あなたの周りに「あの人は、いったい1日が何時間あるんだろう?」と思ってしまうほど、物事を段取りよくテキパキこなす人はいませんか?
では、そういう「要領がいい人」たちは、生まれつき頭がよかったり、センスや才能の持ち主だったりするのでしょうか?
「要領がいい・悪い」は、決して才能やセンス、ましてや生まれつきの頭のよさの問題ではありません。「要領がいい人」は、ほんの少し、「脳の使い方」が違うだけ。
そこで「要領がいい」ということを、「ゴールへの最短距離を進めること」と定義し、その方法を最新の脳科学から解き明かす菅原洋平さんの著書『「仕事が終わらない人生」が180度変わる 努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ』の中からDIME読者におすすめしたいノウハウを厳選、再編集してお届けします! 「脳の使い方」と聞いて、身構えてしまう方もいるかもしれませんが、決して難しいことは書いていませんので是非チェックしてみてください。
努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ〈27〉なにをやってもダメなら「ゴール設定」を変えてみる
時間管理や仕事効率化に関する情報はあふれていますが、悩む人は減らないばかりか、むしろ増えているようにすら感じます。
ということは、必要なのは「目新しいノウハウ」ではなく、「根本原因の改善」なのかもしれません。
「いままであらゆることを試してみた」のに効果がないときは、ゴールの設定を変えてみるのがおすすめです。
先日40代の女性から、こんな相談を受けました。
「マニュアルを見やすいように置くなど工夫しても、作業速度が全然上がりません。自分の作業能力が低すぎます。周りとは違いすぎるんです」
この方が設定したゴールは「周りと同じ速度で作業すること」。
でも、周りと自分を比較して、自分の作業の遅さを感じていると、緊張感から自律神経が乱れて、目や顎、首、肩、手先に力が入り、足はつま先を立てたり地面に押さえつけたりして突っ張ります。
これは、机の上で作業するには適さない姿勢です。
脳の上にある「上頭頂小葉」という領域が、作業に適さない姿勢を検知すると、ワーキングメモリによる情報選別が行われなくなり、余計なことに注意が奪われて、ますます作業速度は遅くなってしまいます。
さらに、周りの人を意識すると、注意事項が山のように出てきてしまいます。たちまち情報過多になって記憶容量がオーバーします。
また、他人に合わせて急いだ結果、後でミスが見つかったりクオリティが低かったりすれば、結局作業は遅れてしまいます。
その結果、本来持っている能力よりも、さらに効率が落ちてしまう。
どれだけ意識しても要領がよくなれないのは、やり方の問題ではなく、「周りと同じように作業しよう」というゴール設定の問題。
つまり、ゴール設定が逆に足かせになってしまっていたのです。
そこで私はこの方に、周りのことはいったん忘れて、「自分の処理速度を1.5倍にすること」を新たなゴールとして提案しました。
そのための方法としてアドバイスしたのが「分解」です。
情報量を減らすために、新しいやり方を試すのではなく、課題を分解して確実にできることを一つひとつ処理していきます。
たとえば、以下のようなイメージです。
○文章の添削をしているときに、誤字を見つけることだけに絞り、内容は深く読まない
○プレゼンテーションの構成を練っているときに、伝える順番のみを考えてデザインや話し方は考えない
○データの入力をしているときに、その後の分析については手をつけない
1つに絞ることで、作業は確実に進みます。
作業の進行が確認できていれば、焦りや不安から体がこわばってしまうこともなくなります。もちろん、「15分サーキット」もこのケースでは効力を発揮するでしょう。
もしあなたが「いままであらゆることを試してみたのに効果がない」と思われるなら、ゴールの設定を変えてみるのがおすすめです。
【ゴ― ル設定の変更例】
「売り上げを伸ばす」→「いま手がけている商品の取引先を増やす」
「残業をゼロにする」→「定時で帰宅する日を1日つくる」
「まったく新しい企画を提案する」→「過去の企画をかけ合わせた企画をつくる」
「毎朝6時に起きる」→「休日も平日と同じ時間に起床する」
「社内でコミュニケーションを図る」→「同僚に自分の相談をする」
「整理整頓をする」→「書類をデスクに置く前にファイリングする」
「 新規開拓のためにアポをとってミーティングする」→「ミーティングで1つだけ実行できることを決める」
「新商品の企画会議で採用される」→「まずは『面白い!』と言われることを目指す」
このように範囲を限定し、ゴールを変えてみることで、目標達成の最短距離が見えてくることがあります。
☆ ☆ ☆
いかがでしたでしょうか?
実は、次の大半の人が漠然と思い描いている「要領のよさ」 。5つで構成されているそうです。
1 「余計な情報」に惑わされない
2 「脳のムダづかい」を減らす
3 「すぐやる人」になる
4 「同じ失敗」を繰り返さない
5 「思い込み」を捨てる
この項目を見ただけで、 「たしかに、自分に足りないことかも」と思った人も多いのではないでしょうか?
そうなんです!
「要領をよくする」とは、新たな知識や技術を身につけるというより、ムダを省いたり、余計な情報をカットしたりすることが大切であり、誰でもすぐに実践でき、再現性のあることなのです。それを把握して再現性のある行動にしてしまえば、努力に頼らず「要領がいい人」になることができるというわけです。この本では、最新の脳科学から導き出したメソッドをもとに要領のよさを、再現性のある科学的なコツとしてまとめられています。意外で、すぐに実践できる方法が知りたくなった方は是非チェックしてみてください。
「仕事が終わらない人生」が180度変わる 努力に頼らず「要領がいい人」になる40のコツ
著者/菅原洋平
発行/株式会社アスコム
著者/菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニア株式会社を設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる! 』(文響社)などベストセラーを多数上梓。テレビや雑誌など、メディア出演も多数。