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「割り勘」って何の略?意外と知らない言葉の由来

2023.08.04

食事に行って『割り勘』で払うのは、よくある場面です。誰でもよく知る言葉ですが、割り勘には正式名称があります。何という言葉の略なのか、確認しましょう。使われるようになったいきさつや、類語・言い換え表現も紹介します。

「割り勘」は何の略?

『割り勘』は、食事や飲み会でよく使われる表現です。一般的に使われる言葉ですが、実は正式名称があります。もとはどんな言葉だったのか、本来の名称や意味を見ていきましょう。

「割り前勘定」が正式名称

割り勘は『割り前勘定』の略です。『割り勘』『割り前勘定』どちらであっても意味は同じで、支払う金額を人数で割り、それぞれが支払うときに使われます。

『何人かで食事をし、自分の注文分を自分で支払う』意味も持つ言葉ですが、『割り勘』というと人数で割る使い方が一般的です。

『割前(割り前)』は、それぞれの負担分または、分け前の意味で使われます。 『割前』は『それぞれにお金を分配する』『それぞれがお金を支払う』どちらの意味も持っているため、『割り勘』と同じ意図を明確に伝える目的でも『割り前勘定』という言葉が生まれたと考えられます。

「割り勘」は使うシーンに気を付けよう

日常会話で『割り勘』を使うシーンは、カジュアルな場面です。友人や同僚、気心が知れた親族などに限られます。

割り勘という言葉のカジュアルさだけでなく、目上の人に対しては『それぞれが注文した金額を問わず、人数分で支払いを割る』提案自体が失礼に当たる可能性があり、注意が必要です。

自分の分を支払う旨を申し出るか、相手の考えや立場によっては支払いを任せてお礼を伝えるのが適切でしょう。

立場が対等な同僚や友人を除いて、なるべく割り勘の提案は避ける方が無難です。気を使わせたくない関係性であれば、割り勘よりも『それぞれの注文分を別会計で支払う』提案が適しています。

英語では何という?

英語にも、『人数で割った金額をそれぞれ支払う』または『自分の注文した分は自分で支払う』ときに使う言葉があります。

英語圏で割り勘を提案する場合、『split the bill』を使います。主な使い方は、『Let’s split the bill』です。 ただし、『人数で支払いを割って支払う』と明確に伝わらず、『自分の注文分は自分で支払う』と解釈される可能性もあります。

それぞれの支払う金額を同じにしたいと明確に伝えなければならない場合は、『split the bill evenly』と伝えてもよいでしょう。evenlyには『均等』の意味があります。

「割り勘」が使われるようになったいきさつ

会計

(出典) pixta.jp

『割り勘』はいつごろから使われるようになったのでしょうか?使われるようになったいきさつと、『割り勘』以外の同義語についても解説します。

「割り勘」の始まりは江戸時代

割り勘での支払いを始めたのは、江戸後期に戯作者・浮世絵師として活躍した『山東京伝(さんとうきょうでん)』といわれています。浮世絵師としての名前は『北尾政演』です。

戯作者とは、絵の入った一般向けの読み物を書く作家を指します。

京伝は、割り勘の創始者ともいわれる人物です。江戸時代には複数人で食事の際、誰かが支払いを持つのが一般的でしたが、京伝は参加人数で支払いを割る方法を使っていたと逸話が残っています。

アプリや計算機がある現代とは違い、それぞれが注文した分の代金と合計額を出し、参加人数に合わせて金額を割るには計算能力が必要です。

作家・画家としてだけでなく、紙製たばこ入れ店を開き、商売人としても活躍していた人物ならではの手法といえるでしょう。当時は参加人数で支払いを割ることを、『京伝勘定』とも呼んでいたようです。

明治時代には「兵隊勘定」とも呼ばれた

『割り勘』という言葉が定着したのは、昭和に入ってからといわれています。それまでは『京伝勘定』『割前』『割り前勘定』などが時代に合わせて使われてきましたが、明確に呼び方が定まったのは大衆小説でも『割り勘』が使われるようになった時期でしょう。

『割り勘』の名称が定まるまでの間に、『兵隊勘定』という言葉も生まれています。明治から昭和初期にかけて使われていた言葉で、ほぼ使われなくなった現在でも辞書には残っているようです。

日露戦争の時期には流行していたといわれますが、なぜ『兵隊』が『割前』と同じ意味で使われたのかには諸説あります。兵隊が足並みをそろえて同じように振る舞う様子から派生したというものや、戦争で死ぬ可能性を考えて貸し借りをしないように考えたなどです。

「割り勘」の類語・言い換え表現

財布からお金を出す

(出典) pixta.jp

食事の支払いを人数割りにしたいとき、割り勘以外の表現は使えるのでしょうか?類語・言い換え表現を紹介します。人数や状況によっては、言い換えもできるでしょう。

「折半」

『折半(せっぱん)』は、『半分に分ける』意味で使われる言葉です。割り勘とは違い、2人で費用を半分に分けるときだけ使います。

割り勘よりも堅い表現のため、ビジネスや友人以外との会食でも使いやすい言葉です。『ここの支払いは、折半にしましょう』『今度の旅費は、折半でお願いします』のような例があり、食事のシーン以外で使っても違和感はありません。

しかし、折半は3人以上になると使えません。大勢で食事をするときには『割り勘』が適しているでしょう。

また、『折半』は『支払いを分ける』だけでなく『利益を半分ずつ分ける』意味でも使われます。

「等分」

『等分(とうぶん)』は『同じ分量に分ける』という意味を持つ言葉です。使い方として『ケーキを5等分に切る』『5人で100万円を等分すると20万円になる』などが挙げられます。

『それぞれが負担する金額を同じにする』意味にもなるため、割り勘の言い換え表現としても使えるでしょう。

しかし、『等分』は書き言葉の印象が強く、日常会話で使うとやや堅苦しい印象になります。

『等分で支払う』とだけ言っても伝わりにくいため、『今回、支払いが10万円になったから、5等分して2万円ずつ負担しよう』のように使うのが一般的でしょう。

食事の負担程度であれば、カジュアルな『割り勘』の方が適しています。

構成/編集部

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