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チケットぴあの不正転売防止対策で感じた情報格差の乗り越え方

2023.07.23

それでもなくならない不正転売

市民の良識に訴えかけるよりも、新法の制定で強権的に問題を解決する。このやり方は民主主義国家、特に「話し合いの国」日本では小さくない反発を呼んでしまう。

が、チケット不正転売防止法に関して言えば「政治の最適解」ではないか。

もちろん、この法律が制定されたからチケット不正転売が完全撲滅された……というわけではない。たとえば、朝日新聞の以下の記事。

「歌舞伎役者の市川海老蔵さんが『市川團十郎』を襲名披露する興行のチケットなどを高額転売したとして、警視庁は、東京都渋谷区の無職の女(28)をチケット不正転売禁止法違反の疑いで逮捕し、30日発表した。女が2013年以降、転売サイトを使って約430枚のチケットの転売を繰り返し、約1760万円の利益を得たと同庁はみている」
(2023年1月30日『「團十郎襲名」チケット不正転売容疑 逮捕の女、1760万円利益か』朝日新聞より)

この記事によると、女は松竹の会員サイトに複数の名義で登録し、チケットを大量購入していたという。驚くべきことに、

「中には、転売防止のために購入者の携帯端末でしか入場できない電子チケットもあったが、複数持っている携帯電話の1台を直接貸し出して入場させていたという」
(同上)

とのこと。電子チケットの不正転売の手法もいろいろ編み出されていることが窺える。

が、どのような手法を繰り出そうとも最後は摘発されてしまうということが証明された一件でもある。

転売対策と「プラットフォームの利便性」

各チケット販売業者の「不正転売対策」は、そのまま「利便性の高さ」につながっているのではないか。

チケットぴあは、発行したチケットを極めて厳重に管理している。が、それ故にリセール機能やLINEを利用した分配機能などが同一プラットフォームで実行できるようになっている。逆に不正転売対策が甘い業者及びプラットフォームは、利便性の高い機能を持ち合わせていないように感じてしまう。

そして、人間はやはり何歳になっても学べる動物である。Sさんのコンサートのように、比較的高齢の観客が電子チケットに適応するための時間は案外長くない。Sさんを応援したいという情熱が、情報格差の壁をあっけなく乗り越えてしまっているようだ。

このような面からも、我々は「人類の進化」を観察することができるのだ。

【参考】

消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2020/white_paper_column_11.html

チケットぴあ
https://t.pia.jp/info/info-tenbaino.jsp

Cloak
https://cloak.pia.jp/contents/guide/resale.html

朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASR1Z3T1CR1ZUTIL004.html

取材・文/澤田真一

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