米国株深掘りシリーズ「タバコ産業」
タバコ産業は、長い歴史を持ち、世界中で広範な影響力を持つ重要な業界です。
なかでも、アルトリア・グループ、フィリップモリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコといった大手タバコ会社は、市場での競争力において圧倒的なシェアを持っています。
世界のタバコ市場は2022年に1兆779億ドルに到達し、2028年までに1兆3,288億ドルまで拡大すると予想されています。
そこで今回の米国株深掘りシリーズは「タバコ産業」について解説していきます。
アルトリア・グループ(MO)
アルトリア・グループはフィリップモリスの米国会社です。
米国内では圧倒的なポジションを築いています。
また両社のルーツは同じでおるものの、タバコによる訴訟リスク(タバコによる健康問題等)を避けるために分社化しています。例えば近年、FDA(米食品医薬品局)はタバコのニコチン含有量の規制を検討するというニュースが出た際、国内企業のアルトリアの株価は下落したものの、フィリップモリスには影響がなく、分社化によるメリットを感じる出来事となりました。
またアルトリアが所有するマールボロブランドは、米国で最も人気のあるタバコブランドとして知られています。アルトリアは、豊富な販売網と広範な流通ネットワークを通じて、タバコ製品の流通において強力な競争力を発揮しています。さらに、アルトリアは新たな成長領域への進出も果敢に行っており、電子タバコや大麻関連ビジネスにも注力しています。
これにより、同社は将来の成長と収益性において、さらなる機会を追求することが期待されています。
またタバコ以外にはワインなどの食品事業も扱っています。
・執筆時点(7/14)の株価 45.49ドル 配当利回り 8.224%
フィリップモリス(PM)
フィリップモリスは、2008年にアルトリア・グループから分社化して誕生したグローバル企業です。タバコ関連企業としては世界最大規模であり、世界シェアの実に3割を占めています。
同社は世界的に有名なマールボロブランドを所有しており、他のブランドとしては「チェスターフィールド」「L&M」「Philip Morris」などがあります。
フィリップモリスは近年、煙のない未来の実現を目指し、タバコやニコチン以外の製品に重点を置いています。
製品ポートフォリオとしては、米国外の市場で販売されている加熱式、蒸気式、および経口ニコチン製品を含む紙巻たばこと煙の出ない製品で構成され、成人向けの煙の出ない製品の開発と、前臨床システム毒物学、臨床および行動研究などの分野における科学的評価能力の構築に取り組んでいます。
フィリップモリスは、新しい製品や技術の開発に積極的であり、市場の変化に対応しながら競争力を維持し続けています。
・執筆時点(7/14)の株価 99.50ドル 配当利回り 5.05%