子育て中の人ならば、誰もが抱える育児の悩み。それらをクリエイティブの手法を活かして、まったく新しい視点から解決するのがプランナーの佐藤ねじさんとおもちゃ作家の佐藤蕗さんご夫妻です。
これまでもTwitterなどを通じて、考えたアイデアを紹介してきたお二人。
SNSで話題になったものはもちろん、未発表のアイデアも含めて1冊にまとめた『子育てブレスト』が8月2日に発売されます。0歳~小学校高学年まで役立つ67のアイデアが詰め込まれた同著から、今回はSNSで人気を博したアイデア5選をご紹介します。
1)後追いが激しい1歳児に「等身大パネルマザー」
父、母、長男(小6)、次男(4歳)の4人家族からなる佐藤家。
このアイデアを思いついたのは次男が1歳だった頃で、後追いが激しく、母である蕗さんの姿が数分間見えないだけで泣き出してしまうことも多かったとか。
「まだ1歳児は物体の把握能力が低いので、母親っぽいものが等身大で立っていれば泣かないのでは?」と考え、佐藤ねじさんが作成したのが、蕗さんの等身大パネルでした。いざ、パネルを置いてみると、次男は「母親がいる」と安心したのか、20分間ほどTVを観たり、おもちゃで遊んだりして、落ち着いていたそうです。
この等身大パネルをSNSにアップすると、アジアやアメリカ、ヨーロッパ、アラブ圏まで投稿が拡散され、大きな話題に。「世界中の人も同じような子育ての悩みを抱えているのだ」と痛感したそうです。
2)子どもが決めた値段で、ネットでアートを販売「5歳児が値段を決める美術館」
子どもを持つ家にたまりがちなのが、子どもの作った工作や絵の数々。大切な思い出だから取っておきたい気持ちもあるけれども、家のスペースを圧迫して持て余してしまう家も多いはず。
そこで佐藤家が始めたのがECサイト「5歳児が値段を決める美術館」です。「仮に5歳児がアーティストとして自分の作品に値段をつけてみたら、どうなるのか」という思いつきから生まれたこのECサイトでは、5歳の長男自身が「作品名・キャプション・値段」を決めた上で、販売をスタート。
まだ数字の概念が不確かな年齢だからこそ、「152円」など手頃な値段から「100億円」と言う高額作品まで登場。時には、「3千ジジイ円」「進撃のき持ち悪る胃ミズダコ円」など謎の単位が登場する点もユニークです。
サイトがオープンすると、国内外の人から注目され、何点かは売却。家に転がっていた工作物に「価値」が付くという体験は、家族にとって気づきを得る良い機会になったそうです。
3)泣いている赤ちゃんが、偉人漫画の1コマに? 「偉人モビール」
子どもがずっと大泣きしているとつらくなってきますが、もしその背景に、偉人漫画にありそうなモノローグが現れたなら……。
そんな想い付きから、ねじさんが作成したのがこの「偉人モビール」でした。
仮に、この子どもが「未来の偉人」ならば、このギャン泣き自体もとても貴重な場面になるはず。そう思うだけで、子どもが泣く風景に対して、ほんの少しでもポジティブになれるから不思議なもの。
なお、モビールは実際に作るのは大変なので、合成でイメージ図を作成。そのイメージをツイートすると、なんと18万をこえる「いいね」が寄せられました。
4)海外の人も共感! 車窓を背景に、忍者が飛び跳ねる「車窓忍者」
子どもの頃、電車移動などの際に、窓から見るビルや家の屋根の上を、ぴょんぴょん移動する「忍者」を妄想したことがある人もいるかもしれません。
そんな妄想を形にしたのが、佐藤蕗さんが考えた「車窓忍者」です。
やり方は簡単で、透明な下敷きに忍者の絵を貼り、電車の窓にかざして動かして遊ぶだけ。まるでゲームの画面のように飛び跳ねる忍者を見て、移動中は飽きがちだった当時8歳の長男も夢中になってくれたとか(遊ぶときは周囲の迷惑にならないようご注意ください)。
アイデアをSNSにアップすると、海外からの反響も大きく、なかには「自分の場合は忍者ではなく、スケボーに乗る人を想像していた」といったコメントもあったそうです。
5)お小遣いが欲しい小1が、自宅でコーヒー屋さんを起業 「小1起業家」
そして、5つ目にご紹介するアイデアは「小1起業家」です。
ポケモンカードにハマったものの、カードを買うにはお金が足りない。そんな悩みを抱えた小学校1年生の長男にねじさんがお金を得るための方法を解説。「家庭内で起業したら、お金が稼げるのでは」と長男が気づいたことからこのアイデアはスタートしました。
長男がねじさんと一緒に様々な起業アイデアを模索した結果、両親が好きなおいしいコーヒーを家で提供するコーヒー屋さん事業へ行き着きました。
長男は、ねじさんから900円の借入をしてコーヒー豆の仕入れをおこない、ビジネス運営に必要な原価計算、メニュー作りなどを実践。3か月後には1150円の利益を生むことに成功します!
お金を儲けたという結果以上に、「家内起業」というスタイルを通じて、小学校1年生が楽しみながらお金やビジネスを学ぶ様子が、「うちでもやってみたい!」と多くの親世代から共感を得て、SNSでも大きな話題を呼びました。
「子育てブレスト」大好評予約受付中
今回紹介したアイデアをはじめ、寝ない、食べない、登園しない、宿題をしないといった日々の育児悩みを解決する真似しやすいアイデアも多数収録。これぞ育児ハックの決定版! 忙しいお父さんお母さん必読の一冊です。ぜひご覧ください。
『子育てブレスト その手があったか!67のなるほど育児アイデア集』(小学館)
著/佐藤ねじ・佐藤蕗
8月2日発売
定価:1650円(税込)
絶賛予約受付中!
www.amazon.co.jp/dp/4093891230
【著者プロフィール】
●佐藤ねじ
1982年生まれ。プランナー/クリエイティブディレクター。面白法人カヤックを独立後、2016年ブルーパドルを設立。WEB・アプリ・商品やお店などの企画とデザインを行う。主な仕事に「ボードゲームホテル」「隠れ節目祝いby よなよなエール」「アルトタスカル」「不思議な宿」「佐久市リモート市役所」「小1起業家」「劣化するWEB」など。著書に『超ノート術』(日経BP)がある。
●佐藤蕗
1982年生まれ。手づくりおもちゃ作家。建築設計事務所勤務を経て、第1子の出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたおもちゃが反響を呼び、デザイナーやイラストレーターとしての活動のかたわら造形作家として、現在は雑誌や新聞、WEBなどで作品を発表している。著書に『ひらめいた! 遊びのレシピ ふきさんのアイデアおもちゃ大百科』(偕成社)など。
文/DIME編集部