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厚さ7mm以下でサブディスプレイは3.6インチ!モトローラの縦折りスマホ「razr 40 ultra」を使ってわかった○と✕

2023.08.04

■連載/石野純也のガチレビュー

 モトローラから、約2年半ぶりとなるフォルダブルスマホが登場する。「motorola razr 40 ultra」がそれだ。同モデルは、いわゆる縦折りタイプの端末。フリップ型とも呼ばれる1台で、閉じるとコンパクト、開くと一般的なスマホのサイズに近づく。折り曲げられるディスプレイを採用し、フィーチャーフォンのホームファクターをスマホで再現したデバイスと言えるだろう。

 同様のフリップ型スマホとしては有名なのはサムスン電子の「Galaxy Z Flip」シリーズだが、モトローラもその歴史は長い。ことフリップ型のスマホに関しては、サムスン電子よりも海外での投入は早かったほどだ。razr 40 ultraは、その外側ディスプレイを大型化しており、閉じたままでの使い勝手を大きく向上している。また、日本で発売されるモトローラのフォルダブル端末としては、半開きのまま固定できる初のrazrになる。

約2年半ぶりに国内投入されるモトローラのrazr 40 ultra

 フォルダブルスマホは一般的に高額になりがちだが、razr 40 Ultraは、直販価格で15万5800円。通信事業者として独占的に取り扱うIIJmioは、期間限定ながら一括価格を11万9980円に抑えられている。発売直後のフォルダブル端末としては、比較的リーズナブルな1台と言えるだろう。とは言え、通常のハイエンドスマホ並みの価格で、ポンと払える額でもない。そこで発売に先立ち、同モデルを試用した。そのレビューをお届けしよう。

スタイリッシュなデザインで、コンパクトに持ち運べる

 元々はフィーチャーフォンとして海外で一世を風靡したrazr。日本で発売されたスマホの「razr 5G」は、その形状を模していたのが特徴的だった。フィーチャーフォン時代におなじみだった〝アゴ〟のようなデザインを踏襲しつつ、それをスマホに落とし込んだ格好だ。このスタイルを変え、razr 40 ultraは、より〝スマホらしい〟姿になっている。

 開いた時のデザインは上の写真のとおりで、やや細長いスマホだ。本体中央部分に、折り曲げが可能なヒンジを備えているのが、一般的なスマホとの違いと言えるだろう。また、折り曲げる際にディスプレイが稼働するため、フレームの中にディスプレイをはめこむような形になっている。画面部分よりベゼルがやや盛り上がっているため、フリックなどをした際に指がここに当たる。そのため、わずかながら一般的なスマホとは操作した時の印象が異なる。

ディスプレイ中央の左右には、折り曲げを支えるヒンジが搭載されている

ベゼル部分の内側にディスプレイを収める構造のため、ややフレームが盛り上がっている

 本体が非常に薄く作られているのも、この形状ならでは。スペック上の厚さは、最薄部が6.99mmで、7mmを切っている。折りたたんだ時の厚さは、その約2倍強の15.1mm。さすがに閉じるとやや厚さを感じるが、開いた時のスタイリッシュさは高く評価できる。

厚さは7mmを切っている。開いた時の姿は非常にスタイリッシュだ

 右側面には音量ボタンと、指紋センサーを兼ねた電源キーを搭載している。電源キーは凸形状に盛り上がっているのが特徴的だ。ただ、指紋センサーを一体化した電源キーは凹んでいることが多く、目視せずとも音量キーと見分けがつけやすいのがメリットだった。razr 40 ultraも、指が自然に当たる場所にあり、音量キーとはサイズが違うため、わかりづらいわけではないものの、使い始めた当初はやや違和感があった。普段どのような端末を使っているかで、この印象は変わってくるだろう。

ボタンは右側面に集められている。電源キーは指紋センサーを兼ねている

 閉じた時のサイズ感は、手のひら大。片手でギュッと握るように持つことができ、ポケットなどにもしまいやすい。メインのディスプレイが内側になるため、万が一落下させてしまったような時でも、傷がつきづらいのはこの形状の利点と言えそうだ。もっとも、フィーチャーフォンの時とは違い、背面もガラスでできているため、落下時に破損のリスクがあることは確か。あくまでコンパクトにして持ち運ぶためのギミックと考えておいた方がいいだろう。

閉じると、手のひら大のサイズになる

閉じたままでもほとんどの操作が完結するアウトディスプレイ

 より特徴的なのが、アウトディスプレイと呼ばれる外側のサブディスプレイだ。このサイズが、とにかく大きい。2023年7月26日に発表されたサムスン電子の「Galaxy Z Flip5」よりも大型で、ディスプレイがカメラ部分にかかるように敷き詰められている。Galaxy Z Flip5はカメラ部分を避けるようにディスプレイを配置していることもあり、razr 40 ultraの方がダイナミックに映像が広がっているような印象を与える。

