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自宅兼事務所の賃料、電気代、通信費、個人事業主はどこまで必要経費にできるのか?

2023.07.31

個人事業主は、事業を行うに当たってさまざまな経費を支出します。

所得税などを算定するに当たって、事業上の必要経費は所得額から控除できます。過不足なく必要経費を計上するため、個人事業主の方は税法の知識を身に着けておきましょう。

本記事では、個人事業主が必要経費にできる支出について、判断基準や具体例などをまとめました。

1. 所得から控除できる「必要経費」とは

事業所得や雑所得などの計算に当たり、総収入金額から控除できる費用を「必要経費」といいます。原則として、以下の費用が必要経費となります。

(1)総収入金額に対応する売上原価、その他その総収入金額を得るために直接要した費用
(2)その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上の費用

たとえば、個人事業主として1年間の事業収入が700万円、必要経費が300万円だったとします。この場合、事業所得は400万円(=700万円-300万円)です。

2. 必要経費に含まれるもの・含まれないもの

必要経費となるのは、収入を得るために直接要した費用および業務上の費用のうち、原則としてその年のうちに債務が確定したものです。

ただし、家事上の経費については必要経費にならず、家事関連費(家事・業務の両方の側面がある経費)については「家事按分」が必要となります。

2-1. 必要経費に含まれるものの例

たとえば、個人事業主が支出する以下の費用は、全額を必要経費に算入できます。

・仕入れ代金
・事務所の賃料、管理費など
・事務所の水道光熱費
・従業員の給料
・業務用備品の購入費用
・業務に必要な会費
・業務に関する書類の郵送料(切手代)
・業務に関する移動の交通費
・取引先との食事代
・取引先への贈答品の購入費用
・広告宣伝費用
・出張費用
・社用車の減価償却費
など

また、個人事業主が支払う税金のうち、以下のものは必要経費に算入可能です。

・消費税
・固定資産税
・個人事業税
・印紙税
・不動産取得税
・自動車税
など

※固定資産税・不動産取得税・自動車税については、家事按分が必要な場合あり

2-2. 必要経費に含まれないものの例

以下の費用は家事上の経費であるため、個人事業主の必要経費に算入できません。

・プライベートの食事代
・プライベートの贈答品の購入費用
・プライベートの旅行代
など

また、個人事業主が支払う税金のうち、以下のものは必要経費に算入できません。

・所得税
・住民税
・相続税
・贈与税
・延滞税
など

2-3. 家事関連費の例・取り扱い

「家事関連費」とは、家事上の経費に関連する経費をいいます。言い換えれば、家事と業務の側面を併せ持つ経費です。

たとえば、以下の費用などが家事関連費に当たります。

・自宅兼事務所の賃料、管理費など
・自宅兼事務所の水道光熱費
・自宅兼事務所において、プライベートと業務で兼用している備品の購入費用
・プライベートと業務で兼用しているスマートフォンの購入費用
・プライベートと業務で兼用している車の減価償却費
など

家事関連費は、以下のいずれかに該当する場合に限り、業務の遂行上必要な部分に相当する金額を必要経費に算入できます(所得税法45条1項1号、所得税法施行令96条)。


①家事関連費の主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合

②①のほか、青色申告の承認を受けている居住者の家事関連費につき、取引の記録等に基づいて、業務の遂行上直接必要であった部分が明らかにされる場合


青色申告の承認を受けている個人事業主であれば、上記②に基づき、家事関連費のうち「業務の遂行上直接必要であった部分」に相当する金額を必要経費に算入可能です。

たとえば、自宅兼事務所の賃料を月20万円支払っているとします。自宅兼事務所を居住用に8割、仕事用に2割使っているとすれば、必要経費に算入できる賃料は月4万円(=20万円×20%)です。

このように、家事関連費に事業割合を掛けて、業務の遂行上必要な部分に相当する金額を求めることを「家事按分」といいます。

家事按分の割合(事業割合)は、プライベートと業務の割合の実態に沿って決める必要があります。たとえば自宅兼事務所の賃料であれば、使用面積や使用時間などを基準に事業割合を決めるケースが多いです。

実態に反して事業割合を高く設定すると、税務調査で否認されて追徴課税を受けるおそれがあるのでご注意ください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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