糖質オフはダイエットの王道。それを意識してか、コンビニ飯の多くが「糖質○g」など、しっかりと表示してくれており、バリエーションも豊富。選ぶものを見極めれば、コンビニ飯でも健康的に低糖質ダイエットをすることができるのだ。しかし、むやみやたらに糖質を制限すると、また別の弊害も生じるという。『カラダにやさしいコンビニごはん100』(小学館)を監修した東京労災病院治療就労両立支援センターの管理栄養士・平澤芳恵さんに、低糖質ダイエットのコツと、おすすめの低糖質コンビニ飯について聞いた。
糖質制限はドカ食いしがちな〝夜〟がおすすめ
たんぱく質も意識して摂ろう
食・楽・健康協会によれば、低糖質(ロカボ)の定義は、糖質量を1日70〜130g(1食あたり20〜40g、間食10g)を目処に摂取することである。ちなみに、炭水化物は糖質と食物繊維に分けられ、体内で分解・吸収されエネルギー源となるものを糖質と呼ぶ。管理栄養士の平澤芳恵さんは、毎月ゲーム製作会社で栄養相談を実施するなかで、糖質を控えるよう従業員に指導することもあるそうだ。
「デスクワークがメインだと運動不足になり、日中は仕事が忙しくて昼食をとらずに、終業後の深夜に丼ものやファストフードをガッツリ食べてしまいがち。そんな生活を送っていると、若くても肥満体型だったり、健康診断の血液検査で中性脂肪や血糖値の値で引っかかっている方が多いです。そのため、『晩御飯で糖質を控えましょう』というアドバイスはよくさせていただいています」(東京労災病院 管理栄養士・平澤芳恵さん、以下同)
中性脂肪を減らすには油を控えなければならないというイメージがあるが、じつは糖質の摂りすぎも中性脂肪増加の要因だという。
「糖質を摂りすぎると、使われないエネルギーが中性脂肪として蓄えられてしまいます。また、食べた後にすぐ寝ると、中性脂肪や脂肪肝に関連する肝機能数値上昇の原因に。もともと糖質を過剰に摂取されている方は、晩御飯の炭水化物を控えめにすることによって、それらの数値の改善が見込めます」
しかし、過度な糖質制限は禁物。炭水化物を減らしすぎると、エネルギー源が足りなくなってしまって、もともと体にある筋肉や、本来は筋肉をつくるのに使われるはずだったたんぱく質がエネルギー源として使われてしまい、ダイエット目的のはずが、太りやすい体になってしまうおそれがあるのだとか。
「糖質制限をすると、低血糖を起こしやすくなって頭がボーッとすることも。とくに女性はそもそも筋肉量が少なく筋肉がつきづらいため、注意していただきたいですね。筋肉量を維持しながら健康的に痩せたいなら、糖質制限はほどほどに、たんぱく質をしっかり摂るべきです」
セブン-イレブン「糖質0gサラダチキン(プレーン) 110g」(税込235円)のたんぱく質量、は100gあたり24.1g。
1日あたりのたんぱく質摂取量の目安は、男性で60g、女性で55gほど。(日本人の食事摂取基準2020年版による18~64歳の推奨量)たとえば、コンビニ各社でもはや定番商品となったサラダチキンだと、1個で約20g前後のたんぱく質を摂取することができる。
「肉にばかり偏らず、魚、たまご、豆腐、納豆なども積極的に食べましょう。ツナやサバの缶詰は、カット野菜や冷凍ブロッコリーなどと組み合わせて、サラダ仕立てにすると食べやすいですよ」
昼食も大盛りは避けて
野菜から食べ進めるようにしよう
低糖質メニューの内容にばかり気を取られがちだが、その摂り方にも気をつけたいところ。
「当たり前ですが、たんぱく質も野菜も、1日を通してバランス良く摂ることが大切です。よく、『夜がダメなら昼は好きなものをガッツリいきたい』という方もいらっしゃいますが、そのまとめ食いが、体への大きな負担になります。食後急激な血糖値の上昇を引き起こし、午後眠気に襲われる。その後、反動で血糖値が急激に下がると、甘いものを食べたい、飲みたいという欲求の悪循環へとつながります」
どうしてもガッツリメニューを食べたいなら、多少の我慢と工夫が必要だ。
「野菜→たんぱく質→炭水化物の順で食べるのが望ましいです。ご飯やパスタ、ラーメンなど炭水化物の大盛りは避けて、サラダや汁物などから先に摂ることを心がけましょう。丼ものだったら、ご飯の量を半分にしたり、豆腐に置き換えたりするのも有効です。また、血糖値の急激な上昇を防ぐためにも、よく噛み時間をかけて食べてください」
置き換えるだけで低糖質!なコンビニ飯
ここからは具体的に、低糖質ダイエットに役立ちそうな、コンビニで買える食品を紹介していこう。
白米のおにぎり→「麦入りおにぎり」に置き換え!
