夏が近づくと「ライザップ」のテレビCMが目につくようになるが、同社では昨年オープンした月額3278円の「chocoZAP」が大ヒット。筋トレをしている人は着実に増えているように感じる。だが、Data1を見ると一番多い世代は20代男性で27.4%のみ。筋トレを実施している人は、まだまだ少数派のようだ。
なぜ筋トレは多くの人に定着しないのか? その一因となりそうなのがData2で、トレーニング5年未満でも10年以上でも、全体で約2割しか効果を感じていないのだ。それでもストイックに筋トレしている人は、何をモチベーションにしているのか? 実は男性に限っては慢性的に疲れている人ほど筋トレをする人が多いというデータがある(Data3)。つまり効果を感じるためではなく、筋トレでさらに体を追い込むことで、かえってリフレッシュしているのかもしれない。
筋肉量と寿命が密接に関わっていることも見逃せない。筋肉量が減ってくると歩行速度も落ちるが、寿命も大きく縮まるのだ(Data4)。「筋肉は裏切らない」と言われるが、Data3のようにリフレッシュ効果に重点を置いて筋トレをしてみると、案外継続できるかもしれない。
Data1|週1回以上筋トレをしている成人男性は約2割!意外にも、70代女性がトップだった!
■ 男女・年代別の週1回以上の筋トレ行動率
ほとんどの世代は女性よりも男性のほうが行動率は高くなっているが、70代のみ女性が逆転。現代の高齢者は女性のほうが元気なのか。
2022 ベネクス調べ
Data2|筋トレ歴10年以上の人も……トレーニングの効果を実感している人は2割以下
■ ご自身の筋トレにどの程度効果を感じますか?
長く続けているからといって、効果を実感できるわけではない。ただ筋トレをするだけではなくトレーニング後に良質なたんぱく質を摂取すると、効果を実感しやすくなる。
2020 森永製菓調べ
Data3|男性は慢性的に疲れている人ほど筋トレをする傾向!?
■ 疲労度合(男性、20〜79歳、筋トレ行動頻度別)
■ 疲労度合(女性、20〜79歳、筋トレ行動頻度別)
疲れた時こそ筋トレで自分を追い込むと、よりリフレッシュできる……。これはまさにサウナで限界まで追い込んで水風呂に入る感覚と似ているかもしれない。
2022 ベネクス調べ
Data4|歩行速度は筋肉量と比例!寿命の長さにも大きな違いがあった!!
■ 高齢者の10年生存率(75歳〜84歳)
「毎秒1.4m」は大人の平均的な歩行速度。高齢者でそれが保てるかどうかは、体の筋肉量が大きく影響する。ゆっくりしか歩けないのは危険だ。
参考文献 Gait Speed and Survival in Older Adults
Stephanie Studenski et al. JAMA. 2011;305(1):50-58
取材・文/高山 惠 イラスト/トーマス・オン・デマンド