2)現場で働きながら最適な活用をサポート
人型ロボット「Pepper」や、業務用清掃ロボット「Whiz」など、多数のロボットを手がけるソフトバンクロボティクス株式会社は「Servi」などの配膳・運搬ロボットの飲食店向けの導入も行っている。
ソフトバンクロボティクスの配膳・運搬ロボット
左から「Servi」、「Delivery X1」
ソフトバンクロボティクスの配膳・運搬ロボット
左から「Keenbot T8」、「Keenbot T5」
同社は、飲食店の配膳・運搬ロボット導入後の現場課題やその解決策 について、どのように対応しているのか。FoodDX事業統括部 事業推進部 部長・小滝 勇太郎氏は次のように回答する。
「配膳・運搬ロボットは、人手不足の課題を抱える現場に導入すれば即時に問題が解決するというわけではありません。当社では、配膳・運搬ロボットのスムーズな導入と、継続的、かつ効果的なロボットの運用をいただくために、導入前後にさまざまな点について入念なサポートを行っています。
主に導入時の操作、運用についての現地でのサポートや導入後のお客さまの施設、業態に応じた適切なロボットの運用オペレーションのご提案、専用のヘルプデスクによる不具合対応、万が一の故障の場合は翌日の機体交換、定期メンテナンスを通じてロボットと人が協働する、継続的な店舗オペレーションをサポートします」
導入前には、入念な現状把握も行っているという。
「ロボット導入前に実際の現場に入り込み、現場の課題や従業員とのコミュニケーションを図り、リアルな状況を把握して配膳・運搬ロボットの最も効率の良い活用方法を検討しています。必要に応じて、お客様の店舗の席のレイアウトや新店オープンする際のコンサルティングや、導入前後での顧客満足度、従業員満足度などの計測なども行っています」
●配膳・運搬ロボットを効果的に導入するためのポイント
さまざまな課題がある中で、導入効果を出すにはどんなポイントを押さえると良いだろうか。
「近年は人手不足の解消のために配膳・運搬ロボットの導入を検討されるお客様が多いですが、先述の通り、これまで人が行ってきた店舗オペレーションに、そのままロボットを導入するだけでは、効果的な運用がむずかしいケースがほとんどです。
お客様の業態、施設規模などに応じて、人とロボットが協働できる最適な運用オペレーションで導入することで、スタッフの業務効率化・負担軽減だけでなく、それまでスタッフだけでは手が行き届かなかった業務にまで目を配ることができ、サービスレベルの向上にもつながるケースも多くあります。
また弊社では、配膳・運搬ロボットは『Servi』のほか『Keenbot T5』『Keenbot T8』『Delivery X1』など複数の種類のロボットを取り扱っているため、お客様のご要望、施設・店舗の状況に応じた柔軟な提案が可能です」
各所でロボット導入が進んでいるが、ロボットはただ導入すれば便利に使えるという訳ではないことがわかった。現場に新たなテクノロジーが入り込むことで、新たな対応が求められる。今後はロボットとうまく付き合っていくコツのようなものを会得していく必要がありそうだ。
文/石原亜香利