「はじめまして」から相手に好かれたい
世の中には、初対面の人でも昔から知っている人かのように感じる人もいれば、なかなか近づきがたい人もいます。何が、この差を生み出しているのか調べてみると、その1つは、「相手との共通点を持っているかどうか」だとわかりました。
脳には、同じ要素を持っている人を味方だと思う性質があります。これは太古の昔から、対峙した相手が敵か味方か区別することが、生き残るために大切だったことの名な残ご りです。
なぜなら、同じ服装だったり、武器が同じ形をしていたり、同じアクセサリーをつけていると味方だと判断できるため、脳は仲間だと感じていたのです。
初対面でも、出身地が同じだったり、同じ趣味を持っていたりすると、話がはずんだ経験はないでしょうか。これは、共通点を見つけたことで、脳が相手を信頼できると認知したからです。
では、同じ要素が見つからない人に対しては、どのように会話すればよいでしょうか。うまくいく人たちが実践している「脳内トーク」はこうです。
「相手と、話すペースを合わせよう」
それで、脳は相手のペースに合わせようというモードになります。
たとえば、自分の話すペースと違って、まくしたてるようにすごいスピードで話されると、脳は相手を「怖い」と感じます。ゆっくり話されると、脳は「もっと早く話してほしい」とイライラします。
しかし、同じペースで話されると、脳は自分と同じだと認知するため、信頼できる人だと感じやすいのです。同じ要素が感じられれば、脳が安心するからです。
ある研究で、「2人が同じペースで話すと、脳波まで同調してリラックスする」ことがわかっています。話すスピードだけでなく、脳も同調してしまうのです。
私の知り合いに、16年連続で車売り上げNo.1の営業マンがいます。
その人を観察していると、相手によってまったく話すペースが違っていて、驚いたことがあります。顧客が喜んでくれるように、常にペースを意識をしながら話している結果だそうです。
できる人ほど、相手にきちんと敬意を払っています。その1つとして、相手のことを考えて、「相手と同じペースで話そう」と「脳内トーク」しているんだと思います。
意識的に、相手と同じペースで話す。これは簡単にできるので、ぜひ実践してみてください。
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いかがでしたでしょうか? 成功者と呼ばれる人たちは、「脳内トーク」を意識的に活用しています。「脳内トーク」を使って、脳をよい意味で騙し、自分の常識(思い込み)を打ち破る。そして、視点を増やす 。成功者たちの多くが、 「脳内トーク」を活用して、自分を変えてきた人たちなのです。
「人生を変えるためには、大きなことをしなければならない」 、多くの人がそんな常識を信じています。しかし、研究からわかったことは、私たちは大きなことをする必要はないということでした。日々の小さなことが、物事のとらえ方や行動をはじめ、能力や性格、さらには健康、習慣、パフォーマンスにまで影響を与えるということです。そして、そのベースになるのが、 「脳内トーク」なのです。
自分を変化させて、なりたい自分に近づいていくためのより詳しいヒントは「世界一やさしい自分を変える方法」をチェックしてみてください。
「世界一やさしい自分を変える方法」
著者/西 剛志
発行/株式会社アスコム
著者/西 剛志(にし・たけゆき)
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計22万部を突破。
脳科学者 西剛志公式サイト
https://nishi-takeyuki.com