ホワイトニング
マスクを外す機会が増え、注目が集まる歯のホワイトニング。最近は気軽に利用できるセルフサロンなども登場しているが、やはり歯科医院での施術がおすすめ。PMTCの実施だけで本来の白さに改善するケースもある。
個人の感覚差が大きいため、歯科医師のもとで慎重に
ホワイトニングはむし歯治療に比べ、敷居は低いと感じている人も多いだろうが、想像するほど手軽なものではない。
「通常、ホワイトニング希望で歯科を受診してもすぐに処置を始めることはありません。歯の性質や詰め物を確認せずに、プラークや歯石が付着したまま行なうと、知覚過敏のサインを見逃したり、希望する効果が得られなかったりするからです」(前出・秋元さん)
まずは口腔内の検査とクリーニングを実施し、さらに歯科衛生士などが個々人の歯磨きの癖などを把握、歯のセルフケア指導を行なう。人によってはここまででも本来の歯の白さになり満足することも多い。また、むし歯がある、あるいは広範囲で治療が行なわれている場合、ぜんそく患者などは、医学的にホワイトニング適応とはならない。
歯科医院で行なうホワイトニング手法は、下表にある3種類。オフィスホワイトニングでは高濃度の漂白剤付着による炎症予防のため、処置前に歯ぐきに保護剤を塗る。歯の変色には内部の象牙質の変色もあるが、漂白剤には表面のエナメル質の形状を変え、象牙質の色を見えにくくする効果もある。
秋元さんによると、ホワイトニングは歯科医院などと患者のトラブルが比較的多い領域だという。実際、専門医などで構成する日本歯科審美学会では、ホワイトニングを行なう際の患者への説明と同意取得に関する指針を2018年に作成しているほどだ。
「処置後は以前よりは確かに歯は白くなるのですが、トラブルの多くは、その結果が患者の期待と違う場合です。このため処置前に自分が期待する白さを正確に伝え、歯科医師からそれがどの程度実現が可能かを入念に確認することが必要です」
◆ホワイトニングの種類
(いずれも歯科医院への受診が必要で、セルフホワイトニングとは異なる)
※各評価は一般的な目安。料金や治療判断・内容は歯科医院により異なるので、それぞれのかかりつけ医師に相談を。
取材・文/村上和巳、秋元麦踏 図版/山本さわ