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クラフトビールが飲める小さな本屋「BREWBOOKS」で見つけた町の本屋さんの未来

2023.07.15

クラフトビールが飲める本屋が全国にチラホラと見られるようになった。カフェ併設の大型店とはまたひと味違った趣がある。その一軒、東京・西荻窪にあるBREWBOOKSを訪ねた。

2階の畳敷きスペースで脚を伸ばしてクラフトビール

東京杉並区の西荻窪駅から歩いて5分ほどの所に、大きな窓のある小さな本屋がある。クラフトビールが飲める新刊書店、BREWBOOKSだ。

2018年にオープン。大きな窓のある小さな本屋。

大きな本屋で見られるカフェとは違う。昔はアートギャラリーだったという一軒家の、急な階段を登ると、店主の尾崎大輔さんが「書斎」と呼ぶ畳敷きの部屋がある。小さな書棚とテーブルと椅子、クッション。脚を伸ばしてビールを飲みながら本を読めるし、くつろぐこともできる。

「書斎」と呼ばれる2階のスペース。

2階の利用は、ワンドリンク付き1時間1,000円の時間制が基本。コワーキングスペースとも呼べるが、本を読みたい人、勉強したい人、ただのんびりしたい人、いろんな人がやって来る。ワンドリンクはクラフトビール、ソフトドリンク、どちらも注文できる。

クラフトビールのメニュー。アルコール度低め(3%)のセゾンも。

ビールは杉並区久我山にあるMountain River Breweryから直送されるボトル。ここは2018年に生まれたまだ新しいブルワリーだ。以前はBREWDOGや志賀高原ビールなど、有名ブランドを扱っていた。しかし「せっかく近所にあるブルワリーですから。注文するとすぐ届けてくれますし、小さいブルワリーだから毎回違う種類を造っていて、いろいろなビールが飲めるのも楽しいです」と、尾崎さんは話す。

JRの西荻窪と井の頭線の久我山だが、距離は2キロほどのご近所なのだ。Mountain River Breweryに注文したボトルビールをBREWBOOKSで受け取ることもできる。小さい店同士で助け合っているようだ。「地産地消」でもある。

店主の尾崎大輔さん。ビールも本も好き。本屋を始める前はSEだった。

なぜ本屋さんでクラフトビールを? とたずねると、「ぼく自身がクラフトビール好きということもありますが」と前置きしつつ、「ビールを飲みながら読んだ本は、そのフレーバーとセットで記憶に残ることもある。それもいいなと思って」と説明した。

記憶に残るということなら、大手のラガービールより、いろいろ個性のあるクラフトビールの方がいい……となる。クラフトビールの味はある意味一期一会。同じブルワリーの同じビールを頼んでも、「あれ、前と違う気がする」ということはよくある。そこはクラフトビールの面白さであり、大手との違いである。

短歌や俳句の本や同人誌、イベント「短歌部」も

1階の本屋に並ぶ本のラインナップは、どう表現していいかわからないほど多種多様だ。

20㎡ほどのスペースに設えた本棚は一本ずつ、一段ずつ、それぞれが独自の世界を持って陳列されている。棚ごとに「あ、こっちか」と思うと「え、そっちも」と予想できない展開を見せ、世界がみるみる広がる。

多彩な本がギュッと詰め込まれている。

新刊書店であるが、特に文芸、中でも短歌や詩、俳句の本が充実している。同人誌やZINEの棚もある。取材時には、すでに商業デビューしている現役作家が参加している同人誌や、水族館からも問い合わせが来るというイカの同人誌『いか生活』が並んでいた。これらは、おそらく、大きな本屋ではお目にかかれない。

短歌や俳句の本については、もともと尾崎さんの趣味ではなかったという。あるとき、近隣に住む歌人がBREWBOOKSを訪れ、何度か取材場所などに提供したことから関係が生まれ、短歌ファンが集まるようになり、短歌イベントを開催するようになり……と、つながって、短歌や俳句や詩歌の本が集まるようになっていったそうだ。現在は定期的に短歌のイベント「短歌部」を開催。すぐ定員が埋まる人気イベントに成長している。

尾崎さんも短歌を作るようになったそうだ。また、日記をベースにしたZINEを制作し、文学フリマ(文フリ)に出品したこともある。もともと尾崎さんは本が大好きだから本屋さんを始めたのだが、自身が文芸作品を創ることまでは考えていなかったらしい。これも本屋のもつ不思議な力ではないだろうか。

町の本屋さんはこれからどう変わっていくのだろう

1階の奥には「ブックセラークラブ」というコーナーがある。お客さんに本棚を貸し出し、好きな本を並べて売っていいという仕組みだ。独特のセレクトも面白いが、知らない人の家の本棚をのぞくような、見てはいけないものを見るような楽しさがある。

「小さな本屋なので、いろんなことにトライして何とかやってきた感じです」と、尾崎さんは話す。BREWBOOKSのオープンは2018年。書店勤務経験ナシ、ただひたすら本好きの元SEが立ち上げた、どこにもない本屋だ。

コロナ禍を挟みながら、「人との出会いに救われたところが大きい」と語る。「短歌部ができたり、著者イベントができたり。出会いはいつあるかわかりませんし、それによってここがどんな場所になっていくのかもわかりません。そこが楽しみです。ぼく自身は、もっと本のセレクトの質を高めていかなくてはと思っています。そのためにも継続していくことが何よりも大事です」と話す。

BREWは、ビールなどの酒を醸造するという意味だ。もうひとつ、企むという意味もある。西荻窪の小さな本屋では、クラフトビールを飲みながら短歌が詠まれている。新しいZINEが集まってくる。何だかわからないが、何かが始まりそうな予感に満ちている。町から本屋が減り続けているが、こういう小さな本屋さんが果たしている役割は大きいと改めて感じた。

元アートギャラリーだった店を本屋に。隣は児童公園。

BREWBOOKS
住所:東京都杉並区西荻南3-4-5
営業時間:12:00〜19:00(イベント時は〜22:00)
休日:毎週月、第2・4火

取材・文/佐藤恵菜 撮影/篠田麦也

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