「あ~疲れた! 」と感じたとき、ラクになる方法
これは、私が以前、あるアスリートから聞いた話です。
遠征が続いたとき、いつになく疲労が溜まって、もう何もしたくないという状態になったことがあったそうです。
そんなとき、ホテルの部屋で目に入ってきたのが、電池が切れて充電されている携帯電話でした。
「何もしないで、ただそこにじっと休んでいるのは、自分と同じだな……」そう思いながら、充電器と同じように、じっとそこにたたずんで休んでいると、不思議と体の疲労が回復していって驚いたそうです。
疲労は、そもそも脳や筋肉から「体を休めろ」というシグナルが出て起きるもの。私は、その話を聞いて、彼に「疲れたときは、逆に積極的に何もしないことでエネルギーが充電されるんですよ」と伝えたところ、「なるほど!」と言って感心していました。
私は、スポーツだけでなく、ビジネスでもうまくいく人とよく話をしますが、うまくいく人ほど、同じような「脳内トーク」をしています。
「充電中!」
この「脳内トーク」は魔法のような言葉です。
「充電」という言葉を使うと、脳のプライミング効果によって、カツカツになっていたエネルギーがチャージされて、みなぎっていくというイメージが生まれるため、実際に脳と体の疲労が回復していく効果が期待できます。
また、「充電中!」と言った瞬間に、脳は自分を第3者(電源に差し込まれている存在)として認識するため、サードアイ効果もあります。
私自身も、クライアントに協力してもらい試したことがあるのですが、何もしたくないとき、「疲れた」「何もしたくない」とばかり言うよりも、「充電中」と脳内トークしてもらったほうが、実際に、翌日の行動のレパートリーが平均23%増えるということも確かめています。
体にパワーがどんどん蓄えられていくイメージを想起させる「充電中!」。体の疲れを、確実に回復させてくれる「脳内トーク」です。
また、私たちは気を張りすぎて疲れてしまうこともあります。
そんなときは、
「心のネジをゆるめる」
と「脳内トーク」してみてください。
疲れている場所は、人それぞれなので、心でなくても、頭でも、胸でも、肩、あご、目の周り、手や足先でも大丈夫です。知らないうちに力が入っている部分があるかもしれませんので、疲労している部分に「ネジ」があるとして、それをゆるめてあげるイメージをします。
なかなかゆるまない、そんなときは「心のネジをゆるめることを許します」と、許す型の「脳内トーク」をしてみることも有効です。自分を許すことで、より緊張をほぐしてくれる効果が期待できます。
脳は、イメージと現実とを区別できない性質があるので、ネジをゆるめると、本当にリラックスした感覚になっていきます。
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いかがでしたでしょうか? 成功者と呼ばれる人たちは、「脳内トーク」を意識的に活用しています。「脳内トーク」を使って、脳をよい意味で騙し、自分の常識(思い込み)を打ち破る。そして、視点を増やす 。成功者たちの多くが、 「脳内トーク」を活用して、自分を変えてきた人たちなのです。
「人生を変えるためには、大きなことをしなければならない」 、多くの人がそんな常識を信じています。しかし、研究からわかったことは、私たちは大きなことをする必要はないということでした。日々の小さなことが、物事のとらえ方や行動をはじめ、能力や性格、さらには健康、習慣、パフォーマンスにまで影響を与えるということです。そして、そのベースになるのが、 「脳内トーク」なのです。
自分を変化させて、なりたい自分に近づいていくためのより詳しいヒントは「世界一やさしい自分を変える方法」をチェックしてみてください。
「世界一やさしい自分を変える方法」
著者/西 剛志
発行/株式会社アスコム
著者/西 剛志(にし・たけゆき)
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計22万部を突破。
脳科学者 西剛志公式サイト
https://nishi-takeyuki.com