TポイントとVポイント。このふたつは、来年春を目途に統合される。
統合後の名称は「Vポイント」になる。我々消費者の感覚から言えばTポイントはVポイントに吸収されるという具合だ。ただし、ロゴは新しいものに代わる。
三井住友カードを利用してVポイントを貯める、という使い方は旧Tカードユーザーに革命的なインパクトを与える可能性がある。というのも、今までのTカードはキャッシュレス化が進む現代日本において「シームレスを阻害する障壁」のようになっていたからだ。
コンビニやドラッグストアの店員が毎回口にする「Tカードはお持ちですか?」がなくなれば、より効率的な会計システムが実現するだろう。
Tカードは面倒!
Tポイントは、TSUTAYAと共に成長した。
2000年代、TSUTAYA会員証機能を含んだTカードは極めて画期的だった。当時のレンタルビデオ店は、会員証は店舗毎に作るのが普通。それを1枚に集約し、しかもポイントを貯める機能も持ったTカードは急速に「ポイント業界の王者」への階段を駆け上った。
動画を視聴する手段がレンタルビデオからストリーミング配信サービスに置き換わった今でも、青と黄色のTカードを財布の中に忍ばせている人は多い。
しかし、現代のキャッシュレス決済システムに慣れた人から見ればTカードはやはり「20年前の概念」であることが理解できるだろう。その理由は、上述した「Tカードはお持ちですか?」である。
筆者の自宅の近所にウエルシア薬局がある。今回はこのウエルシアの店舗での会計を例に挙げたい。
ウエルシアのレジにあるキャッシュレス決済対応端末は1台。この端末はTカードを読み取ることもできる。店員は決済の直前、「Tカードをお持ちですか?」と客に質問する。持っている場合はTカードを端末に差し込む。
その後、店員は「お会計は○○円になります」と言い、客は「クレジットカードでお願いします」と告げる。すると店員はレジを操作して、クレカを端末で認識できるようにする。客は端末にクレカを差し込むかタッチ決済で会計を済ませる――。
この煩わしさがお分かりだろうか?
Tカードがあるせいで、決済完了まで最低二挙動を経なければならないのだ。