ファミリーマート「スーパー大麦 鮭わかめ」税込145円(画像は公式サイトより)
「白いご飯はどうしても糖質が多くなってしまうため、なるべく食物繊維の豊富なもち麦入りご飯や玄米ご飯、雑穀米などに置き換えましょう。もち麦や雑穀入りのおにぎりはプチプチと食感も良く、食べごたえがありますよ」
菓子パン→小麦ブラン(小麦ふすま)使用のパンに置き換え!
ローソン「NL ブランパン 2個入 〜乳酸菌入〜」税込127円(画像は公式サイトより)
「パンやサンドイッチを選ぶなら、食物繊維が豊富な全粒粉のものや、小麦の外皮(ブラン)を使用したものにしましょう。ローソンのブランパンは、1個あたりの糖質が2.0gととても低いです。同じシリーズの『NL ブランのドーナツ 〜乳酸菌入〜』(税込110円)も、糖質が13.0gに抑えられており、おやつや朝食におすすめです」
こってりカップラーメン→「こんにゃく麺」に置き換え!
セブン-イレブン「セブンプレミアム 糖質0g低カロリー麺 辛麺スープ付き」税込213.84円
「こんにゃく麺は糖質ゼロで食物繊維も摂れるので、夜、炭水化物を控えたいけれどお腹を膨れさせたい時にちょうどいいですね」ただし、スープには糖質が含まれているのでご注意を。
効率よくたんぱく質を摂取できる肉・魚食品
糖質ゼロで10g以上たんぱく質が摂れるセブン-イレブンのチキンバー
「糖質0gサラダチキンバー スモークペッパー 60g」税込159.84円(画像は公式サイトより)
味は3種類あって、「プレーン」は12.2g、「バジル&オリーブ」は12.5g、「スモークペッパー」13.6gのたんぱく質を摂取可能。そのほか、セブン-イレブンではたんぱく質10gを摂取できる「豆腐バー」も展開中だ。
「一般的なサラダチキンよりも小ぶりなワンハンドタイプは、仕事の合間にも食べやすいです。たんぱく質は一度にまとめて摂るよりも、分散させて摂るほうが筋肉の合成量は高まります。体づくりをするうえでは、こういった手軽に摂れるたんぱく源をぜひ活用してもらいたいです」
焼き魚
ファミリーマート「ほっけの塩焼き」税込340円(画像は公式サイトより)
ファミリーマートの「ほっけの塩焼き」は、1パック切あたりのたんぱく質が25.6g。しっとりふっくらとしたやわらかい食感で食べ進めやすい。
「とくに単身者の方は、魚を食べる機会が少ないのではないでしょうか。お惣菜の焼き魚はレンジでチンするだけで調理が手軽なので、ぜひ食べてほしいですね」
罪悪感少なめ!?なホットスナック。ローソンの「からあげクン」
ローソン「からあげクン レギュラー」税込238円(画像は公式サイトより)
ホットスナックはダイエットの大敵というイメージがあるが、意外にもローソンの「からあげクン」には低糖質の目印であるロカボマークが示されている。「からあげクン レギュラー」1パックあたりの糖質は7.3g、たんぱく質は14.4gとなっている。
「揚げ物はなるべく控えていただきたいところですが、糖質を抑えつつたんぱく質を摂取できるという点では、こちらも役立つアイテムになります」
ドリンクやお菓子も〝低糖質〟〝高タンパク〟を選ぼう
たんぱく質10gを入り!ローソンのドリンク&スープ
ローソン「NL たんぱく質10g入り のむヨーグルト 白桃&黄桃 190g」税込178円(画像は公式サイトより)
