IT機器には、USBケーブルを接続してデータを転送できます。しかし略語である『USB』にどのような意味があるのか、考える機会は少ないかもしれません。言葉の由来と概要を解説します。USBの規格を見分ける方法についてもチェックしましょう。
「USB」とは
USBはパソコンの周辺機器をつなぐための標準的なインタフェースの規格一つです。元になっている言葉の意味や概要を解説します。
「Universal Serial Bus」の略
USBは『Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)』の頭文字を取り、略した言葉です。Universal Serial Busは『USB』と翻訳されるため、日本語での特別な名称は存在しません。直訳すると、『汎用データ転送ツール』といった意味合いになります。パソコンと周辺機器のデータ転送に使われる規格の一つです。
USB1.0・USB2.0のように、バージョンごとに名称は異なります。新規格としてはUSB4が存在し、数字が大きくなるごとに、転送速度が速くなるのが特徴です。
USBの登場でさらに便利に
USBは、さまざまな家電や周辺機器に対応した統一規格です。周辺機器ごとに規格を変える必要がなくなり、USBが生まれる前と比べると利便性が大幅にアップしています。
パソコン以外にスマートフォンやタブレットにも採用され、周辺機器との接続が可能です。プリンター・デジタルカメラ・スピーカーなどの家電製品にもUSBポートが搭載され、さまざまな機器と接続できます。
USBの主な特徴
USBには共通の特徴があります。一般的なUSBケーブルの特徴を見ていきましょう。普段なにげなく使っているUSBには、便利な機能が備わっています。
パソコンから電力供給が可能
パソコンと周辺機器をUSBでつなぐと、電力供給が可能です。少量の電力で動く簡易な製品に限りますが、パソコンから供給された電力で稼働できます。
ミニ扇風機や充電式カイロなどさまざまな家電製品があり、コンセントにつながなくても使えるのが魅力です。マウスやキーボードなど、パソコンの周辺機器もUSB接続による電力で稼働しています。
USBポートはスマートフォンやタブレットにも備わっており、仕組みはパソコンと同じです。外付けキーボードやその他のUSB機器は、各種端末の電力を活用して稼働します。
高い互換性
USBには複数のバージョンが公開されています。それぞれ転送速度が異なりますが、パソコンがUSB規格に対応していれば、基本的にバージョンを問わず使えるのが特徴です。
一般的に、IT機器はバージョンが変わると古い機器が使えなくなる事例が多いですが、USB規格は高い互換性を持っています。ポートとケーブルに性能差がある場合は、低い性能に合わせて利用できる仕組みです。
ポート・ケーブルのバージョンを気にせず使い続けられる点で、USBの利用には大きなメリットがあるといえるでしょう。ただし、コネクタの形状やタイプが異なる場合は、変換アダプタを使用するなど、別途対処が必要なケースがあります。
便利なホットプラグ機能
USBはホットプラグ機能に対応しています。ホットプラグとは、パソコンの電源を入れたまま、ケーブルを抜き挿ししても機器を認識できる機能です。
ホットプラグ機能が備わっていない機器は、機器の認識や入れ替えのために、パソコンの電源を落として再起動させる必要があります。
手間のかかる再起動を行う必要がなく、簡単に作業ができるのが特徴です。パソコンの接続機器にはホットプラグ機能対応のものが増えており、昨今は電源を入れたままさまざまな作業ができるように進化しています。
USBの規格を見分ける方法
USBは長年活用されている規格であり、IT機器の進化に合わせて新しいバージョンが生まれています。古いバージョンと新しいバージョンを見分ける方法や、性能の差について見ていきましょう。
端子の内側の色をチェック
USBの規格は、端子内の色の違いで見分けられます。パソコンに搭載されている場合が多いType-Aの場合、端子の色分けがされているためです。
USB2.0は白または黒、USB3.0は青となっています。USBポートやケーブルの端子をチェックすると、ある程度判断できるでしょう。
ただし、色分けは法律で決まっているものではないため、製造メーカーによっては色を付けていないケースもあります。端子の色だけで正確に判定できるものではありません。USB機器付近のマークや、ケーブル本体に書かれている数字もバージョンを見分けるヒントになるでしょう。
パソコンや機器の規格を正確に確認するには、説明書や公式サイトが確実です。紙の説明書がない場合は、Web上で閲覧できるサービスに対応している場合もあります。
規格によって性能が異なる
USBはバージョンによって性能が異なります。利用するバージョンによって転送速度が大幅に変わるため、注意しましょう。
USB2.0の転送速度は最大480Mbpsですが、USB3.0は5Gbpsです。USB3.1になると10Gbps、3.2では20Gbpsと大幅に変化し、USB4では40Gbpsまで対応しています。USB2.0からUSB4を比べると約80倍の速度となり、性能の差が大きいことが分かるでしょう。
転送速度を速くしたい場合は、ケーブルだけでなく機器の対応バージョンを確認するのが大切です。バージョンが異なるUSB機器を使用した場合、性能が低い方の速度に統一されます。
ケーブルがUSB4に対応していても、パソコンがUSB3.0までの対応端末の場合、転送速度はUSB3.0と同様です。
構成/編集部