「ダイエットしたいと思いながら、つい食べすぎてしまう」「忙しすぎて、自分のやりたいことをする時間がもてない」「相手にハッキリ言うことができず、ストレスを感じた」「ついスマホを見すぎて、時間をムダにしてしまった」など、思いどおりにいかない自分に苛立だったり、自分を責めたりしたこはないでしょうか?
日々の生活の中で、意志が弱く、なかなか思いどおりにいかないことってありますよね。でも、実は自分を変えることができるかどうかに、意志が強いか弱いかは関係ないそうです。
意志の力に頼るのでなければ、どうしたらいいか。その答えは「言葉の力」を利用することだそうです。人は1日の中で、自分との会話「脳内トーク」を何千回から何万回も行っていると考えられています。つまり、脳は「脳内トーク」の影響を多大に受けているのです。
それなのに私たちは他人と話す技術は学ぼうとするのに、なぜ自分と話す技術は学ばないのでしょうか? 今回は最新の研究データに基づき、誰でも簡単に「脳内トーク」を変えられる方法を、わかりやすく解説した脳科学者の西 剛志さんの著書「世界一やさしい自分を変える方法」の中からDIME読者におすすめしたいノウハウを厳選、再編集してお届けします!
「脳内トーク」の技術を駆使して、脳をよい意味で騙し、自らを成功へと導いてください。
テニス界の王子が使う「サードアイ」とは?
「サードアイの脳内トーク」は、一流の成果を出している人がよく使っています。その有名な例が、テニス界の王子アンディ・マレーでしょう。
彼は2012年に、当時、世界ランキング1位のジョコビッチとの試合をしていたとき、「私は試合で負けない」ではなく、「おまえは試合では負けないんだ」と何度も言っていたそうです。
このとき大切なのは、言ったときの気持ちですが、彼は言っているうちに、自分でも不思議と勝てるような確信を感じるようになったそうです。
その結果、見事、優勝。イギリス人では76年ぶりに世界4大大会のUSオープンを制した快挙として世界的にも話題となりました。
ちょっと話は変わりますが、サードアイには、誘惑を遠ざける方法としての効果もあります。ダイエットやムダ遣い防止にも役立てることができるのです。
たとえば、ケーキの誘惑に立ち向かうとき。
「私は、ケーキが食べたいの?」と1人称で自分に聞くよりも、「けいこは、ケーキが食べたいの?」と3人称の立場から自分に聞くほうが、ケーキを食べたい誘惑に打ち勝てることが、米国ミネソタ大学の研究でもわかっています。ぜひ、使ってみてください。
世界トップレベルの女性経営者の「モーニング脳内トーク」
あなたは朝、目覚めたときに何を考えますか。
「眠いよー、まだもう少し寝ていたい」
「また、会社行かなくちゃ……」
「あー、昨日積み残した仕事が山ほどある」
そんな「脳内トーク」をしていませんか。
第1章で、言葉は考え方にも影響する「プライミング効果」を伝えましたが、目覚めて最初に触れた言葉は、その日の自分の行動や状態に大きな影響を与えてしまうので、注意が必要です。私はこれを「モーニング脳内トーク」と呼んでいます。
この「モーニング脳内トーク」として興味深い事例があるので、紹介します。
「世界で最も影響力のある女性」の100人に選ばれたこともあるインドラ・ヌーイの「モーニング脳内トーク」です。
2006年に、炭酸飲料で有名なペプシコの初の女性CEOにもなったことがある有名な人です。
当時、彼女には悩みがありました。CEOに就任したばかりの頃、大企業特有の古い体質と、現状維持を好む多くの従業員を目の前にして、なかなか思うような経営ができず苦しんでいたのです。
そんなとき、彼女は毎朝、こんな「脳内トーク」をしていたそうです。
「世界は今日も急速に変化している」
ビジネスの現場では、動かないことが大きなリスクになりえます。いま世の中は変化が激しく、何が起きるか予測できず、過去に成功した方法が、あっという間に役に立たなくなってしまう時代でもあります。
彼女は「世界は今日も急速に変化している」という言葉を使うことで、「その変化に打ち勝つために、だからこそ、自分自身も共に変わっていかなくてはならない」という、強いメッセージを自分に与えていたとインタビューで語っています。
彼女がCEOに就任してから、ペプシコは急速に変化していきました。健康志向で炭酸飲料の売り上げが下がっていくなか、なんと43年連続の配当増額を続ける世界第2位の総合食品メーカーとなりました。
チベットのダライ・ラマは、「朝のたった1つの小さくポジティブな思考(言葉)が、あなたの1日を変える」と言っています。
テスラCEOのイーロン・マスクも、「朝起きて、未来がよくなると思えるなら、輝かしい日になるだろう」という言葉を発しています。
また、著書が世界累計1300万部を突破し、エミー賞にも2部門ノミネートされた近藤麻理恵さんは、毎朝、家族や従業員の健康に感謝して、「その日の決意ができるだけ実現できるように」と言葉にしているそうです。
朝のたった1つの「脳内トーク」が、1日の行動に影響し、自分の成長にも影響を与えています。
朝一番にどんな「脳内トーク」で目覚めるか、ぜひあなたも考えてみてください。
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いかがでしたでしょうか? 成功者と呼ばれる人たちは、「脳内トーク」を意識的に活用しています。「脳内トーク」を使って、脳をよい意味で騙し、自分の常識(思い込み)を打ち破る。そして、視点を増やす 。成功者たちの多くが、 「脳内トーク」を活用して、自分を変えてきた人たちなのです。
「人生を変えるためには、大きなことをしなければならない」 、多くの人がそんな常識を信じています。しかし、研究からわかったことは、私たちは大きなことをする必要はないということでした。日々の小さなことが、物事のとらえ方や行動をはじめ、能力や性格、さらには健康、習慣、パフォーマンスにまで影響を与えるということです。そして、そのベースになるのが、 「脳内トーク」なのです。
自分を変化させて、なりたい自分に近づいていくためのより詳しいヒントは「世界一やさしい自分を変える方法」をチェックしてみてください。
「世界一やさしい自分を変える方法」
著者/西 剛志
発行/株式会社アスコム
著者/西 剛志(にし・たけゆき)
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計22万部を突破。
脳科学者 西剛志公式サイト
https://nishi-takeyuki.com