日本政府は2020年7月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」の中の「決済インフラの見直し及びキャッシュレスの環境整備」において、「2025年までにキャッシュレス比率40%」を目指す方針を立てている。
経済産業省が2023年4月6日に発表した「2022年キャッシュレス決済比率※1」によると、年々キャッシュレス決済比率は堅調に上昇し、コード決済が2.6%(7.9兆円)という結果となった。
キャッシュレス決済サービスが主流となりつつある一方で、年齢や性別により、キャッシュレス決済サービスの捉え方に違いがある可能性がある。
そこでキャッシュレス生活基盤推進協会は、日本人男女500名20代~60代(各世代100名)を対象に「2023年キャッシュレス決済サービス※2の利用実態」について調査を実施したので、結果をお伝えしよう。
※2:キャッシュレス決済サービス:お札や小銭などの現金を使用せずにお金を払うこと。クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)や スマートフォン決済など、様々な手段がある。今回の調査ではQRコード決済サービスを指す。
キャッシュレス決済サービスによる価値観の変化がお財布にも
「あなたはスマートフォンがお財布の代わりになると思いますか」という質問に対し、「はい」と回答したのが、20代が92.0%、60代が56.0%となった。
キャッシュレス決済サービスを利用している20代~60代の各世代で、世代間に価値観の差があることが明らかに。今後のお財布のトレンドはキャッシュレス決済によって変わることが示唆される。
Z世代がお財布を小さくしたい理由第1位は「キャッシュレス決済があるから」
「あなたは現在、お財布を軽くしたい、小さくしたいと感じていますか」という質問に対し、「はい」と回答したのが、20代が76.0%、60代が44.0%いることがわかった。
「キャッシュレス決済ができれば支払えるから」「キャッシュレス決済があれば困ることがないから」「キャッシュレス決済が使用できるお店にしか行かないから」「現金を持ち歩きたくないから」と、キャッシュレス決済サービスの普及に伴い、お財布を軽くしたい小さくしたいという若者世代の想いが伝わってくる。
これらの結果から、シニアはキャッシュレス決済サービスを利用はしているものの現金も併用して利用していることが判明した。
一方、お財布を軽くしたい小さくしたい理由やスマートフォンがお財布の代わりになると感じるZ世代は、キャッシュレス決済サービスをメインで生活をしているようだ。時代に合わせ、財布のあり方が変わってきていることも浮き彫りになった。
人々の価値観を変えつつあるキャッシュレス決済の魅力とはなんだろうか。最後にその魅力を「お得」と「便利」に分けて調査した。
キャッシュレス決済サービスを毎日利用している人のうち、キャッシュレス決済サービスがお得で便利だと感じている人は8割いることが判明。
お得だと感じる理由として「チャージ手数料がかからない」「現金を持ち歩くリスクが減る」、便利だと感じる理由として「所持しているクレジットカードや銀行口座と紐づけできる」「ポイント自体が使いやすい」があげられた。
一方で、キャッシュレス決済サービスを毎日利用しているけれど、お得さや便利さを感じていない理由として「所持しているクレジットカードや銀行口座に紐づけてもポイントがもらえない」「災害時は使えない場合がある」などがあげられている。
キャッシュレス決済サービスを利用するにあたって、所持しているクレジットカードや銀行口座と紐づけできることが重要なようだ。
調査概要
調査内容:2023年キャッシュレス決済サービス実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年6月1日(木)~6月6日(火)
調査対象:20代~60代 男女500名
調査対象エリア:1都3県
調査主体:キャッシュレス生活基盤推進協会
関連情報:https://paymentsjapan.or.jp/
構成/Ara