生活の折に触れて、自らを撮影をしていく「自撮り」。今や習慣とも呼べないほど身近で一般化した行為となったが、そんな自撮りに関する興味深いリポートがExpressVPNから届いたので、内容を一部抜粋してお伝えする。
Z世代は他のどの世代よりも自撮りをする
写真とデザインのリソース会社であるEksposureの最近のレポートによると、世界中で毎日約9300万回のセルフィーが撮影されているという。
これはつまり、たくさんの笑顔とピースサインが世界の街角に溢れているということかもしれない。
ミレニアル世代がこのトレンドを広めた一方で、Z世代はこのトレンドを次のレベルに引き上げ、他のどの年齢層よりも多くのセルフィーを撮影している。
最近の調査によると、Z世代は1週間に平均3.16回自撮りしており、これは1週間に平均1.37回自撮りをするミレニアル世代の約2.5倍であることが判明した。
また、「スマイズ」(歯を見せて笑うのではなく、目で笑う)、「0.5(広角)」自撮り、「トラフィックミラー」自撮りなど、流行りのポーズもZ世代が担っている。
さらに、もともとそれほど自撮りをしない団塊の世代を除くすべての世代で、女性の方が男性よりも自撮りをしていることもわかった。
団塊の世代では、男性の方が女性よりもわずかに多く、それぞれ週0.5回、週0.4回の自撮りをしている。
Z世代は、男性の中で最も自撮りをする世代だが(週平均2回)、Z世代の女性は、毎週4回以上の自撮りをすることで世代間ではトップになっている。
これは、1週間に1.5回の自撮りをするミレニアル世代の女性や、1週間に1回の自撮りをするX世代女性の2倍に相当する。
出典: Shiny smile
最も自撮りをしている国はフィリピン、次いでアメリカ
Eksposureの最新の統計によると、最も自撮りをしている国はフィリピン。1位のパシグ市では、人口10万人あたり258人が定期的に自撮りをしている。
これに続くのが、10万人に202人が自撮りをしているアメリカのニューヨーク州マンハッタンと、10万人に155人が自撮りをしているフロリダ州マイアミだ。
実際、数年前の統計によると、アメリカでは62%の人が人生のどこかで自撮りをしたことがあり、18歳~34歳の若い年齢層が最も自撮り経験が多く、82%が自撮りをしたことがあるという結果になった。
35歳から54歳では63%が、55歳以上では44%が、自撮りをしたことがあると回答している。
自撮りの心理とメンタルヘルスへの影響
SNS時代において、自撮りはどこにでもある自己表現の形となった。一方で、自撮りは、数え切れないほどの議論を巻き起こし、賞賛と批判の両方を生み出してきた。
多くの人は、セルフィーはナルシシズムの表れであり、注目を浴びるための必死の叫びであると主張する。しかし、よく観察してみると、違った姿が見えてくる。
オハイオ州立大学で行われたある研究は、自撮りがナルシスト的な傾向によってのみ行われるという一般的な考え方に疑問を投げかけるものだった。
その研究によると、人は出来事の意味を伝えたい場合、その場面を写真に撮る傾向があり、自分を写真に入れる場合は、その出来事の身体的な体験を記憶したいためであることがわかった。
一方、自撮りやSNSがメンタルヘルスに与える影響については、依然として議論の的になっている。
メディアはしばしば、自撮りやSNSへの露出を、精神的な幸福度を急落させる原因として描いている。しかし、このテーマに関する研究では、少しニュアンスの異なる見解が示されているのだ。
例えば、ロンドン大学が行った調査では、12%の人がSNSが自尊心に悪影響を及ぼすと感じた一方で、10%の人が実際には自信を高めたと報告している。
しかし、自撮り写真と自尊心、そしてメンタルヘルスとの関係は複雑だ。英国の3000人以上の回答者を対象とした調査では、なんと71%の人が自分の写真を編集せずにオンラインで共有することに抵抗があることが明らかになった。
編集ツールへの依存は、ネット上で完璧な自分を見せたいという願望を浮き彫りにしている。
自撮り写真を編集する人のうち、約8%がInstagramを利用しており、3分の2がFacetuneというアプリを利用している。彼らは、肌の欠点が隠され、顔の特徴が変化するようにするために、写真の加工を行なう。
フィルターもまた、オンライン上の外見を形成する上で重要な役割を担っている。男女ともに、自分の魅力を高めるためにフィルターを使うことがあることを認めてい流からだ。
しかし、女性の方がより頻繁に使用しており、10人に9人がSNSに自撮り写真を投稿する際にフィルター加工しているようだ。
SNSが非現実的な期待を助長し、メンタルヘルスに悪影響を与えることは否定できないが、自己表現と自己理解のためのプラットフォームとしての可能性を認識することも同様に重要だ。
多くの人にとってSNSは、自分の考えや感情、経験を自由に表現できる場。SNSは、自分の考えを聞いてもらい、理解してもらうための媒体であり、精神的な健康を増進させる可能性がある。
したがって、自撮りの心理は、ナルシシズムという単純な物語を超えたものと言えるだろう。自撮りは自己表現の多面的な形態へと進化し、個人が人生の有意義な瞬間を捉え、伝えることを可能にした。
SNSがメンタルヘルスに与える影響は依然として複雑ですが、自撮りはエンパワーメント、自己反省、そしてつながりのためのツールとして機能している。
自撮りの未来
自撮り文化が進化する現代において、Z世代の影響力は見逃せない。彼らは反逆者として登場し、伝統的な美の基準に挑戦し、より高い信頼性を求めることで、セルフィーという芸術に革命を起こしている。
「0.5(広角)」自撮りやノーメイク自撮りなどのトレンドは、作り込まれたイメージから脱却しようとする彼らの決意を象徴するものと言えるだろう。
未来に目を向けると、これからも自撮りがSNSにおいて重要な位置を占めのは確実だ。しかし自撮りの根本にある心理を考慮すると、今後は個人的な表現の瞬間を捉えるだけでなく、社会的な活動を促進し、支援するための手段として、セルフィーはますます利用されていくこともあり得るのではないだろうか。
関連情報
https://www.expressvpn.com/jp/blog/why-selfies-arent-going-anywhere-anytime-soon/
構成/清水眞希