数ある生命保険会社の中で、もっとも「友人や同僚に薦めたい」と思われている優良企業は、いったいどこなのだろうか?
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションはこのほど、「NPSベンチマーク調査 2023生命保険部門」を実施し、その結果を発表した。
NPS(Net Promoter Score)とは、「友人や同僚に薦めたいか?」という質問への回答から算出される、顧客ロイヤルティを測る指標のこと。欧米では公開企業の3分の1がNPSを使用しているといわれ、日本においても顧客満足度にかわる新しい指標として、NPSを活用する企業が増えてきている。
生命保険部門のNPS1位はプルデンシャル生命
対象の生命保険13社のうち、NPSのトップはプルデンシャル生命(-30.7ポイント)となった。2位はソニー生命(-34.7ポイント)、3位は東京海上日動あんしん生命(-36.3ポイント)でした。対象13社のNPS平均は-45.8ポイント、トップ企業とボトム企業の差は25.4ポイントとなった。
マイページ・契約者ページでの体験がロイヤルティ醸成に寄与
生命保険業界におけるNPS平均の7年間の推移を比較したところ、2017年の-52.4ポイントから6.6ポイント向上した。生命保険各社におけるNPSの導入が進む中、ボトム企業におけるNPSの向上もみられ、業界平均のNPSが向上している傾向となった。
業界全体のNPSが向上している背景について分析をしたところ、2020年の調査と比較すると、「マイページ・契約者ページの使いやすさ・分かりやすさ」が与えるロイヤルティへの影響度が年々高まっており、NPS向上の要因の一つになったとみられる。
図:「マイページ・契約者ページの使いやすさ・分かりやすさ」がロイヤルティに与える影響度の変化 (※「マイページ・契約者ページのわかりやすさ・使いやすさ」の項目は2020年から聴取)
このほか、生命保険業界におけるロイヤルティの醸成につながる要因としては「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」や「保険商品の魅力」、また「お問い合わせ時の応対の良さ」といった項目となった。
一方でロイヤルティを向上させるために優先的に改善すべき項目としては、「企業の寄り添う姿勢やお客様の声を大事にする姿勢」や、「加入後のアフターフォローの手厚さ」、「自分に合った保険サービスを提案してくれる」といった生命保険会社の企業姿勢やアフターフォローなどの対応面のほか、「特約の充実度」や「Webサイトでの商品説明のわかりやすさ」となり、今後の改善が期待される結果となった。
NPS1位となったプルデンシャル生命においては、「自分に合った保険サービスを提案している」のほか、「担当者の対応の良さ」や「担当者の説明のわかりやすさ」、「担当者からの中立的なアドバイス・リスクやデメリットに関する説明」といった担当者に関連する項目がロイヤルティを醸成する要因となった。
2位となったソニー生命においては、「企業の寄り添う姿勢・お客様の声を大事にする姿勢」や「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」が、また3位の東京海上日動あんしん生命は「保険商品の魅力」、「特約の充実度」といった商品性がそれぞれ評価される結果となった。
マイページ利用者は生命保険の体験全般での評価が高い
ロイヤルティの醸成要素でもあるマイページ(契約者ページ)の利用経験について調査したところ、全体の14.0%がマイページ利用したことがある結果となった。またマイページ利用者と未利用者別にNPSを分析したところ、マイページ利用者のNPSは-19.4ポイントとなり、未利用者のNPSより高くなった。
マイページの利用有無別での満足度項目についても分析したところ、いずれの項目においてもマイページ利用経験がある契約者のほうが満足度項目が高くなった。マイページ・契約者ページに関連した4つの項目で分析したところ、最も大きな差となったのは、業界全体の課題項目でもある「Webサイトでの商品説明のわかりやすさ」となった。
このほか「加入後のアフターフォローの手厚さ」、「申込や住所変更などの手続きの簡単さ」、「健康増進や健康への関心を促進させる取り組み」も非利用者の満足度を上回っており、マイページの利用により、保険商品の理解や利便性の良さが評価されていることがうかがえる結果となった。
生命保険会社の健康増進の取り組みを介して、健康に意識を持つようになった契約者ほどNPSが高い
生命保険会社においては近年契約者の健康増進に向けて健康増進を意識した保険商品の提供や、健康に関するイベントの開催、スマートフォンアプリでの健康管理サービスの提供などの取り組みを進めている。
これら生命保険会社が提供している健康増進への取り組みについてどの程度知っているか調査をしたところ、「知っている(よく知っている/ある程度知っている/聞いたことがある)」と回答した契約者は全体の45.4%となり、前年から3.4%増加した。
対象の生命保険会社が提供する健康増進への取り組みを経験したことがある契約者は全体の33.5%となった。これらの契約者に対して、生命保険会社が提供する健康増進への取り組みを通して自身の健康に気を遣うようになったか調査したところ、「そう思う(非常にそう思う/そう思う)」と回答した契約者は61.0%となった。
また、これらの印象別にNPSを分析したところ、「非常にそう思う」と回答した契約者のNPSは35.0ポイント、「そう思う」と回答した契約者も-21.6ポイントと高くなった。生命保険会社による健康増進への取り組みを通して、自身の健康に関心を持ってもらうことの重要性がうかがえる結果となった。
NPSが高い生命保険会社ほど、保有契約高の年平均成長率が高い傾向に
対象の生命保険会社のNPSと、各社の2016年度から2021年度までの「保有契約高(金額)」の年平均成長率を分析したところ、NPSが高い企業においては、保有契約高の年平均成長率も高い傾向にあり、NPSと企業の成長との相関が高い傾向がみられた。
図:NPSと保有契約高の年平均成長率 (※保有契約高の年平均成長率は各社2016年度~2021年度の決算関連資料を参照)
推奨度が高いほど、継続利用意向も高くなる
対象の生命保険会社において、今後の継続利用意向を0~10の11段階で尋ねたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者) は平均9.4ポイント、 「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.8ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.7ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となる結果となった。
<調査概要>
【生命保険】
調査対象企業(アルファベット順、50音順):
SOMPOひまわり生命、アクサ生命、アフラック、オリックス生命、かんぽ生命、住友生命、ソニー生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、プルデンシャル生命、明治安田生命、メットライフ生命
調査対象者:インターネットリサーチモニターのうち上生命保険の加入者
調査方法:NTTコム リサーチ*による非公開型インターネットアンケート
調査期間:2023/4/28(金)~ 2023/5/8(月)
有効回答者数:5,891名
回答者の属性:
【性別】男性:56.5%、女性:43.5%
【年代】20代以下:6.6%、30代:13.8%、40代:21.8%、50代:21.7%、60代以上:36.2%
出典元:NTTコム オンライン
構成/こじへい