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6か月ごとの注射による血圧コントロールが早期臨床試験で有効性を示す、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院発表

2023.08.08

6カ月ごとの注射による血圧コントロール、早期臨床試験で有効性を示す

現在、何百万という人々が、血圧をコントロールして心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下させるために、1種類以上の降圧薬を毎日服用している。

しかし、今後の臨床試験の結果次第では、年2回の注射だけで毎日の降圧薬の服薬と同程度の効果が得られるようになるかもしれない。

そのような未来を期待させる第1相臨床試験の結果が、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院、心筋症・心不全プログラムのメディカルディレクターであるAkshay S. Desai氏らにより、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」2023年7月20日号に発表された。まだ実用化の段階にはないが、現在、第2相試験が進行中であるという。

この注射薬は、zilebesiran(ジレベシラン)と呼ばれる長時間作用型のRNA干渉(RNAi)治療薬で、6カ月ごとに投与される。RNAiとは、2本鎖RNAのうちの1本がガイドRNAとなってタンパク質複合体(RISC)と結合し、標的とする特定のメッセンジャーRNA(mRNA)を認識して切断することでmRNAによるタンパク質の合成を抑制する仕組みのこと。

Zilebesiranの場合は、アンジオテンシンと呼ばれるホルモンの前駆体であるアンジオテンシノーゲンの合成が抑制される。アンジオテンシンには血管収縮作用があり、それによって血圧が上昇する。

Desai氏は、「このアプローチによって、一部の患者では、毎日の錠剤を服用する必要がなくなるかもしれない。また、効果的な治療の妨げとなる服薬アドヒアランスの問題に関しても、ある程度の解消につながる可能性がある」と説明する。

高血圧患者の多くは、降圧薬を飲み忘れたり、飲まずに済ませたりしている。その理由は気持ちが参ってしまう、体調不良を必ずしも感じない、などさまざまである。

今回の臨床試験では、107人の高血圧患者をzilebesiran(10、25、50、100、200、400、800mg)またはプラセボを注射する群に2対1の割合でランダムに割り付け、24週間にわたって追跡した。

また、減塩食を取っている場合と、塩分濃度の高い食事を取っている場合のzilebesiran(800mg)による血圧への効果や、zilebesiran(800mg)を他の種類の降圧薬(イルベサルタン)と併用した場合の効果についても検証した。

その結果、zilebesiranの用量が多いほど血圧に対するzilebesiranの効果は高まり、その効果は6カ月にわたって持続することが示された。

例えば、zilebesiranの1回投与(200mg以上)により、8週目までに収縮期血圧が10mmHg超、拡張期血圧が5mmHg超低下した。これらの変化は昼夜を通じて一貫しており、24週目まで持続した。

また、塩分濃度の高い食事を取ることで効果が減弱する一方で、他の種類の降圧薬と併用した場合には効果が増強することも示された。

Desai氏は、「この化合物はわれわれが望んでいた通りに作用し、それによる血圧低下は持続する」とした上で、「患者は血圧管理のために3カ月ごと、あるいは半年ごとに診察室に来るだけで済むようになるかもしれない」と展望する。

ただし、今回の臨床試験の結果を「胸躍るもの」としながらも、「このアプローチによって心不全や脳卒中、心筋梗塞の発生率を低下させることができるのかどうかの評価には、さらに多くのデータが必要だ」と話している。

論文の上席著者で米シカゴ大学総合高血圧センターのGeorge Bakris氏は、このアプローチは高血圧管理において「極めて実行可能性が高い」との見解を示している。

同氏は、「1回の注射で6カ月にわたり効果が持続すること、広く使用されている降圧薬を高用量使用した場合に匹敵する降圧効果が得られることが利点だ」と説明。

また、「今のところ副作用も多くなさそうだ」と述べた上で、「zilebesiranは、降圧薬の錠剤に取って代わるものとはならないが、必要な錠剤の数が減り、アドヒアランス向上につながる可能性はある」と期待を示している。

一方、米マイアミ大学総合高血圧センターのMaria Carolina Delgado-Lelievre氏は、「錠剤を減らすことを考慮できるようになるまでには、さらなる研究が必要だ」との認識を示す。

同氏は、「効果的な血圧管理の基本が食事と生活習慣の是正であることに変わりはない。それは、zilebesiranのような薬剤を使用した場合でも同じだ」と強調している。

なお、この臨床試験はzilebesiranを製造するAlnylam Pharmaceuticals社(本社:米マサチューセッツ州ケンブリッジ)の資金提供により実施された。(HealthDay News 2023年7月20日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2208391

構成/DIME編集部

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