1989年のレクサスブランド創設に合わせて登場した「LS」は、レクサスのフラッグシップモデルとして、常に最新、最良のクルマづくりを続けてきた。とくに静粛性と乗り味に関しては、国産車でもトップレベルをキープしてきた。ところが、最近では同じレクサスブランドの「ES」が新しいシャーシなどを手に入れたことで進化が著しく、一部の開発関係者は「LS」よりも「ES」のほうを推す声が出てきたほど。
そこで「LS」も2020年の大幅改良でかなり大がかりな手直しを受けた。そればかりか、毎年のように改良を重ね、常にレクサスブランドでのトップの座を守る努力をしている。2020年末にはパワーユニットやサスペンションの仕様を変更し、造り込みの高さをアピール。2021年末に発表された2022年モデルでは、リアサスペンションメンバー取り付け部のプレース形状を変更し、剛性を高め、チューニングを行なった。これでリアの接地性は向上した。
高度運転技術支援「Advanced Drive」を実用化へ
高度運転技術支援では、Advanced Driveの実用化を目指した。パノラミックビューモニターや運転席からの死角を最小限に抑えるデバイスを盛りこんた。こうした装備や装置は、2023年モデルになり、さらに進化している。Advanced Driveというのは高速道路や自動車専用道路の本線上の走行を支援するシステムのこと。ナビに目的地を設定すると、交通状況に応じて車載システムが、車線・車間維持分岐、車線変更、追い越しなどを認知、判断、操作するというものなのだが、自動運転レベル2の範囲で行なわれるので、操作中の責任はクルマではなく、運転者なのだ。
実際に、試乗車でいくつかの操作を試した。例えば車線変更。隣の車線への変更だが、セットして、高速の渋滞路では、結構ギリギリに近いタイミングで車線変更を行なったことがあった。おそらく、入りこまれた後ろのクルマはブレーキを踏んだはず。このあたりの判断はクルマが行なうが、チューニングのむずかしさを感じた。ちなみに、Advanced Drive装備車は、フロントフェンダーにカメラが内蔵されているので、外からでも判別できる。
ミラーも後続車との接近位置を把握しやすいように、ミラー内に接近時の伴走するクルマとの距離が判りやすいように、横線が鏡面に入れるなどの改良が施されていた。また、隣りのレーンを走行するクルマが、こちらの死角領域に入ったとき、死角走行で走り続けることを回避する意味で、自車を減速させる機能も付いた。これは実際の試乗中にも有効だった。
今回、試乗したのは「LS500h Executive Advanced Drive」。4輪駆動のハイブリッド車だ。車両価格は1796万円。いまや、メルセデス「Sクラス」やBMW「7シリーズ」よりも高額車だ! パワーユニットはV6、3.5ℓのガソリンエンジンとモーター1基を組み合わせている。出力はエンジンが299PS、モーターは180PS、トルクは356Nmと300Nmだ。