PayPayの「紐付けクレカ問題」は、ちょっとした騒動になってしまった。
PayPayは将来的に「PayPayカード以外のクレカとの紐付けを中止する」としていたが、そのスケジュールはあまりに急だった。今年8月以降、PayPayカード以外のクレカとPayPayは連携できなくなるとしていたのだ。
これは多くのPayPayユーザーの怒りを買い、PayPayは計画を大幅に延長するに至った。
その一方、楽天ペイは「全てのクレカとの紐付け」を前面に打ち出している。
日本のコード決済太平記は、どうやら新しい巻を重ねるに至ったようだ。
楽天ペイは「他社クレカとの紐付け」を継続
7月12日の記者会見で、楽天ペイメントの小林重信社長が「クレカとの紐付け」について言及した。
この内容を要約するなら、「楽天ペイは他社発行のクレカとの紐付けを続けていく」である。
小林社長がわざわざこのような発言を行った背景には、やはりPayPayがある。記者会見での発言は、たとえるなら「マチ針」だ。これで生地を仮留めし、後から縫い針を通す。トップが発言した以上、楽天ペイはこの先も他社クレカとの連携を続けていく。
もちろん、楽天ペイでは楽天カードと紐づけしたほうがポイントの還元では有利だ。たとえば楽天カードから楽天キャッシュにチャージすれば0.5%、そのチャージ残高で決済をすれば1%の還元が得られる。他社のクレカからのチャージでは、0.5%還元の部分がない。
また、この記事を執筆している時点で楽天カードor楽天キャッシュでのコード払いに最大20%が還元されるキャンペーンも行われている。楽天ペイを利用するなら楽天カードを持ったほうが有利……というのは、たしかにその通りだ。
しかし、それを無視できれば「楽天ペイを他社クレカで使い続ける」という手段もあるだろう。
iPhone版モバイルSuicaとの連携
6月、楽天ペイはiPhone版モバイルSuicaとの連携を開始した。
楽天ペイとAndroid版モバイルSuicaが連携したのは2020年5月。それから実に3年以上の年月をかけて、ようやくiPhoneにも対応するようになったのだ。
日本はやはり、交通系ICカードが強い国である。
モバイルSuicaは筆者も使っているが、時折「チャージ元をどうするか」で頭を悩ませる時がある。複数のクレカの他にau PAYプリペイドカードがあるから、いざとなればauかんたん決済から残高を持ってくればいい。
日頃世話になっているキャリアやキャッシュレス決済銘柄をそのままモバイルSuicaのチャージ元に指定できる、というのは非常に便利だ。
そして、此度の「楽天ペイ×iPhone版モバイルSuica」の連携実現により日常生活の利便性が向上するという人は少なくないだろう。