ローソンでは、たんぱく質10gが摂れるのむヨーグルトと、「NL たんぱく質10gが摂れる 完熟トマトクリームスープ 330ml」(税込198円)を展開。
「食事だけでたんぱく質を摂るのが難しい時は、間食で補うのも手です。ドリンクやスープなら、歯が弱ってきた方、筋肉が減りやすい高齢者など、さまざまな方に幅広く利用していただけます」
エナジードリンクや炭酸飲料の誘惑が襲ってきたら…
セブン-イレブン「セブンプレミアムゼロサイダートリプルファイバー 500ml」税込108円(画像は公式サイトより)
1本でレタス3個分の食物繊維(※)と1日分のビタミンCを配合した、カロリーゼロ・糖質ゼロ・脂質ゼロの炭酸飲料。※レタス可食部215gを約1個分として算出
「エナジードリンクは糖質を多く含むうえ、カフェインによってお腹が緩くなりやすいです。こちらは、『糖質を抑えた炭酸飲料』という意味では選択肢のひとつになります。ちなみに、血圧が高めな方には、カリウムを豊富に含む無塩タイプのトマトジュースなんかがおすすめです」
体に嬉しいおやつ。ファミマの「6種のチョコレート」
ファミリーマート「マカダミアナッツチョコレート」税込198円(画像は公式サイトより)
1袋あたりのロカボ糖質(1g=4kcalのエネルギーを持つ糖質量)は6.1g。ファミリーマートのファミマル“ロカボシリーズ”では6種のチョコ菓子を展開しており、アーモンド、ピスタチオ、くるみなど、種類が豊富だ。
「ナッツは、たんぱく質と食物繊維など栄養たっぷりで健康的なおやつと言えます。ファミマ以外では、ナチュラルローソンもロカボのお菓子に力を入れている印象です。適度に間食を挟むことで、食事での食べ過ぎ防止にもなりますよ」
日替りの「おかずセット」なら飽きがこない
セブンミール「日替りおかず(揚げないチキン南蛮 たんぱく質×緑黄色野菜)」(税込626.40円)
399kcal、たんぱく質27.5g、糖質12.9g、食物繊維5.4g、塩分1.9g
栄養バランスも手軽さも妥協したくないという人には、コンビニの配食サービスがぴったり。セブン-イレブンの『セブンミール』では、日替り弁当のほか、主食を抜いた「おかずセット」も扱っている。事前に予約すると、指定した店舗で受取が可能だ。
「カロリーは400kcal以下でヘルシーですし、『たんぱく質×食物繊維』『たんぱく質×緑黄色野菜』『食物繊維×緑黄色野菜』など、メニューも豊富です。メタボが気になる方は、夜にぜひ活用してもらいたいです。また、朝や昼に食べるなら、もち麦のおにぎりやくるみパンなどと合わせてもいいですね」
最後に、管理栄養士・平澤芳恵さんから、低糖質ダイエットを志す人に向けてエールをもらった。
「そうめんやアイスといった冷たい食べ物が美味しい季節ですが、そういったメニューは糖質が多くなりがちです。糖質はちょっと控えつつ、たんぱく質や野菜もモリモリ食べて、体も動かして、夏バテや秋バテに負けずに元気に過ごしてもらいたいです」
東京労災病院の管理栄養士・平澤芳恵さん監修の『カラダにやさしいコンビニごはん100』(小学館)では、不規則な働き方をしている人でも取り入れやすいコンビニメニューを多数掲載。気になったらぜひチェックを!コンビニで理想の献立 – YouTubeもご覧ください!
取材・文/清談社・松嶋千春