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アフリカで進められているデジタル通貨「CBDC」はビットコインと何が違うのか?

2023.07.16

開発途上国が多く、貧困問題がよく取り上げられるアフリカ大陸で、今、技術的には最先端ともいえる通貨のデジタル化が進められている。

国の中央銀行が発行するデジタル通貨はCBDCと呼ばれ、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)の基盤であるブロックチェーンが使われているが、CBDCと仮想通貨とは区別されている。アフリカ大陸でのデジタル通貨事情について各国の最新情報を考察し、本記事でまとめた。

アフリカ初のCBDCであるナイジェリアの「eNaira」

2021年10月に、ナイジェリアの中央銀行が「eNaira」というデジタル通貨を発行したのを皮切りに、アフリカ大陸の国々が続々と取り組む姿勢を見せている。

引用元:eNaira

2021年10月25日に運用が始まった。ナイジェリアはアフリカ大陸で人口が最大の国と知られている。

■アフリカ諸国のCBDCの取り組み

引用元:編集部にて調査・作成

これらの国以外でもCBDCの導入検討開始などの情報が、通信社によって報じられているが、その導入の真偽や不確実性はまだまだ高いものが多いものの、様々な動きがみられる。

ちなみに世界で初めて正式運用となったCBDCは、カンボジアの「BAKONG(バコン)」であり、日本のスタートアップ企業ソラミツ社が開発した。

“ハイパーインフレ“の苦い経験を持つジンバブエも注目のデジタル通貨

2023年4月、ジンバブエ共和国の中央銀行「ジンバブエ準備銀行」(略称:RBZ)が、「デジタル・ゴールド・トークン」というデジタル通貨の発行計画を発表した。(下図)

引用元:ジンバブエ準備銀行

これは現物のゴールドを裏付け資産にしたデジタル通貨で、ジンバブエ国内で流通させ、商取引に使う通貨として、既存の通貨を安定させよう。という目論見がある。

ジンバブエでは、2000年代に、同国の通貨であるジンバブエドルの価値が指数関数的に下落し、殺人的ともいえる物価上昇であるハイパーインフレが起きた。2008年には年約220万%ものインフレが起き、同国民は物価上昇に苦しんだ。

その後の2009年には、ジンバブエドルが廃止となり、米ドルや南アフリカランドを使った複数外貨制を経て、2019年にRTGSドル(新ジンバブエドル=ZWL)という通貨が法定通貨となった。

しかし、新ジンバブエドルとなった今でも、その通貨の不安定さが払しょくできず、ゴールドを裏付けにして価値を担保にしたデジタル通貨の発行を企図したというわけだ。

先立って2022年7月には、通貨不安によるインフレ対策のため「モシ・オア・トゥニャ」という金貨をジンバブエが発行している。現物の金貨では1枚当たりの単価が高く、少額取引の決済には向かないので、これを補完すべくデジタル通貨「デジタル・ゴールド・トークン」が役に立つ。

つまり、ゴールドが担保になっていれば、通貨の価値は発行国の信用ではなくゴールドの価値に依拠することになるので、ジンバブエ国内の通貨の価値がより安定化する。またデジタル通貨なので、現物の通貨で取引が難しい小数点以下の単位での少額の取引も行いやすくなり、多くの人が、価値の保存や取引として使えるというメリットがあるという訳だ。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)が持つメリットとアフリカ大陸にもたらす効果

ジンバブエでは過去から現在にいたるまでの通貨不安への打ち手として、デジタル通貨の発行に舵を切ったのだが、他のアフリカ大陸の国々でも関心度が高いのだろうか。その理由を考察すると、以下の3つが挙げられる。

■アフリカ大陸で高い関心度がある3つの理由
① 金融包摂の取り組みによる、金融サービスの利用者増加期待
② 決済システムの効率化・合理化
③ 自国通貨の不安に対する対抗(インフレ対策や仮想通貨への危機感)

