今、話題騒然の三菱の新型車がデリカミニ。スーパーハイト系軽自動車のeKクロススペースをベースにしているとはいえ、4WDモデルは専用の、スーパーハイト系軽自動車最大サイズの165/60R15タイヤ、悪路での走行、乗り心地にこだわった専用チューニングサスペンションが奢られ、大径タイヤによって最低地上高160mm(2WDは155mm)を確保。ビスカスカップリングを用いた4WDシステムは常時後輪に駆動力を与えるタイプで、ちょっとした悪路、雪道に十二分な走破性さえ備えているクロスオーバーモデルなのである。
デリカミニの兄貴分にあたる「デリカD:5」
ここで忘れはいけないのが、デリカミニの兄貴分にあたるデリカD:5だ。現行モデルはなんと2007年に登場したモデルのビッグチェンジ版(2019/2~)というべきものだが、そもそもアウトランダーをベースにした、世界でも類まれな”ミニバンの皮をかぶった本格SUV”というのがその実態であり、デビュー前に砂漠を含むラリーのサポートカーとして完走した実績があるほどの走破性の持ち主なのである。現在は基本、3列シートの7/8人乗り、4WD×2.2Lクリーンデイーゼルターボエンジンを搭載。最低地上高は185mmとなる。
ところで、三菱がデリカミニを登場させたひとつの理由が、現在のアウトドアブームの中、デリカD:5のようなデザイン、走破性を持つクルマは欲しいけれど、D:5ほどのサイズ、価格、そして3列シートまでは不要・・・というユーザーの声があったそうだ。もちろん、三菱にはアウトランダーやエクリプスクロスといったデザインだけでなく走破性にも優れたPHEVを用意するSUVもあるのだが、やはりコンパクトさ、両側スライドドアの便利さを優先したいというアウトドア派ユーザーは少なくない。なにしろ、キャンピングカーも手ごろな”軽キャン”が人気を博しているぐらいなのだから。
そんなデリカミニとデリかD:5は、実際使ってみると、どこがどう違うのか?今回、両車で南房総のオートキャンプ場を目指し、ロングドライブを敢行。そこで意外なる事実を発見することとなった。
3列シートミニバンのデリカD:5は、デリカミニに比べればはるかに大きい。しかし、実際の寸法を見ると、全長4800×全幅1795×全高1875mmと、例えば新型アルファードの全長4995×全幅1850×全高1935mmと比べれば、意外なほどコンパクト。視界の良さ、スクエアなボディ形状、各種モニター類の装備もあり、また最小回転半径5.6m(アルファードは5.9m)の小回り性の良さもあって、意外過ぎるほど運転がしやすく、今回訪れた南房総の獣道を進むような、軽自動車同士でさえ絶対にすれ違うことができない極狭な未舗装路でも、それほど緊張なく走破できたほど。
走破性だけで比べれば、それはもちろんD:5に軍配が上がるのはもちろんだが、空前のアウトドアブームの中、日本の一般的なアウトドアフィールド、キャンプ場へのアクセス路はほとんどが整備され、4WDじゃないと絶対にたどり着けない・・・なんてことはまずない。そんな場所で営業したら、経営が成り立ちにくいではないか。今回のオートキャンプ場へのアクセスも、デリカミニの4WDの場合、まったく余裕で走破できたのだが、さらに軽自動車規格の全幅=1475mmによって、D:5よりさらにスイスイと極狭な悪路を突き進むことができたのだ。