ITフリーランスのマッチングサービス「フリエン」「チョクフリ」を展開するアン・コンサルティングは、全国の企業に勤める現役エンジニア200名とエンジニア志望の学生100名を対象に「生成AIに関する調査」を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
エンジニアの1割、学生の4人に1人が「生成AIの使用経験あり」
Q1-1. あなたはこれまでに業務や授業で生成AIを使用したことがありますか。(単数回答、n=300)
Q1-2. 業務・授業で生成AIを使用した内容をお答えください。(複数回答、エンジニアn=27、学生n=24)
<エンジニア>
<学生>
業務・授業での生成AIの使用経験をたずねたところ、業務で使用したことがあるエンジニアは13.5%と少数派という結果になった。また、エンジニアを志望の学生は24.0%と約4人に1人が「授業で使ったことがある」と回答した。
「まだ使ったことはないが、使いたいと思う」と回答した人を合わせると、エンジニアの37.5%、学生の50.0%に使用意向があることがわかった。
参考値となるが、生成AIの使用経験がある人にどのような内容で使用したかを聞くと、エンジニアの場合は「文章作成」59.3%、「文章の要約」51.9%、「コード生成」37.0%だった。
学生は「文章の要約」50.0%、「レポート作成」41.7%が多く、エンジニアも学生も設計や設定よりも文章にまつわるもので役立てている人が多いようだ。
4割が「ChatGPTを使用したことがある」
Q2. 使ったことのある生成AIをお答えください。(複数回答、n=300)
業務・授業・プライベートに関わらず、使ったことがある生成AIについて聞くと、「ChatGPT」38.0%が約4割の回答を集め、2位以下に大きな差をつけて1位となった。
世界中で注目されるOpenAIの人工知能チャットボットは多くのエンジニア、学生の生活に浸透してきているようだ。2位は「Bing(Microsoft)」14.3%、3位は「Bard(Google)」5.7%という順になっている。
Q3. 生成AIを使用する際に気を付けていることがあればお答えください。(自由回答、n=87)
<エンジニア>
「情報の正確性」(男性52歳)
「プロンプトを詳細に記述する」(男性46歳)
「結果を信じすぎない。エンジニアや一人の人間としての成長を妨げないように、依存し過ぎない」(男性43歳)
「機密情報はインプットしない」(男性37歳)
「扱う情報がビジネスかプライベートかしっかり分けること」(男性48歳)
<学生>
「実際の情報と異なる情報を生成することもありうるため、あくまでも生成AIで生成された文章については、参考程度に解釈するよう心掛けている。」(男性20歳)
「情報元を確認すること」(女性24歳)
「偏った意見にならないようにしている。」(男性20歳)
「具体的に質問すること。やってほしいことを明確にすること」(男性23歳)
「自分や自分の所属している団体の情報を迂闊に入力しないこと。情報が本当に正しいものであるのかを自分で調べて判断することも」(女性22歳)
「生成AIを使用する際に気を付けていること」では、エンジニアからは「プロンプトを詳細に記述する」、「結果を信じすぎない・依存しすぎない」、「機密情報はインプットしない」などの声が多く寄せられた。
学生からも「あくまでも参考程度に解釈するように心掛けている」、「情報源を確認すること」、「自分や自分の所属する団体の情報を迂闊に入力しない」などの声が上がり、エンジニアも学生も、情報の正確さやセキュリティに気をつけながら活用しようとする姿が見えてくる。
約3割の企業、約4割の学校は「生成AIの使用に制限がある」
Q4. あなたの企業・学校では業務・授業で生成AIの使用は禁止されていますか。(単数回答、n=300)
「ChatGPT」使用経験者が約4割にものぼる一方で、エンジニアの職場やエンジニア志望の学生が通う学校では、生成AIの使用に慎重なところもあるようだ。
一部または全面的に生成AIの使用が禁止されているのは、エンジニアの職場では28.0%、学生では37.0%となった。
一方、「禁止されていない」と回答したのはエンジニアで40.0%、学生で25.0%となり、学校の方が生成AIの使用を禁止または制限している割合が高いことが判明した。
Q5-1. あなたの企業・学校では業務・授業で生成AIを使用する際のルールがありますか。(単数回答、n=300)
企業や授業での生成AIの使用経験や使用可否が明らかになったが、実際に生成AIを使用するためのルールを設けている割合はどのくらいになるのか。
結果は「ルールがある」と回答したのはエンジニアが33.5%、学生では45.0%で、生成AI使用の際のルールを設けている割合は、企業よりも学校で多いことが明らかになった。
今後、より生成AIの利用が社会で広がるにつれ、使用ルールの策定や内容にも変化が起こることが予想される。
Q5-2. 生成AIの使用に際して、企業・学校で定められているルールをお答えください。(複数回答、エンジニアn=67、学生n=45)
<エンジニア>
<学生>
企業・学校で生成AI使用に際してのルールがあると回答したエンジニアと学生に、ルールの詳細を聞いた。
エンジニアは、「個人情報に関する業務では使用しない」86.6%が最も多く、次いで「機密情報に関する業務では使用しない」76.1%となり、情報管理に関するルールが重視されていることがわかった。
また、「著作権に関わる業務では使用しない」が58.2%と約6割、「画像生成は使用しない」は32.8%と3割以上となり、生成AI使用に関する明確なルールがあることが推察できる。
一方、学生は「試験の解答に使用しない」「レポート等の解答で使用しない」といった評価に関わる項目がともに7割を超え、個人の実力を測るテストなどでの使用を禁じるルールが多いようだ。
Q6. あなたが業務・授業で生成AIを使う際、リスクだと思うことをお答えください。(複数回答、n=300)
エンジニア、学生あわせて300人に聞いた「生成AIを使うことのリスク」では、1位「著作権の侵害」55.3%、2位「偽情報の拡散」54.7%が半数を超え、3位は「個人情報流出の恐れ」43.3%となった。
生成AIはインターネットを介して利用するものが多いので、流出や拡散といったリスクを理解した上で利用することが重要になりそうだ。情報に関しては引用元や出典を確認するといったルールを決めて運用することがリスク回避には必須だと考えられる。
また、4位「失業者の増加」15.3%が回答。生成AIが人間の仕事を代行できるようになっていくことで、仕事を失う人が増えるのではないかという懸念もあるようだ。
一方、「ルールやガイドラインなどに従えばリスクはない」と約4人に1人が回答しており、ルールやガイドラインをしっかりと守って利用することで、生成AIを安全に活用できると考える人が一部いることこともわかった。