カメラがディスプレイを貫くように配置されている。映像がダイナミックに広がる

 スペック上のサイズは3.6インチ。カメラ部分があるため、そのすべてを使えるわけではないが、閉じたままでもかなりの情報量だ。例えば、ダイヤルパッドは十分、電話番号をタップできるサイズ感。カレンダーも1日の予定が2件ほど、しっかり確認できる。通知の確認やコントロールパネルの操作もしやすい。これだけの情報量があれば、閉じたままでも操作が完結してしまいそうだ。

開いた際に、アプリをそのまま使える。3.6インチもあるため、操作性も十分だ

 それもそのはず、3.6インチと言えば、楽天モバイルが発売した「Rakuten Mini」と同サイズ。アスペクト比が異なるため、まったく同じではないが、情報の確認や操作するのに必要最小限のサイズ感と言えるだろう。初代iPhoneは3.5インチだったことを考えれば、情報の表示には十分と言えそうだ。サブディスプレイとしてメインディスプレイを補完するのではなく、閉じた時にも、コンパクトなスマホとして使えるサイズになったというわけだ。

 このアウトディスプレイには、サードパーティのアプリを表示させることも可能だ。設定の変更は、「設定」内にある「外部ディスプレイ」で行う。ここで、ロック画面の時計や壁紙、アプリトレイなどのパネルを変更可能。フォントのサイズも変更できる。また、この設定メニューで外部ディスプレイへの表示許可を与えたアプリは、外部ディスプレイでも使えるようになる。

アプリごとに、アウトディスプレイに表示するための権限を与える必要がある

 例えば、本体を閉じたままメールをチェックしたり、決済アプリのQRコードを表示させて支払いを済ませたりと、様々な操作を行える。電車で吊革につかまりながら動画を見る際にも、本体を開く必要がない。先に述べたように、片手でギュッと握れるサイズ感のため、このようなシーンでも使いやすい。アウトディスプレイが大型化したことで、ユースケースが広がった格好だ。

フレックスビュースタイルが便利、カメラやパフォーマンスはやや抑えめ

 また、2021年に発売したrazr 5Gとは異なり、razr 40 ultraは、半開きのまま本体を固定できるようになっている。これを、モトローラは「フレックスビュースタイル」と呼ぶ。フォルダブルスマホは、この半開きの状態にできることにも価値がある。机やテーブルの上に置いたまま、操作がしやすいからだ。

半開きのまま、テーブルなどに置いて使うことができる

 例えば、カメラで撮影する際に、テーブルの上に置ければ集合写真が撮りやすくなる。記録用に講演のスライドを撮影するような時にも、本体は固定できた方がいい。このような時に、フレックスビュースタイルが役に立つ。また、Google Meetのように、フレックスビュースタイルにした際に自動で画面が上下に分割されるアプリもある。こうしたアプリは、操作パネルが下半分に集まり、机の上に置いた時の使い勝手がいい。

本体を固定して、同じような構図で何枚か写真を撮るような時に便利だ

 カメラの画質も上々だ。razr 40 ultraには、1200万画素の広角カメラと、1300万画素の超広角カメラの2つが搭載されている。いわゆるデュアルカメラだ。特にアウトカメラは、F値が1.5と明るく、暗い場所でも比較的キレイな写真を撮ることができる。ただし、画素数が1200万、1300万のため、ミドルレンジ以上の端末でおなじみのピクセルビニングを利用した感度向上の仕組みは入っていない。その意味で、カメラのスペックはハイエンドスマホとしてやや抑えめだ。

広角と超広角のデュアルカメラを搭載

 コストを抑えているという点では、チップセットも同じ。このモデルが内蔵しているのは、最新のハイエンドモデルが採用するSnapdragon 8 Gen 2ではなく、昨年モデルが搭載していたSnapdragon 8+ Gen 1だ。よく言えばこなれたチップセットではあるが、2023年に登場したほかのハイエンドモデルと比べると、パフォーマンスはやや落ちる。

 もっとも、Snapdragon 8+ Gen 1でも並みのミドルレンジモデルよりは十分高機能なため、ゲームなどのパフォーマンスを限界まで引き出す必要があるアプリを使わない人にとっては、いい選択だったと言えるだろう。そのぶん、フォルダブルスマホとしてリーズナブルに手に入るからだ。

 ただ、仕様面はグローバル版そのままに近く、モトローラがここ1年、2年で注力しているおサイフケータイなどのローカライズには非対応。防水仕様も、IP52の生活防水にとどまっている。こうした点は、その両方に対応しているGalaxy Z Flipシリーズと比べ、物足りなさが残る。とは言え、11万円台前半でフォルダブルスマホが手に入るのは魅力的。アウトディスプレイを大型化し、新たなユースケースを開拓した点も評価したい。フォルダブルスマホを初めて使う人にも、お勧めの1台と言えそうだ。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★★
持ちやすさ     ★★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★
UI         ★★★★
撮影性能      ★★★★
音楽性能      ★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★
決済機能      ★★
バッテリーもち   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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