マメ クロゴウチ
ファッション産業は出口の見えない苦境にあえいでいる。だが、暗い話題ばかりではない。次世代を担うブランドの存在感が増す。その筆頭がマメ クロゴウチだ。2011年春夏のデビュー以来売り上げを落としたことがないといい、今年1月には東京・青山に旗艦店を持つなど攻めの手を緩めない。今季で第5弾を数える「Uniqlo and Mame Kurogouchi」も好調で、特に第1弾は注文が殺到。発売直後に品切れになったほどだ。なぜマメ クロゴウチは女性を夢中にさせるのか。ファッションジャーナリストの宮田理江さんは〝女性らしい官能美〟に着目する。
「マメ クロゴウチのお洋服は、有機的なニュアンスが持ち味。体の曲線美を生かしたワンピースに大胆なスリットを入れるなど、男性をドキッとさせるムードがある。実は女性らしさや官能美を打ち出すブランドは、日本のモードシーンでは珍しいのです」(宮田さん)
大人の女性が身をゆだねたくなる安心感もあるという。「タイムレスなデザインなのに個性的で、スタイルはよく見えるけれど体の線が出すぎない。これを着ればどこで誰に会っても変に思われない。そういう安心感を感じている人は多いはずです」(同)
外部デザイナーとの協業はユニクロ製品のデザイン性向上に寄与してきた。インナーウエアを主軸とするこの取り組みによって『ブラトップ』に続く画期的製品が誕生しそうだ。
2021年、長野県立美術館のリニューアルに伴い、同地出身の黒河内氏がスタッフユニホームをデザイン。同年6月、美術館では初となるMame Kurogouchiの単独展覧会を開催した。
ユニクロとの協業プロジェクト「Uniqlo and Mame Kurogouchi」。ユニクロが日本人デザイナーを起用したコラボは、2012年にアンダーカバーと協業した「UU」以来となった。
取材・文/渡辺和博