トヨタは、新型ランドクルーザー”250″シリーズを8月2日に世界初公開した。日本では、特別仕様車First Editionを含めて2024年前半の発売を予定している。また、ヘビーデューティーモデルのランドクルーザー”70″も、今冬、継続販売モデルとして日本に再導入する予定としており、これにより、日本で再びランドクルーザーの全3シリーズが揃うことになる。
写真左から、ランドクルーザー”300″、ランドクルーザー”70″(プロトタイプ)、ランドクルーザー”250″(プロトタイプ)
70数年にわたり世界中のユーザーに育てられ、鍛えられてきた「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」
世界各地で活躍するランドクルーザー(アラブ首長国連邦の砂漠ツアー)
ランクルは、トヨタBJ型として1951年8月1日に誕生し、シリーズとして生誕72周年を迎えた。誕生直後に、自動車として初めて富士山6合目の登山に成功。その時から、このクルマだからこそ行き来できる場所で様々な人々の安全と安心を提供する使命を負ってきた。その後、世界中のユーザーに育てられ・鍛えられることで、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として信頼性・耐久性・悪路走破性の継承と進化を続けながら、現在までに約170の国と地域で、累計1,130万台のランクルが人々の命や暮らしを支えてきている。
これまでランクルは、常に最新技術を導入しフラッグシップとして進化を担うステーションワゴン(”300″シリーズ)、高い耐久性、走破性が求められるヘビーデューティーモデル(”70″シリーズ)、悪路走破性をベースに扱いやすさと快適性を付与し、人々の生活と実用を支えるライトデューティーモデル(”プラド”)の3シリーズで展開してきた。
“250”シリーズは人々の生活と実用を支えるランクルの本質に原点回帰
ライトデューティー系については、世代の進化を追うごとに高級・豪華な路線にシフトする傾向にあった。そうした中、”250″シリーズの開発に当たって、商品の最終責任者である豊田章男社長(当時)が「ランクルは人々の生活、地域社会を支えるためのクルマであるべきで、より多くの人の生活を支えるライトデューティーモデルはお客様が求める本来の姿に戻す必要がある」という基本的な考え方を提示。
それを受け、開発陣は「The Land Cruiser:質実剛健を追求し、お客様の生活と実用を支え、お客様に信頼されるクルマ」という、ランクルの原点に回帰する開発コンセプトを定め、ランクルを作り直す精神で開発を進めてきた。
新型の”250″シリーズはランクルの中核モデルとして、”300″シリーズと同じGA-Fプラットフォームを採用し、オフローダーとしての基本性能を大幅に向上。また、従来型以上にランクルにふさわしい力強い走りや環境性能を実現した多様なパワートレーンを採用。機能性を追求したパッケージと、伝統とモダンを融合した内外装デザインを取り入れランクルらしさを追求するとともに、新世代のランクルとしてオフロード・オンロードを問わず操縦のしやすさと快適性を向上、かつクラストップレベルの先進安全性能も目指した。
ランドクルーザー”250″の主な特長
■GA-Fプラットフォーム採用による、オフローダーとしての基本性能の向上
“300”シリーズと同じGA-Fプラットフォームを採用し、悪路走破性を大幅に向上。かつ、「ユーザーの生活と実用を支えるクルマ」として、オンロードも含めた操縦のしやすさと快適性も向上させている。
●従来型比で大幅な剛性強化フレーム剛性+50%向上、車両全体の剛性としては+30%向上
●サスペンションの基本性能向上悪路走破性の指標となるホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)を向上
●オフロード・オンロード双方での性能向上に繋がるシステムの採用
・電動パワーステアリング(EPS):悪路走行時のハンドル取られ低減、すっきりとしたステアリングフィール、低速時の取り回し性向上などに貢献、レーントレーシングアシストを実現
・SDM(Stabilizer with Disconnection Mechanism トヨタブランド初採用)スイッチ操作で、フロントスタビライザーの状態を切り替え可能。オフロードの悪路走破性・乗り心地とオンロードでの操縦安定性を両立
●マルチテレインモニター/マルチテレインセレクト機能拡充によるオフロード走行支援の向上
■ランドクルーザーに相応しい力強い走りや環境性能を実現する多様なパワートレーン
「人の命や暮らしを支える」というランクルの使命を受け継ぎ、ランクルのDNAである「信頼性・耐久性・悪路走破性」を追求しながら、多様なアプローチ(マルチパスウェイ)でカーボンニュートラルを目指すトヨタの取り組みに基づき、ランドクルーザーに相応しい力強い走りや環境性能を実現する、ランクル初のハイブリッドシステムを含めた様々なパワートレーンを設定した。
【各パワートレーンの特徴】
■機能性を追求したパッケージと、伝統とモダンを統合させた内外装デザイン
安全なオフ/オンロード走行に貢献するため、低く設計されたカウルとインストルメントパネル上面によって、見通しのいい良好な前方視界を実現。悪路でも路面を見下ろしやすいように、ベルトラインも低く設計した。また、ランクル伝統のホイールベース数値とし、悪路走破性を圧倒的に向上させる一方、ミラー全幅は従来型以下とし、取り回し性を確保している。
さらに、壊れにくく、仮に壊れても修理しやすい設計を各所に取り入れつつ、より個性的にランクルを楽しめるカスタマイズへの対応にも配慮している。
【サイズ】
全長 4,925mm(+100) 全幅 1,980mm(+95) 全高 1,870mm(+20) ホイールベース 2,850mm(+60)
数値はプロトタイプ、()内は従来型との比較
ランドクルーザー”70″の車両概要
■継続販売モデルとして国内復活へ。”70″シリーズの特性を継承しながら、時代に合わせて進化
従来のガソリンエンジンから、高い信頼性を誇る1GDディーゼル 2.8Lターボエンジンへパワートレーンを一新した。高トルク・高出力を兼ね備えたディーゼルエンジンならではのタフなオフロード性能を確保しながら、低騒音・静粛性への配慮、また燃費性能の向上にも取り組んでいる。
加えて、耐久性に優れ信頼度の高いラダーフレームを継続して採用するなど、優れたオフロード走破性を維持しながら、さらにオンロードでの乗り心地も向上させている。
【主要諸元・プロトタイプ】
全長 4,890mm 全幅 1,870mm 全高 1,920mm ホイールベース 2,730mm
エンジン:1GD-FTV ディーゼル 2.8L ターボ(最高出力 150kW(204PS)最大トルク500N・m)
トランスミッション:6 Super ECT
関連情報:https://toyota.jp/info/landcruiserbrand/
構成/土屋嘉久