実はデメリットも
デジタル証券は最近生まれた金融商品であるがゆえ、デメリットもある。
① 簡単に売却できない
② 税制が未整備
③ まだ商品数が少ない
ブロックチェーン技術は、仲介者なしで見知らぬ者通しが自由に売買可能となるものだが、現状管理者や販売会社がいることがほとんどだ。譲渡制限がついていたり、売却したくても自由に売買できなかったりと、従来の証券や不動産よりも流動性が低い。
また、デジタル証券特有の税制は現状ないため、これまでの商品や税制に照らして税金が課される。社債の振替えとして発行されているのであれば社債と同じ税制(20.315%の源泉徴収、分離課税)になると考えられるが、社債や株式等と異なる形式とされる場合、総合課税になる可能性もある。購入前に、商品説明の課税上の取扱い等でどのような課税方法となるか確認した上での投資が必要だ。また、税制改正により、投資時点と課税時点で税制が変更になるリスクもあるため、売却後や利益受取時の年は税理士や税務署へ確認した方が良い。
現状不動産や社債を対象とする従来の金融商品に近いものが多いが、今後、航空機やエネルギーなど通常個人が投資できなかったようなものを対象としたデジタル証券が登場する可能性がある。現在、デジタル証券を販売している会社も少ないのが現状だ。人気の商品はすぐ売り切れてしまうこともあるため、デジタル証券への投資に興味がある場合常にニュースや金融機関の情報をチェックすることが必要となる。
※デジタル証券ではあるが厳密にはセキュリティトークンではなく、社債等振替法の適用を受ける振替社債
(参考)
SBINFTとSecuritize Japan、Web3時代の新しいデジタル証券「特典NFT付きST」のサービス提供に向け、業務提携を発表(SBINFT)|ニュースリリース|SBIホールディングス (sbigroup.co.jp)
カゴメ 2023年1月31日
2023013101.pdf (kagome.co.jp)
日経新聞 2023年6月30日「ソニー銀行、ローン債権をデジタル証券化 1口10万円で」
国内初となる一般投資家向けセキュリティトークンオファリング(STO)実施のお知らせ~XRP特典付きSBI証券発行デジタル社債への投資が可能に~(SBI証券)- PR情報|SBIホールディングス (sbigroup.co.jp)
文/大堀貴子