人間の生活基盤となる「衣食住」の中でも、とりわけ「食」に関連する言葉は多い。「悪食」もその一つだ。「あの人は悪食」と言われると、「悪」という字面の強さもあいまってどのような意味かと気になる人も多いだろう。
そこで本記事では、「悪食」の正しい読み方と言葉の意味、「悪食」の類語・言い換え表現についても解説する。
「悪食」の読み方と意味
「悪食」の読み方は「あくじき」。元々の意味は「そまつな食事」を指す言葉だが、転じて、普通の人であれば嫌がる食べ物を好んで食べることを指す。なお、「あくじき」よりも知名度の低い読み方にはなるが、「あくしょく」とするのも誤りではない。
「悪食」の詳しい意味は?
「悪食」の意味は、通常は食用にしないような物を(好んで)食べること、またはそういう人のことを指す。転じて、一般的には嫌がられるようなものを趣味にすること、普通の人が好まない相手を好んで(あるいは、わざと)恋人や伴侶にすることも「悪食」と表現する場合がある。
なお、仏教における「悪食」は、宗教上の理由で禁じられている動物を食べることを言う。
「悪食」を使った例文と類語、対義語
「悪食」は、他人の食の好みから趣味趣向までを幅広く指す言葉だ。どちらかと言えば悪い意味で使われるケースが多いため、会話や文章中で使用する場合は注意しよう。 ここでは、「悪食」を使った例文や類語・対義語について解説する。
「悪食」の使い方・例文
「イワナは魚の中でも悪食と言われる」
「昆虫食が悪食に該当するかは文化、風習的な面も大きいだろう」
「人柄は申し分ないが、悪食なのが玉にキズだ」
「悪食」の類語・同義語
「悪食」の類義語を知っておくと、「悪食」を、よりわかりやすい言葉に置き換えたい場合や、悪い意味のない表現に言い換えたい場合に役立つだろう。ただし、基本的には悪い意味を持つ言葉であるため、褒めるニュアンスを出したい場合には「悪食」もその類語も向かないことは意識しておきたい。
・如何物食い(いかものぐい)
普通の人が食べないものを好むこと、またはわざと食べること。そのような行動を取る人物を指すこともある。常人と違った趣味、嗜好を持つこと。通常は恋愛対象になりにくい相手を好んで恋人、伴侶にすること。「悪食」とほぼ同じ意味で使われる。
・ゲテモノ食い(げてものぐい)
普通の人が食べないもの、風変わりなものを好んで食べること、また、その人。いかもの食い、「悪食」と同様の意味で使われる。
・粗食(そしょく)
粗末な食べ物、また、それを食べること。「悪食」のように趣味が悪いものを好むという意味はない。
「悪食」の対義語・反対語
「悪食」の対義語も知っておくと、悪食の概念をより深く理解できるだろう。なお、「悪食」が悪い意味を持つため、「悪食」の対義語・反対語は良い意味の言葉になると考えがちだが、場合によっては批判的な意味を帯びるケースがあるため、それぞれの意味をしっかりと理解しておきたい。
・美食(びしょく)
贅沢でうまいものばかりを食べること、また、その食事。美食を好んで食べる人を美食家という。なお、庶民が毎日食べるわけにはいかないもの、という批判的なニュアンスが込められる場合もある。
・グルメ(gourmet)
フランス語で「食通」「美食家」を指す言葉。日本語でもほぼ同じ意味のカタカナ語として使われる。
悪食を英語で言うと?
仕事や学校で英語に触れる機会が多い場合や、英語を学習中の場合は、「悪食」の英語表現も覚えておくとなにかと役立つはずだ。
悪食の英語表現
「悪食」を英語の名詞で表現する場合は、「風変わりなものを食べる」という意味で“eating strange food”が該当する。なお、“strange”の部分には、“unusual” “bizarre” “forbidden”などの言葉を代入しても良いだろう。一方、「粗末で酷い食事」というニュアンスにしたい場合は“gross eating”が適当だ。
また、「悪食する」と動詞で表現したいときは“eat unusual things”と“eat”を動詞にすれば良い。「悪食家(悪食をする人)」は“an eater of strange food”と表現すると良いだろう。こちらの2つも“unusual”や“strange”の代わりに“bizarre” “forbidden”などを使用できる。
文/編集部