「復習う」の読み方
漢字の成り立ちを知っておくと、読み方も覚えやすくなります。まずは、『復習う』の読み方と意味、さらに語源まで確認していきましょう。
読み方は「さらう」
『復習う』の読み方は『さらう』です。『う』を取ってしまえば、日常でよく使われる『復習』ですが、送り仮名を付けるだけで全く違う読み方になるので、注意しましょう。
なお、『復』『習』にそれぞれ読み仮名が振られるわけではなく、『復習う』のひとかたまりで『さらう』と読みます。こういった単語のことを『熟字訓』といいます。
熟字訓とは、漢字2字以上の熟語(熟字)に訓読みを当てたもので、実は誰もが日常的に使っているのです。代表的な熟字訓に『昨日(きのう)』『田舎(いなか)』『二十歳(はたち)』などがあります。
「復習う」の意味
字面は見慣れないかもしれませんが、『さらう』という音にはなじみがあるのではないでしょうか。それもそのはずで、私たちは幼い頃から『復習う』を何度も耳にしているのです。
『復習う』とは、『教えられたことを繰り返して練習する』という意味です。学校や習い事の先生が、生徒に向けて使うのを聞いたことがあるでしょう。
通常はひらがなで表記されることが多いため、漢字にすると戸惑うかもしれません。しかし読み方は違っても、『復習う』の意味は『復習』と全く同じなのです。
語源は「浚う」
『復習う』の語源となったのは、『浚う(さらう)』です。『浚う』には、『川や井戸などの底にたまる土砂やごみを取り除く』『容器などの中のものを残らず取り出す』という意味があります。
底に堆積した汚れを取り除くには、何度も同じ作業を繰り返さなければいけません。根気強く繰り返すことで、水がきれいになり、流れをよくすることができます。
これは反復練習して知識や技術を身に付ける、『復習』の意味に似ています。そこで『復習』に同じ読みを当て、『復習う』という言葉が生まれたといわれています。
知っておきたい「復習う」の使い方
読み方や意味を知っていても、言葉の使い方を間違えて覚えてしまうことがあります。この機会に、『復習う』がどんな場面で、どのように使われるのか押さえておきましょう。
「復習う」の使い方
『復習う』は、特に芸事や勉強などに使われることが多い言葉で、「英語の授業で習った文法を復習っておく」といった使い方をします。
オーケストラや吹奏楽など、音楽の世界でもよく聞かれます。「次回までに新譜をさらっておきましょう」「ソロパートをよくさらっておいてください」と言われた場合は、『よく練習しておくように』という意味です。
ちなみに、お皿に残ったものを指して「残りをさらってちょうだい」という使い方をする地域もあります。この場合には復習や練習の意味は含まれず、『食べものを平らげる』という意味で使われています。
「復習う」の同義語
『復習う』の同義語には、『おさらいする』『復習する』があります。これまでに何度か登場していますが、言い換え表現としてあらためて見ていきましょう。
「おさらいする」
『復習う』を名詞形にした『復習』は、『ふくしゅう』のほかに『さらい』とも読みます。これを、動きを示す名詞+スルの形で使ったものが、『おさらいする』です。
「帰ったら授業内容をおさらいしておいてね」「おさらいすることが大切だよ」といった使い方をします。また、「まずは先週学んだ部分のおさらいをしましょう」のように、名詞として使われることも多いでしょう。
なお、『おさらい』は、芸事の世界で開催される温習会(おんしゅうかい)を指すこともあります。温習会とは、師匠が開催する、弟子にこれまでの練習成果を発表させる場のことです。
「復習する」
『復習う』『おさらいする』は、『復習する』にも言い換えられます。読み方が異なるだけなので、意味も同じ『繰り返して勉強すること』です。
なお、『復習する』は英語では『review』となり、「You have to review Chapter 1 for the exam.(試験に備えて、第1章を復習しておいてください)」のように使用します。
『go over(詳しく調べる、再点検する)』『run through(ざっと調べる、急いで調べる)』といったイディオムもよく使われるため、一緒に覚えておくとよいでしょう。
これ読める?「復」を使った難読単語
読めそうで読めない難読漢字、読み方を知らなくてもあまり困りませんが、答えられるとうれしいものです。今回は『復習う』にちなんで、『復』を使った難読漢字の読み方にチャレンジしてみましょう。
「復る」
『復る』という言葉がありますが、読めるでしょうか。もちろん『ふくる』ではありません。正解は、『かえる』です。
『行き帰り』を表す往復の『複』と同じ意味を持ち、『同じ道を引き返す』ときに使われる漢字です。なお、『往く』の読みは『ゆく』で、意味は『行く』となります。
論語にも『己に克ち礼に復る(おのれにかちれいにかえる)』として『復る』が登場します。仁義とは『私欲に打ち勝ち、守るべき礼に従うこと』だとしたものです。
少し難しい言葉ですが、豆知識として覚えておくとよいかもしれません。