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三菱「デリカミニ」に乗って考えた軽自動車“全車OEM化”の可能性

2023.07.23

開発や販売を合理化、パーソナルでミニマムな移動手段へ

 具体的には、軽自動車を生産する自動車メーカーが共同でも構わないし、持ち回りで分担を決めてでも構わないから、まずは元となるひとつのプラットフォームを設計開発する。 軽自動車はボディサイズが全長ミリ全幅ミリと決められているから、全高を標準、ハイトワゴン、デリカミニのようなスーパーハイトワゴンの3種類に絞る。つまり、軽自動車のボディは、もう3つからしか選べないようにする。それぐらいドラスティックな改革を行なう。

 パワートレインもエンジン排気量が660ccでターボ過給の有無による最高出力なども決められているので、トランスミッションなども組み合わせて数種類に絞れる。もちろん、電動化も視野に入れておく。最初は、それぞれ各メーカーのエンジンなりモーターなどを積むようにして、徐々に、共通のパワートレインに移し替えていく。

 プラットフォームと呼ばれる車体の基本骨格の基礎能力をなるべく高いものに仕上げておいて、EV化や2ドア化、ジムニーのようなオフロード4WD化、軽トラック化なども派生して生産できるようにしておく。

 共通プラットフォームに、各メーカーはそれぞれの装備を施していく。吟味に吟味を重ねて正解を追い求めていけば、共通化はひとつのプラットフォームに収斂していくはずだ。最終的にはエンブレムだけ異なった、中身は共通の軽自動車が出現してくるのだろう。

 そうした新世代の軽自動車は長く乗り続けられるよう設計され、修理も難しくないことが望ましい。パーツの供給なども長期間保証されるべきだろう。シートが取り外せたり、荷物が積みやすく工夫されていたり、多様化しているユーザーの使い方を丁寧に反映してほしい。

 メーカーは輸出できない現状の軽自動車という先細りのガラパゴス商品に過剰な開発リソースを割くことを避けることができる。ユーザーは長く乗り続けることのできるパーソナルでミニマムな移動手段を入手できる。

 そして、デジタルの力によって販売面も改革する。注文は、すべてオンラインで行えるようにする。過剰なグレード設定や「なんとかパック」などの不要なオプションまで抱き合わせで注文させられてしまう現状を改める。

 ボディ、ボディカラー、パワートレインなどからエンブレムの要不要にいたるまで、すべての選択をコンフィギュレーション画面上で行えるようにする。それをファイルでディーラー経由でメーカーに送って仕様決定できるようにすれば顧客の満足度も高まり、ディーラーとセールスパーソンの負担が減り、販売面も確実に改革できて成果は大きい。

 商品の内容がエスカレートすることを未然に防ぐために軽自動車の規格は存在し、それ故に各種の優遇措置が施行されている。OEM化することによって新しい時代の軽自動車が生み出されてくるのではないだろうか?

■関連情報
https://www.mitsubishi-motors.co.jp/lineup/delica_mini/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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