が「まあ受け入れられる」と答え、あわせて76.3%が値上げを受け入れられると答えた[図5]。
値上げを受け入れられる理由を聞くと、「ほかの商品も値上がりしているから」(74.8%)に次いで、「酪農家の経営が苦しいから」(60.7%)を挙げ、半数以上が「日本の酪農を支える必要があるから」(53.3%)などの回答が得られた[図6]。
酪農家を応援したい牛乳購入は9割
改めて全員に、日本の酪農家を応援したいと思うか聞いたところ、86.7%が「思う」と答えている[図7]。
応援したいと答えた893人にどのような行動で応援したいかと聞くと、「牛乳・乳製品の購入量を増やす」(77.2%)が最も多く、次いで「牛乳・乳製品を使うレシピを活用する」(36.1%)、「酪農について調べる」(16.0%)が挙げられた。
少数ながらも「酪農について会話する」(6.8%)、ソーシャルの時代らしく「酪農についてSNSで投稿する」(6.0%)といった意見も寄せられている[図8]。
牛乳購入者の9割が「国産牛乳」を選択
日本国内の牛乳はほぼ国産品で占められているが、もしも国産品と輸入品で選べると仮定した場合に、国産品と輸入品のどちらが良いと思うか質問した。
その結果、78.2%が「国産品が良い」、13.2%が「どちらかというと国産品が良い」と答え、全体の91.3%が国産品を選ぶと答えている[図9]。
国産品を選ぶ理由を聞くと、「安全性が高そうだから」(74.5%)、「美味しそうだから」(49.6%)、「新鮮そうだから」(43.8%)が上位に並んだ[図10]。
調査概要
実施時期/2023年7月14日(金)~7月15日(土)
調査手法/インターネット調査
調査対象/国内の牛乳購入者20代〜60代男女1,030人
調査主体/一般社団法人中央酪農会議調べ
・集計結果は令和2年(2020年)国勢調査の結果に基づき、日本国内の居住者の性・年代の人口構成比に合わせてウェイトバックして集計しています。
構成/清水眞希