夜型の生活リズムは本当に寿命を縮める?
夜型の生活リズムはあらゆる原因による死亡リスク(全死亡リスク)や心血管疾患による死亡リスクのわずかな上昇と関連することが報告されている。
しかし、寿命に有害な影響を及ぼすのは夜更かしそのものではなく、夜更かしに伴いがちな喫煙や飲酒であるとの研究結果が報告された。
フィンランド労働衛生研究所のChrister Hublin氏とJaakko Kaprio氏による研究で、詳細は「Chronobiology International」に2023年6月15日掲載された。
UKバイオバンク参加者を対象にした過去の研究では、夜型の生活リズムが全死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクと関連することが示されている。
Hublin氏らは今回の研究で、この関連が別のコホートでも再現されるのかどうかを検討した。対象者は、1958年以前に出生し、1975年時点では生存していたフィンランドの同性の双子2万3,854人のうち、海外在住者などを除いた2万2,976人。
これらの双子は、1981年の時点で、人口統計学的属性や社会的な特徴、健康と疾患に関する情報、生活習慣などに関する100項目から成る質問票に回答していた。
この質問票には、「あなたはどの程度、朝型/夜型だと思いますか」という質問が含まれており、6,769人(29.5%)が「明らかに朝型」、6,354人(27.7%)が「やや朝型」、7,591人(33.0%)が「やや夜型」、2,262人(9.9%)が「明らかに夜型」と回答していた。
朝型の人に比べて、夜型の人には、年齢が若く、飲酒や喫煙の量が多い傾向が認められた。対象者は、2018年まで37年にわたって追跡された。
年齢、性別、学歴、研究開始時点の健康状態、1日の飲酒量、喫煙状況、BMI、睡眠時間を調整して解析すると、夜型の人の全死亡リスクは、朝型の人よりも9%高いことが明らかになった。
しかし、さらなる解析から、このようなリスク増加は、主に喫煙と飲酒に起因するものであり、朝型か夜型かのクロノタイプには左右されないことが示された。
この結果は、軽い飲酒の習慣はあるが喫煙をしない夜型の人で全死亡リスクの上昇は認められなかったという結果からも明らかであった。心血管疾患も含めた原因特異的な死亡リスクに、クロノタイプによる違いは認められなかった。
Hublin氏は、「この研究結果は、クロノタイプが死亡リスクに独立して影響を及ぼしているわけではないことを示唆するものだ」と述べている。
一方Kaprio氏は、UKバイオバンク参加者の健康状態は概して一般集団よりも良好であったのに対し、本研究対象者の健康状態は一般集団と同様であったことを指摘し、本研究結果の方が社会全体の状況をよく反映していると述べている。
Hublin氏らは、本研究の強みとして、ライフスタイル要因に関する包括的なデータにアクセスできた点を挙げている。
その一方で、対象者のクロノタイプを一つの質問による自己申告データのみに基づいて分類している点を限界点としている。(HealthDay News 2023年6月23日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/07420528.2023.2215342
Press Release
https://www.helsinki.fi/en/news/public-health/alcohol-and-smoking-blame-premature-deaths-among-night-owls
構成/DIME編集部