①金融包摂の取り組みによる、金融サービスの利用者増加期待

世界銀行が2022年6月に発表した「Global Findex Database 2021」では金融取引口座(銀行・モバイルマネー)を保有している人は、世界全体の76%であるという。一方アフリカ大陸(サブサハラ・アフリカ)では、下図の通り約55%と年々増加傾向であるものの。他の地域と比較して普及率が低い。スマホで金融取引ができるサービス展開など、様々な施策が行われているが、政府が発行・管理する信頼感から、CBDCが金融包摂への貢献に一役買う可能性が高い。

■サブサハラ・アフリカ地域の金融取引口座普及率

引用元:世界銀行

サブサハラ・アフリカとは、サハラ砂漠を境に南の地域である。サハラ砂漠の北にあるスーダンはサブサハラに含まれる。アフリカ大陸には属さないセーシェル諸島なども含まれている。サブサハラの国々は、特に開発が遅れている「後発開発途上国」として区別される。また、北側の国々がイスラム教の信仰率が高い一方、南(サブサハラ)側はキリスト教の信仰率が高いという。

②決済システムの効率化・合理化

世界銀行が2022年11月30日に発表した送金コストの調査結果では、アフリカで行なわれている国内送金や海外送金のコストは平均約7.8%、最も高い場合で25.2%と、かなり割高である。送金コストを下げるためには、決済インフラやそれを使う事務手続きの再整備が必要不可欠である。コストが高いという課題解決にCBDCの基盤となるブロックチェーン技術が解決策になりそうだ。

CBDCでなくともビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)は、原則ブロックチェーンを使って構築されている。ブロックチェーン技術では、取引情報の記録はインターネット上にある複数のサーバー同士でデータを持ち合うので、集中管理するサーバーを構築するのに比べて、コストが低くデータ消失に強い特長がある。

一方、決済システムにビットコインやイーサリアムなどを使った場合、決済が集中した時やトラブルが発生した場合に、処理の遅れやリカバリー対応などが制御しづらいという欠点もある。

そのため、送金インフラを安価に整備して効率よくシステムが運用でき、トラブル時に政府が介入できる余地がのこることで、利便性の向上と事務の合理化が両立できるCBDCには、高いメリットがありそうだ。

また、アフリカでは、2020年に、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が共通通貨「エコ」を発行したが、コロナ禍によって一度断念している。ECOWASの加盟国では、まさにCBDCを導入している国があり、共通通貨「エコ」がCBDCとしてデジタル化され、地域の経済圏を統合していく可能性もあるだろう。

③自国通貨の不安に対する対抗(インフレ対策や仮想通貨への危機感)

②がシステムや基盤の話であったのに対し③は、国民が持つ感情に対する解決策である。ジンバブエのように、インフレという不安に対処するために、裏付け資産を持つ通貨を発行した際に、少額取引を可能にするためにCBDCとして発行した。また、ナイジェリアのように、暗号資産(仮想通貨)の人気が高騰したために、政府は仮想通貨を取引禁止にしたものの、その人気を食い止められず、その人気を逆手にとりCBDCを発行した事例もある。つまり、自国の通貨システムを脅かされないように、CBDCを発行するようになったといえる。

社会インフラや金融システムに多大に影響を与えるCBDCにはたくさんの課題もある

インフレ対策や決済システムの合理化などのソリューションとなるCBDCによって、様々な社会インフラがデジタル化されて、利便性が向上してく未来が想像できる一方、CBDCにはセキュリティをはじめ様々なリスクや課題もある。

2023年7月に国際決済銀行(BIS)が公表した「A security and resilience framework for CBDC systems」では、年々ハッキングが増えていく暗号資産(仮想通貨)に対するセキュリティリスクへの対応や、システム設計の欠陥やインフラの脆弱性を突かれてしまうリスクがあるとしている。

セキュリティと利便性を両立するデジタル通貨の最適解はどこにあるのだろうか。少なくともCBDCは、中央銀行が手掛けているから安心・安全である。鵜呑みにしてはいけない。

文/久我吉史

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