同業他社より営業利益率が1.4倍高い企業は何が違うのか
アクセンチュアが発表した最新調査レポート「企業オペレーションの再創造(Reinventing Enterprise Operations)」によると、企業の意思決定者のうち90%が「オペレーションのレジリエンス強化に向けてさまざまな領域でAIを活用している」と回答。
活用の範囲は、財務(89%)やサプライチェーン(88%)などにおけるデータ駆動型の業務運用から、ジェネレーティブ(生成)AIの実証にまでおよんだ。
アクセンチュアでは、調査にあたり、AI、データ、プロセス、人材、コラボレーション、利害関係者のエクスペリエンスという6つの領域にわたって企業におけるオペレーションの成熟度を評価した。
その結果、全領域で最高レベルの成熟度を実現している企業は、わずか9%のみであることが判明。こうした企業は、同業他社に比べて、平均して営業利益率が1.4倍高く、イノベーション創出のスピードが42%速いほか、エネルギー消費量が34%低く、顧客エンゲージメントが30%高いという特徴を有していたという。
データ、テクノロジー、人材を最適に組み合わせた企業は生産性の向上率が約3倍
アクセンチュアでオペレーションズ担当グループ・チーフ・エグゼクティブを務めるユスフ・タヨブ(Yusuf Tayob)氏は、今回の報告について次のように述べている。
「すべてのCEOにとって、より迅速なデジタル化、レジリエンスの強化、新たな成長戦略の策定は急務となっています。こうした中、人材やデータ活用、プロセスを強化しながら、テクノロジーへの適切な投資を行うことが、新たな領域でパフォーマンスを発揮するためのカギとなります」
同社が実施した、CEO(最高経営責任者)とCHRO(最高人事責任者)を対象にした調査によると、データ、テクノロジー、人材を最適に組み合わせた企業は、そうでない企業と比べて、生産性の向上率が約3倍となった。
こうした調査結果に続き、今回の調査では、対象者の94%は「新しい働き方へ投資する」と回答しているほか、調査対象者となったCOO(最高執行責任者)やCIO(最高情報責任者)、CHROのうち90%は「今後3年間で専門的なテクノロジー人材の増員を計画している」と回答している。
同社では企業の意思決定者は、こうした成長の機会を捉えるため、業務オペレーションの進化や新たな領域でのパフォーマンス向上に向けて、以下5つの取り組みを進めることが必要だと指摘する。
•AI、自動化がもたらすエクスペリエンスを身近にする
エクスペリエンスを起点とした成果の創出や、従業員や顧客との関係の円滑化に向けて、新たなユースケースを作成する。
•データに基づく決断力を磨く
データの生成、収集、活用に関する戦略を定義した上で、意思決定の指針となる効果的な洞察を得るために議論を促し、偏見を取り除く。
•業務プロセスの最適化を図る
現行プロセスを可視化し、AIによる洞察を活用してさらなる効率化を図りつつ、業務シナリオの変更をシミュレーションしてプロセス最適化を図る。
•労働環境に俊敏性を備える
労働環境に俊敏性をもたらす戦略を実行し、従業員がニーズに応じてテクノロジーツールを選択できるようにする。
•全方位型の価値(360°バリュー)創出360度で価値を提供する
価値創出の在り方を総合的に捉えた上で、顧客や従業員、エコシステムパートナーのデータから得られる洞察を全社で活用できる環境をゼロから構築する。
関連情報
https://newsroom.accenture.jp/jp/news/release-20230720.htm
構成/清水眞希