リクルートが企画制作する妊娠・出産情報誌『ゼクシィBaby妊婦のための本』は、2022年10月から施行された産後パパ育休(出生時育児休業)制度に関する調査を実施。解答結果をグラフにまとめて発表した。
また、育休を取得する際のポイントについて、父親支援事業を展開するNPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事・安藤 哲也さんの解説も併せてお伝えする。
『ゼクシィBaby』会員は3割のパパが育休を取得
「育児休業を取得した」と回答した人が30%で、厚生労働省が発表した2021年度の取得率(※)13.97%より高い水準となった。育児への意識・関心が高い会員が多いという要因も考えられるが、実際に3割のパパが育児休業を取得できていた。
※ 厚生労働省「2021年度雇用均等基本調査」
半数以上が男性の育休取得率の目標は達成できないと考えている
今回のアンケートでは3割のパパが育休を取れていたにもかかわらず、目標達成は難しいと考える人が多数という結果になった。
「人員が少ない会社・部署だと無理だと思う」「大企業でないと難しい」「周りの負担を減らす策が必要」「将来の出世に影響する」など、達成できないと予想する声が多く集まっている。
なお本調査は2023年4月実施のため、その時点での「国の男性育休目標取得率30%」で調査しているが、現在の目標取得率は2025年までに2025年度に50%、2030年度に85%に引き上げるとなっている。
育休の取得で迷ったときに考え方を整理する4つのヒント
NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤 哲也氏
ヒント01 取るべき最大の理由は“産後うつ” パパの力が母子の健康を支える
産後うつという言葉を聞いたことはありますか? 産後1年以内に死亡した女性の死因で最も多いのが自殺で、その原因が「産後うつ」だと推測されています。特に産後2週間はうつ病を発症しやすく、ママ自身はもちろん、子どもの心身の発達にも影響があると考えられています。
産後うつは誰でもなる可能性がある病気です。パパが育休を取って二人で育児をすることで、一人きりで慣れない育児に追い詰められる状況を防ぐことができます。
ヒント02 夫婦の絆が強固に・家計収入アップ 長い目で見るといいことずくめ
パパが率先して家事・育児に関わることで、子どもとの愛着形成ができ、子育てがスムーズになります。夫婦の絆が深まり、地域に知り合いが増えて、世界が広がり、人生がより豊かになっていきます。また、夫婦でバランス良くキャリアを積んだ方が将来的には家計収入が伸びる可能性が高まります。
ヒント03 まず「取得できるか」ではなく「どういう父親になりたいか」考える
昔は、「子どものために大黒柱として稼ぐ」父親像がメジャーだったかもしれません。現在は育休取得の過渡期で、男性にとっては判断が難しい時代です。
しかし、全員が育休を取れる時代が来るのを待つのではなく、自分で決断するしかありません。育休は「取れる・取れない」ではなく、「どういう父親になりたいか」イメージすることが大切です。
ママのキャリアも含めて、家族の幸せのためにできることを考えていきましょう。
ヒント04 取得を検討する上で大事なのは夫婦のキャリア観の擦り合わせ
キャリアアップしたいのか、子育てを優先して働きたいのか、夫婦でキャリアに対する考え方を擦り合わせることが大切です。相手の考え方によって取得期間は違ってくるので、お互いの価値観を話し合いましょう。
育児休業の基礎知識
育休とはどのよう制度なのか
育児休業は、1歳になるまでの子を養育する労働者が法律に基づいて休みを取得できる制度。会社によっては独自の育児休暇(有休)を設けている場合もあるので確認しておきたい。
産後パパ育休とはどのよう制度なのか
子どもの出生日から8週間までの期間に最長4週間、必要に応じてタイミングを2回に分けて取得できる制度。育休とは別に取得することができる。
取得できる期間
育児休業を取得できる期間は、原則として産後1年まで。ただし、保育園に入園できず待機児童になった場合は、最長2年まで延長できる。産後パパ育休を使用する場合は、最長1年2か月まで取得することも可能。
育休中の収入について
休業中は、会社からの給与ではなく、雇用保険から「育児休業給付金」が支払われる。給付額は、180日までは「賃金月額×67%」、それ以降は「賃金月額×50%」となる。さらに社会保険料、所得税が免除される。
調査概要
調査時期/2023年4月実施
調査対象/『ゼクシィ Baby』会員 妊婦・0か月~2歳までの子供を持つママ4277人
調査方法/Webアンケート
調査機関/リクルート
関連情報
https://zexybaby.zexy.net/article/contents/0176/
構成/清水眞希