災害時はやはり現金が最強
もちろん、通信障害発生時にもPayPayが使えるというのは非常にありがたいことではあるし、いずれは実装しなければならない機能であることも承知している。
が、だからといってこの機能に過度な期待をかけるのもナンセンスではないか。
自然災害発生時にPayPayのオフライン決済機能が活躍するかというと、それは難しいと言わざるを得ない。
筆者は去年9月の「静岡市ブラックアウト」を経験した。線状降水帯発生による土砂災害は、山の中腹に建てられた鉄塔を倒壊させた。筆者の自宅はもちろん、コンビニの照明も信号機も消えてしまった。
このような状況下で物を言うのは、やはり現金だ。
スマホを使ったコード決済は、たとえオフライン対応でもバッテリーを消耗する。PayPayのオフライン決済機能は使えない……というわけではないだろうが、全体重を乗せられるほど頼れるものでもない。
故に、これはあくまでも平時の「ちょっとした煩わしさ」を解消するためのものだ。ふとした通信不安定の際、緊急措置としてオフライン決済機能が立ち上がる。
かゆいところに手が届く機能ではあるが、それ以上の使い方は難しいのではないか。
そのあたりを把握すれば、PayPayが「より便利になった」と実感できるに違いない。
【参考】
「PayPay」に国内主要コード決済初、インターネットにつながっていなくても決済ができる機能(特許出願中)を搭載!-PayPay
https://about.paypay.ne.jp/pr/20230720/01/
取材・文/澤田真一