コロナでボトル缶のよさが再認識
コロナ禍で注目された理由のひとつが、衛生面での安全性。
プルタブ式のお酒と違い、ボトル缶はスクリュー式のキャップなので、開封するまで口をつける部分に他者が触れることがない。また開栓後も口をつける部分が他者に触れられにくいことや、一人ずつ飲めることで、感染防止対策につながっているという印象を持たれることが多かった。
また日本盛では、2019年からアウトドアシーンでの日本酒ボトル缶の飲用啓発を進めていたが、コロナ禍で“密を防ぐ”ためにアウトドア人口が増加したことが追い風になり、アウトドアシーンにお勧めの商品として話題になり飲用機会が増えた。
さらにコロナ禍での家飲み需要の増加に伴い、「いつもと違うお酒」に手を伸ばす人も増えたが、ボトル缶は少量飲みきりサイズなので“お試し”として手に取りやすく、さらにリキャップ可能で少量ずつ楽しめ、カジュアルな容器形状・デザインであることから、日本酒ビギナーのトライアルが増えた。
日本酒ボトル缶の進化バージョンの陰に「1~2杯目問題」
こうした状況を受け、日本盛が2023年3月28日に発売したのが、進化した日本酒ボトル缶「日本盛 JAPAN SODA 180mlボトル缶(以下「JAPAN SODA」)」。
発売の背景には、若年層の深刻な日本酒離れに対する危機感があった。日本の成人1人当たりの1年間の酒類消費数量は、1992年の101.8リットルをピークとして減少し続けているが、その影響を大きく受けているのが、アルコール度数の高い日本酒。厚生労働省「国民健康栄養調査」によると20~40代において1~2杯相当で飲酒を終える割合が非常に高いことがわかっている。
つまり乾杯のビールやチューハイで終わってしまい、飲食の後半に飲まれる傾向が強い日本酒は、選択肢にあがりにくい状況なのだ。アルコール度数の強さゆえに敬遠されるという同じ状況にあったウイスキーや焼酎が、ハイボールやチューハイといった炭酸・低アルコール・食との相性の組み合わせにより、客層・飲用シーンを拡大したことにヒントを得て開発したのが「JAPAN SODA」。イメージしたのは「1~2杯目に飲んでもらえる日本酒」だという。
▲20~40代において1~2杯相当で飲酒を終える割合が非常に高い(厚生労働省「国民健康栄養調査」より)
▲「日本盛 JAPAN SODA 180mlボトル缶」参考小売価格(税込み)284円。若い世代でも手に取りやすく、トライアルもしやすい180mlの飲み切りサイズ。パッケージもこれまでの日本酒とは異なり、白を基調としたシンプルでスマートな印象のデザインにしている
「JAPAN SODA」の【味わい戦略】
2015年に発売を開始した生原酒シリーズは濃厚な味わいでアルコール度数が高く、“飲みごたえ”を追求した。一方、JAPAN SODAは“飲みやすさ”を追求し、発泡性の低アルコールタイプですっきりとした味わいに仕上げている。
①“飲みやすさ”重視の日本酒ソーダ
*国産米と米こうじのみで作った日本酒に、炭酸だけを加えて仕上げた
*華やかな吟醸香を高生産するオリジナル酵母を使用することで、大吟醸を思わせる華やかでフルーティな香りを楽しめるようにした
*甘さを控え、後味もすっきりとした味わいのため、和食はもちろん、揚げ物や肉料理・イタリアン・中華など味の濃い料理とも好相性で、食中酒にもぴったり
②低アルコール
*アルコール度数7%と日本酒としては低アルコールで飲みやすいため、これまでアルコール度数が高く日常的に日本酒を楽しむことにハードルの高さを感じていた方でも、気軽に楽しめる
こうした味わいの特色から、購入した人からは狙いどおり「1~2杯目から気軽に飲める」と評価が高いという。