「道の真ん中で突然エンストした」「またエンストしたらどうしよう」。
ドライバーであれば、誰しも一度はこのような悩みを感じたことがある人も少なくないかもしれない。 あらかじめエンストの対処法や予防策を知っておくことは、より安全で快適な運転を後押ししてくれる。
そこで本記事では、エンストが起こる仕組みや対処法、予防策について解説していく。
エンストとは?
エンストとは、「Engine Stall」の略称。運転者の意図に関わらず、何らかの原因で車が次第に失速してエンジンが停止してしまう現象を表す。 エンストは、一般的に操縦者が手動で車を発進させる技術が必要なMT車(マニュアル車)に多い現象とされる。しかし、AT車(オートマ車)でも起こる場合がある。
エンストの原因
ここからは、エンストの原因をケース別に見ていこう。
1. 走行開始時のトルク不足
車のエンジンをかけて走り始める際、車を発進させるのに必要なトルク(タイヤに伝える動力)が足りていない状態で走行ギアに切り替えるとエンストが起こることがある。
2. 急激にアクセルを踏み込んだ
MT車では、運転操作ミスによるエンストが起こりやすい。 急激にクラッチを繋ぐとエンストすることがあるが、AT車でも進む方向に合ったギアの切り替えができないと、急な坂道での発進でエンストすることがある。
3. センサー系のトラブルが発生した
加速時にアクセルを踏み込んだ際にエンストした場合は、燃料不足を検知するセンサー系のトラブルが考えられる。
4. 点火系、燃料系の故障・動作不良
走行中に突然エンストした場合は、エンジンに装着されている点火プラグの故障が考えられる。
また、車が振動した後にエンストした場合も、点火系もしくは燃料系の制御装置の故障が考えられる。 この場合、大きな振動の直後にエンストした場合と、揺れた後に徐々に失速してエンストする場合でそれぞれ疑われる原因は異なる。
前者の場合、点火系の部品にトラブルが生じている可能性があり、後者の場合は燃料を送る役割を担う燃料ポンプの故障、燃料ホースの目詰まりが原因の一つとして考えられる。
5. 車に対応していない種類の燃料を入れた場合
車に種類の異なるガソリンを誤って入れた場合にもエンストすることがある。
6. 燃料ポンプの故障
急な坂道で車が傾いた状態でエンストした場合は、燃料ポンプの故障が考えられる。 特にガソリンの残燃料が少ない場合に起こりやすい。
7. エンジンの出力を制御するセンサーに汚れが蓄積している
アクセルを離して減速する時にエンストした場合は、エンジン出力の制御装置へのトラブルの発生が考えられる。
8. 排気ダクトに雪が詰まった
積雪時にエンストした場合は、排気ダクトに雪が詰まっていることが原因として考えられる。バックでの駐車時に起こりやすい。
エンストの対処法
次に、エンストが起きた時の対処方法について紹介する。 エンストが起きた場合に取るべき行動を走行中・停車中のそれぞれのケース別に確認していこう。
走行中の場合
車の走行中にエンストした場合には、まず車を安全な場所に移動させて安全を確保した後、再発進を試みる。詳しい手順は以下の通り。
1.強くブレーキを踏み続けて、スピードを落とす
2.車を少しでも動かせるうちに安全な場所に停車させる
3.サイドブレーキ(パーキングブレーキ)をかけてギアを「P」に切り替える
4.再発進出来ないか試みる
5.試しても動かない場合はロードサービスに連絡して対処を依頼する
業者の到着を待つ間は、ガードレールの外など安全な場所で待つようにする。また、三角表示板の設置または発火筒を点火して周囲に異変を知らせることで、後続車の追突などの二次被害を防ぐようにしたい。
停車中の場合
停車時からアクセルを踏み込んだ際にエンストした場合は、まず車が動き出さないようにサイドブレーキをかけてから再発進を試みる。
MT車でエンストした時は、再度正しい操作で順番にクラッチを繋ぎ、再始動してみよう。AT車でエンストした時は、ギアを複数回切り替えて再びエンジンがかかるか試してほしい。
エンストの原因が操作ミスによるものでない場合は、車体に異常が隠れているケースが多い。その場合は早めに修理業者に依頼して対応してもらうようにしよう。
心がけたいエンストの予防策
最後に、普段から心がけたいエンストの予防法を紹介する。
運転に自信がない人はAT車を選ぶ
エンストはMT車の操作ミスによって引き起こされる場合が多い。 運転操作に自信のない方は、AT車を選ぶことでエンストの発生リスクを下げられる。
定期的な点検・メンテナンスを行う
大きな不調がなくても、普段からこまめに車の点検や整備を行うことで、エンストを予防できる。
エンジンの有無・燃料の残量を走る前に確認する
燃料切れに気が付かずにエンジンが止まってしまうことも珍しくない。 特に、電気自動車でよくあるパターンだ。 走行開始前には、エンジンの有無や燃料の残量を確認しておこう。
※データは2023年7月中旬時点のもの。
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文/編集部