夫婦でペアローンを組んで家を購入したものの、その後に関係性が悪化して離婚することになった……。このような場合には、ペアローン住宅をどのように財産分与するかが問題となります。
今回はペアローン住宅の財産分与について、とり得る選択肢や注意点などをまとめました。
1. ペアローン住宅は、物件・債務ともに財産分与の対象
夫婦が婚姻中に取得した財産は、自己の名で得たもの(贈与や相続によって得た財産など)を除き、財産分与の対象となります(民法762条、768条、771条)。また財産だけでなく、婚姻中に負担した債務も財産分与の対象です。
したがって、婚姻中にペアローンを組んで住宅を購入した場合は、物件(土地・建物)および債務がともに財産分与の対象となります。
なお、住宅購入時にまだ婚姻届を提出していなくても、その時点で内縁関係が成立していた場合は、ペアローン住宅が財産分与の対象になると解されます(最高裁平成12年3月10日判決参照)。
2. ペアローン住宅を財産分与する際の選択肢・注意点
ペアローン住宅を財産分与する場合、とり得る選択肢は主に以下の3つです。それぞれの注意点を踏まえて、適切な方法により財産分与を行いましょう。
①売却・完済して残代金を分ける
②どちらかが単独で住宅を取得する
③共有状態を維持し、賃貸借契約等を締結する
2-1. 選択肢①|売却・完済して残代金を分ける
1つ目の選択肢は、住宅を売却してローンを完済し、残った代金を夫婦で分ける方法です。物件の共有状態を解消でき、かつローンも残らないメリットがあります。
注意点としては、いわゆる「オーバーローン」のリスクが挙げられます。
住宅を売却する際には、ローンを担保している抵当権を抹消しなければなりません。そのためには、売却と同時にローンを完済する必要があります。
もし売却代金がローン残高を下回ると、不足額に充てるための金銭を準備しなければならない点にご注意ください。