カレーパンの専門店や、カレーパンを名物に据える新規開業のベーカリーが増えている。
2022年12月にはカレーライス専門店チェーンのCoCo壱番屋が同社新業態「SPICE UP!COCOICHI BAKERY」を愛知県名古屋市に開店したばかり。『ザックザクカレーパン』を名物とする堀江貴文氏プロデュースのベーカリー『小麦の奴隷』は創設から2年半で全国100店舗以上に広まった。
こうした店舗拡大の背景にはどんな新潮流があるのだろうか。
「富士山の形状や青いパン生地など、定番のカレーパンのイメージを覆す〝ネオカレーパン〟のブームが2019年に到来しました。そのあたりから具材や形状が豊かに進化してきています」
そう語るのは、カレーパングランプリを開催する日本カレーパン協会の会長・宮脇小百合さん。
「特に最近は〝揚げる〟のではなく〝焼く〟という調理方法が浸透してきました。これにより〝揚げる〟調理では難しかった具材をトッピングすることも容易に。カレーパンの贅沢化が進んでいます」
コロナ禍に入り、テークアウトやお取り寄せのパンは売り上げが右肩上がりに。特にカレーパンの集客力は絶大で「売り上げの20%をカレーパンが担うようになったベーカリーもある」と宮脇さん。需要の拡大から、ブランド牛や鎌倉野菜など、ご当地の食材を生かすレシピも開発され、コンビニなども参入。贅沢なカレーパンの開発にしのぎを削っている状況だ。
贅沢とはいえ300〜500円程度。カレーライス1皿よりも手頃。ワンハンドで味わえる手軽さも相まって、贅沢カレーパンの快進撃は勢いを増しそうだ。
【贅沢Point】名店の味を手軽に味わえるゴロッとした牛肉入り!
ハウス カレーパンノヒ
『旧ヤム邸監修 ごぼうとカルダモン香るごろり角切り牛肉のカレーパン』
476円
阪急百貨店とハウス食品がタッグを組み、スパイスカレーのパイオニアである旧ヤム邸を監修に迎えた新作カレーパン(期間限定販売)。香るスパイスと牛肉の存在感がリッチ!
〈華麗なる開発秘話〉外食で人気の高いスパイスカレーに着目し、より手軽に楽しめるよう、人気店の旧ヤム邸とコラボ。13種類のスパイスと和素材のハーモニーを実現した。
【贅沢Point】黒毛和牛とスパイシーなカレーが融合
成城石井 BAKERY
『ごろっと黒毛和牛と7種野菜と10種スパイスの焼きチーズカレーパン』
431円
4月にオープンした同社初ベーカリー専門店の目玉商品。カレーを湯種生地で包んで焼いたもっちりパンに、柔かく仕立てた黒毛和牛とモッツァレラチーズをのせて焼き上げた。
〈華麗なる開発秘話〉〝手の届く贅沢〟をコンセプトに手頃な価格で高品質なカレーパンを開発。黒毛和牛を焼き込まない製法で肉のやわらかさ、旨さ、具材の存在感を引き出した。
【贅沢Point】尾頭付きのエビを丸ごとトッピング!
シャンパン☆ベーカリー・高久ぱん
『弦斎エビドリアカレーパン』
760円
エビの豪華さと存在感を打ち出した新製品。もちもちのパン生地に有頭エビと濃厚なチーズを合わせ、ドリアも米から炊く本格派。
〈華麗なる開発秘話〉簡単に作れそうで、実はカレーライス以上に手間がかかるカレーパンの地位を向上したいという思いから、ナイフ&フォークで食べるような同商品を開発。
【贅沢Point】インバウンド人気も高い!牡蠣×ビーフ
廣島カレーパン研究所
『宮島名物宮島牡蠣カレーパン』
500円
大粒の牡蠣を丸ごと2つ使った逸品。牡蠣の旨味を生かすために甘口のビーフカレーを使用。1日最大2500個を売り上げ、今年は外国人観光客に爆売れ中だ。
〈華麗なる開発秘話〉広島の特産物で何かパンができないかと考え、創業者の母が作った牡蠣カレーライスをベースに誕生。牡蠣が苦手な人でも美味に感じる味に仕上げた。
セブン-イレブン『お店で揚げたカレーパン』は累計5000万個を販売し、取り扱い店舗も全国に!
揚げたてという新たな価値を提供するため、2021年に一部店舗で販売を開始。高い評価を得て、2022年以降に販売エリアを全国に拡大した(一部店舗除く)。開発された専用パン粉により、持ち帰った後もサクサク食感。スパイスの風味もしっかり感じる。
取材・文/嶺月香里
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。