モトローラ・モビリティ・ジャパンは、縦折り型のフォルダブルスマホ「motorola razr 40 ultra」、ミドルハイエンドに位置する高コスパスマホ「motorola edge 40」を同時発表。いずれも2023年7月21日に販売を開始となり、通信事業者としてはMVNOサービスを展開するIIJの独占販売(2023年7月6日時点)。そのほか、家電量販店やECサイトより、SIMフリー端末が販売されます。
モトローラといえばエントリーモデルからミドルレンジモデルの展開が最近の主力モデルであり、ミドルハイエンドやフラッグシップモデルのイメージがあまりないという人がいらっしゃるかもしれませんが、徐々に浸透しつつあるフォルダブルスマホ市場、ミドルレンジとハイエンドの〝隙間〟の市場を狙い撃ちすることで、モトローラブランドのさらなる浸透、拡大を目指す格好です。
〝帰ってきた〟折りたたみスマホ「motorola razr 40 ultra」は競争激化の起爆剤に?
日本で発売される、折りたたみスマホmotorola razrシリーズのうち、motorola razr 40 ultraは2機種目。1機種目の「motorola razr 5G」は2021年に発売されていますが、後継モデルは日本市場へ導入されませんでした。そのため、今回登場した「motorola razr 40 ultra」は、2年ぶりに〝帰ってきた〟形となります。
左)motorola razr 40 ultraと右)motorola razr 5G
2022年は、円安や半導体不足といった問題もあり、折りたたみスマホのようなフラッグシップモデルを海外メーカーが日本へ導入するのはなかなか難しかったと考えられます。一方で、2022年に日本で発売されたミドルレンジスマホ「moto g52j 5G」は、日本向けのカスタマイズなどが好評だったとのこと。
モトローラ・モビリティ・ジャパン代表の松原丈太氏は「(ミドルレンジ、エントリーモデルで)日本市場での基礎がある程度できた」と話しています。motorola razr 40 ultra、motorola edge 40の2機種は、基礎の上にさらなる発展を目論むモトローラの次なる一手ともいえます。
日本で発売されているフォルダブルスマホの中で代表的なモデルは、Galaxy Z Fold、Galaxy Z Flipシリーズ。加えて、2023年7月下旬にGoogle Pixel Foldが登場するものの、まだまだ層の薄い市場です。ここにモトローラが再登場することで、技術競争、価格競争が激化し、結果としてユーザーに還元される可能性が拡がっています。
というのも、Galaxy Z Flip4は15万9800円、Galaxy Z Fold4は24万9700円、Google Pixel Foldは25万2890円(いずれもドコモでの販売価格)となっており、簡単に手を出せる価格でないのも事実。そのため、折りたたみスマホは趣味層向けの製品というイメージがまだ根強いです。
motorola razr 40 ultraも、モトローラ直販サイト「MOTO STORE」での販売価格は15万5800円ですが、IIJ mioの期間限定セールなら11万9980円、MNPで乗り換える場合は10万9800円で購入可能となります。これまで、折りたたみスマホに興味はあるものの、価格がネックで手を出せなかったという人にも、十分おすすめできる製品といえます。
また、モトローラ国内正規販売店でmotorola razr 40 ultraを購入した場合、12か月間は「ディスプレイ破損1回無料サポート」が付いており、耐久性に不安があるという人でも、ある程度安心して利用できる環境が整えられています。「初めて折りたたみスマホを使う人」にとっても、いい選択肢といえるでしょう。
〝サブ〟の枠に収まらない大型アウトディスプレイが特徴のmotorola razr 40 ultra
フォルダブルスマホが、これまでよりも安価に購入できるといっても重要なのは「一般的なスマホと比べて何が優れているのか」という点でしょう。個人的に、縦折りタイプの優位性は、「大画面スマホを手軽に持ち運べる点」にあると考えています。
motorola razr 40 ultraは、開いた際のディスプレイが約6.9インチ。現行のスマホとしては最大クラスのサイズ感ですが、折りたたむことで約半分にでき、快適に持ち運べるのが特徴。また、折りたたんだ状態でも、厚さは約15.1mmと、比較的薄くなっているため、胸ポケットなどにもすっぽりと収まります。
特に印象的なのが約188gという軽さ。同じく大画面ディスプレイを搭載した「Galaxy S23 Ultra(約6.8インチ)」は約234g、「iPhone 14 Plus(6.7インチ)」は203gといったように、折りたたまないスマホでも200gを超える製品が珍しくない中、ヒンジなど折りたたみ専用のパーツを組み込みながらも、扱いやすい質量に収まっているのがポイントです。
携帯性に加え、縦折りタイプのフォルダブルスマホにとっては、閉じたままで何ができるのかも重要事項。外側のディスプレイが不便だと、結局スマホを操作するために本体を開く必要が出てくるため、フォルダブルスマホとしての存在価値が損なわれてしまいます。
縦折りタイプの折りたたみスマホとして、先に販売されているGalaxy Z Flip4は、カバーディスプレイが約1.9インチ。世代を追うごとにカバーディスプレイサイズは大きくなっており、通知の確認や簡易的なメッセージの返信、音楽の再生・一時停止といった操作が行えるようになっています。いわゆる、ウィジェット的な機能がカバーディスプレイで使えるイメージでしょう。
一方、motorola razr 40 ultraは、アウトディスプレイが約3.6インチと大きいため、多数のアプリを表示することができます。Googleマップアプリや計算機アプリもそのまま起動できたり、決済アプリのバーコードを表示することも可能。閉じたままできる作業が多いため、必要以上に本体を開いて使わなくていいのが魅力です。
また、2021年に発売されたmotorola razr 5Gは、本体を開く角度を調節できなかったのに対し、motorola razr 40 ultraは自由な角度に立てられるようになっています。スマホスタンドを使わなくても自立するので、ビデオ通話やインカメラでの自撮りの際に便利。ビデオカメラのようにmotorola razr 40 ultraを持ってカメラアプリを起動すれば、被写体側からもアウトディスプレイで映り方が確認できるようになっています。
そのほか、motorola razr 40 ultraはアウトディスプレイが144Hz、メインディスプレイが165Hzと、ゲーミングスマホ並みの性能を有しているのも特徴。搭載CPUはSnapdragon 8+ Gen 1と1世代前ではあるものの、十分高性能といえます。搭載メモリは8GB、ストレージは256GBで、バッテリーは縦折りのスマホとしては大容量な3800mAhとなります。IP52相当の防水防塵性能も有していますが、おサイフケータイ機能は非搭載となっています。