レンタルサーバーの利用やWebサイトの構築を検討している場合、『AWS』の利用が候補に挙がります。AWSとは、何の略称なのでしょうか?正式名称や主なサービス内容を見ていきましょう。利用するメリット・デメリットについても解説します。
「AWS」は何の略?
Amazonが提供するサービス『AWS』は、アルファベットの頭文字を取った略称です。元になっている言葉の意味や、サービスの特徴を紹介します。
「Amazon Web Services」の略
AWSは『Amazon Web Services』の略語です。通販大手のAmazonが運営する、クラウドコンピューティングサービスを指します。
『Web Services』が複数形であることからも分かるように、数多くのサービスを提供しているのが特徴です。100種類以上のサービスがあり、必要なものを選んで利用できます。
MicrosoftやGoogleもビジネスに役立つWebサービスを展開していますが、Amazonのクラウドコンピューティングサービスは高いシェアを誇る有料サービスです。
クラウドコンピューティングとは
サービスのベースになっている『クラウドコンピューティング』は、ネットワークを経由してレンタルサーバーやストレージを利用するサービスです。
そこにはソフトウェアも含まれます。クラウドコンピューティングサービスを利用すると、自社でサーバーやソフトウェアを用意する必要がありません。本来、ネットワークサービスの維持や構築には多くの費用がかかりますが、クラウド上のサービスを利用することで出費を抑えられます。
AWSも利用した分だけ料金を支払う形になっており、必要なサービスを従量課金制で使えるケースが多くなっています。
AWSの主なサービス
AWSでは、具体的にどのようなサービスが提供されているのでしょうか?サービスの種類は多様で、契約前に何を利用したいのか詳細に検討しなければなりません。主なサービスを紹介します。
Amazon EC2
Amazon EC2は『Amazon Elastic Compute Cloud』の略称であり、仮想サーバーを利用できるサービスです。600を超えるインスタンスが用意され、ビジネスの目的や利用したい容量に合わせてタイプを選択できます。
Amazon EC2は、Webサイトの構築やアプリケーションの実行だけでなく機械学習が可能で、小規模から大規模まで多様なトレーニングに対応しているのが特徴です。機械学習向けの契約サービスにはG5インスタンスやP3インスタンスなどがあり、それぞれ得意とする分野が異なります。
そのほかに、Apple社向けのアプリケーション開発が可能な『EC2 Mac インスタンス』もあり、Windows対応端末以外でも気軽に利用できるでしょう。
Amazon RDS
Amazon RDSは『Amazon Relational Database Service』の略称です。データベースの運用や保守を簡単かつ低コストでできるサービスで、7種類のエンジンから選択できます。
MySQLやOracle、Amazon Auroraなど、選択できるエンジンの種類は多様です。セットアップから運用までマネジメントされており、手軽にデータベースを構築できます。
アプリケーションの構築や高コストなデータベースからの移行など、クラウド上でデータベースを管理したい場合におすすめです。
Amazon S3
Amazon S3は、『Amazon Simple Storage Servics』の略称です。AWSのクラウドストレージサービスで、データの保存や閲覧に活用できます。
バックアップやデータ保存のコストカットなど、さまざまな使い道があり、利用したい保存量に合わせて料金が決まるため、必要以上のコストがかかりません。
クラウド上に保存したデータは、AWSによるセキュリティにより守られます。AWSの他のサービスと組み合わせて利用すれば、ビジネスに活用できるでしょう。
AWSのサービスの特徴とメリット
AWSは、他のITサービスと何が違うのでしょうか?AWSならではの特徴と、契約のメリットを解説します。コスト面や提供内容だけでなく、さまざまな特徴があるサービスです。
低コスト
通常、サーバーやアプリケーションを自社で用意する場合、高額な初期費用がかかります。AWSは初期費用なしで利用できるため、低コストです。
維持管理費も分かりやすく、従量課金制となっています。使った分だけ請求があり、利用が少ない月でも効率的です。
また、利用するサービスによっては無料期間が設けられています。導入時にはコストをかけずに使い勝手や特徴をチェックできるため、自社の課題に適したサービスを見つけられるでしょう。
豊富なサービス
ITサービスにはさまざまなものがあります。サーバーやデータベース、ストレージなど、種類は豊富です。一つのサービス内で完結できれば、支払いや互換性の面でもメリットが大きいでしょう。
AWSは多くのクラウドコンピューティングサービスを提供しており、必要なサービスを組み合わせて使えます。レンタルサーバー・データベース・ストレージ以外にも、機械学習など、提供されているサービスは多彩です。
AWS内で複数のサービスを組み合わせることで、一元管理が可能になります。必要に応じて、サーバーやストレージ容量の拡張など、プロジェクトの規模に合わせて自由に変更できるのも魅力です。
安心のセキュリティ
AWSでは、企業が求めるレベルの高いセキュリティ要件を満たしています。金融機関や軍隊といった、機密性が特に重視される分野でも利用が可能です。
AWSのサービスである『AWS クラウドセキュリティ』は、AWSの各種サービスを契約すると利用できるセキュリティシステムです。ユーザーのアクセス許可やデータ保護対策が施され、クラウド上のデータを守ります。
モニタリングサービスにより、セキュリティの状態を正確に把握が可能です。脆弱性の報告があれば即座に調査が行われ、セキュリティ内容の更新も行われているため安全にサービスを利用できます。
人的リソースの確保
本来、サーバー構築や運用には人手が必要です。保守作業やセキュリティ対策には、専門の人員が求められます。
AWSを利用すると、自社サーバーとは異なり多くの人手は必要ありません。運用・保守はAWSが担当します。メンテナンス不要で管理の手間も省け、コストの削減につながるでしょう。
システム運用や保守に要する時間が少なくなれば、その分のリソースを別の業務に回せます。システム関連に多くの人手を割けない企業でも、AWSを活用すれば効率的に業務を進められるでしょう。
AWSのデメリット
AWSには、デメリットもあります。サービスの特徴を把握し、向き不向きを判断するのが大切です。デメリットになり得るポイントを解説します。
コストとサービスの豊富さに注意
コストの低さと提供サービスが多いのは、デメリットにもなり得るものです。どのような利用目的があるのか、どの程度のコストであれば出せるのかという点を明確にしてから、契約に進むのがポイントといえるでしょう。
自社サーバーを導入するよりも低コストで運用できるAWSですが、従量課金制であるがゆえに、コストの固定化ができません。使用量が多いと費用がかさんでしまう可能性もあり、予算が少ない場合は不向きです。毎月の費用を固定したい場合は、定額サービスを検討しなければなりません。
また、AWSには構築や開発など、システムの専門家向けのサービスがそろっています。機能が多いため覚えなければならない項目が多く、専門的な知識も求められるでしょう。システムに詳しくない担当者が導入を考えるのであれば、シンプルなサービスが向いているケースもあります。